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社説:週のはじめに考える 深刻さの再認識を (中日/東京 2005/07/10朝刊)
アジアを中心に今後、エイズが爆発的に蔓延(まんえん)する可能性が高い-今月初め、神戸市で開かれたエイズ国際会議で繰り返された警告です。日本も例外ではありません。 アジア・太平洋地域では毎日三千五百人がエイズウイルス(HIV)に感染し、千五百人がエイズで亡くなっていると、世界保健機関(WHO)は会議初日、驚くべき数字を発表しました。その数の多さに参加者は、ため息をついていました。 感染者や患者は現在、数の上ではアフリカ、特にサハラ砂漠以南の国々が最も多いのですが、アジア・太平洋地域も決して安心できない状況にあるということです。 ■増え続ける感染者 ここでの感染率は現在1%未満で、アフリカを下回っていますが、世界人口の60%が集中しています。人口の多い中国やインドネシア、ベトナムを中心に感染者が増え続け、絶対数では既に八百万人を超え、手をこまねいていてはアフリカの二の舞いになりかねないからです。 わが国でエイズ国際会議が開かれたのは一九九四年の横浜会議以来、十一年ぶりです。横浜会議と違い今回はアジア・太平洋地域を対象にしており、一回り規模が小さいのですが、それでも地域外の国を含む約七十カ国から三千人を超す参加があったのは危機感からでしょう。 エイズ拡大を防ぐ最も有効な手段は、予防ワクチンの開発です。米国や日本などから多数の研究成果が発表され、着実に前進していることをうかがわせましたが、臨床試験が緒に就いたばかりで、実用化までには時間がかかりそうです。新しい治療薬も開発されていますが、まだ決定的なものはありません。 そうである限り、予防を通じ、感染拡大を防がねばなりません。会議の主眼もここに置かれていました。 アジア・太平洋地域での感染の多くは、売春女性など性産業従事者、注射による麻薬常用者、男性同性愛者を通じて広がっています。 ■予防サービスの普及を 参加者が口をそろえて強調したのは、こうした人々を偏見・差別で排除して地下に潜らせてしまってはならないということでした。コンドーム使用やHIV検査を受けるなど予防の徹底が不可能になり、感染を拡大させてしまうというのです。こうした人々にこそ十分な予防サービスが提供されなければなりません。 議論の過程で、日本人としてはとても受け入れがたい意見も幾つか出ました。ある国の代表は、麻薬常用者を犯罪者扱いしないことを求めました。白い目で見られなければ、HIVに汚染された注射針で回し打ちせずに清潔な針に交換できるという意味です。国・地域によってはこれほど切羽詰まっているということへの理解は必要でしょう。 幸い、感染拡大の防止に成功した国もあります。タイやカンボジアでは、大規模な100%コンドーム使用キャンペーンが功を奏し、九〇年代後半から新規感染者を劇的に減らしたことが報告されました。 これらの国々に共通しているのは国のトップが積極的に取り組んでいることです。エイズ対策は政治のトップレベルで進めないと効果が発揮されないということが分かったからです。この経験則を各国とも共通認識としなければなりません。 翻って、わが国の取り組みは大丈夫でしょうか。それを象徴するのが開会式でした。小泉純一郎首相はもとより尾辻秀久厚生労働相を含め閣僚はだれも出席しませんでした。これまで横浜会議も含めてどの国も首相か大統領が出席し、参加者にエールを送るのが普通でした。会議の重要性を認識しているからです。 神戸会議では厚労省政務官の無味乾燥なあいさつがあっただけで、参加者はしらけてしまいました。「日本はエイズ問題を軽視している」と不満が出たのは当然です。 小泉首相は会議直前に、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」へ新たに五億ドル(約五百五十億円)の追加拠出を表明しました。これさえ「国連の安保理常任理事国になりたいためだろう」とWHOの高官に記者会見の場で言われる始末です。 薬害エイズ問題が一段落したあと国民のエイズへの関心が薄れ、国の取り組みにも真剣さがなくなりました。開会式はその表れでしょう。 ですが、実態は深刻です。昨年末までの国内の累積の感染者・患者は、血液製剤による感染者を除き約一万人とアジア・太平洋地域の中では、けた違いに少ないのですが、昨年一年間に確認された感染者、患者数はいずれも過去最多です。欧米では九〇年代半ばから減少に転じたのに、日本では逆に増え続けているのです。小泉首相はこの事実を真摯(しんし)に受け止め、先頭に立って取り組みを強化しなければなりません。 ■わが国がすべきことは 会議を通じわが国が強く求められたのは、国内のエイズ問題への関心を再び盛り上げ、さらにアジア・太平洋地域でもリーダーシップを発揮し、感染拡大を食い止める活動を強力に支援することといえるでしょう。それは実行可能なはずです。
by alfayoko2005
| 2005-07-10 08:51
| HIV/AIDS
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