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特集WORLD・女だけの話題:いまだかつてなく注目される女性候補者 (毎日 2005/08/26夕刊)
◇総選挙に注文、夕刊編集部女性記者座談会 「くノ一」に「マドンナ」、時代錯誤に思える言葉が飛び交っているが、いまだかつてないほど女性の立候補予定者が注目されている今回の総選挙。列国議会同盟(IPU)の統計では下院(衆議院)の女性議員の割合は186カ国中101位の日本。この機会に夕刊編集部の女性記者で総選挙を考えた。 ◇女性というだけで支持・投票したりしない ◇女性議員が増えて量が質に転換してほしい ◆低い比率◆ 太田阿利佐 日本の女性が参政権を持って60年。日本国憲法草案に男女平等を書き込んだ米国人ベアテ・シロタさんによると、当時の日本側代表は「男女平等は日本になじまない」と主張し米国側を驚かせた。いまだに女性国会議員が少ないのは、長年政権与党の自民党の体質が古くて、自民党の女性議員比率が低いからでしょう。 山田道子 自民党内には男女平等を規定した憲法24条が家族を崩壊させる原因だと考えている人もいるくらいだから……。今年は男女雇用機会均等法20年なのに政界は世間より遅れている。 五十嵐英美 だからこそ女性議員が増えてほしいと思っている女性はたくさんいるはずで、小泉純一郎首相はそこをうまく使ったよね。手法も小泉さんらしい。女性候補はワイドショーの格好のネタで主婦の視聴者が感情移入しやすく、自己投影しやすいのではないだろうか。学習院女子大の石澤靖治教授によると、01年の自民党総裁選から参院選までの小泉さんと田中真紀子さんのワイドショーでの露出は400億~500億円分のテレビCMと同じ効果があったそうだ。今回も同じような効果を狙っているのかも。 太田 小泉内閣には一時期女性閣僚が5人もいて、女性の登用に積極的だとは思う。でも本気なら、「比例ブロック候補の50%は女性」などポジティブ・アクション(積極的改善措置)を採用してほしい。 三角真理 次々「刺客」が出てきた時は、次は誰?と舞台裏をのぞき見るみたいに楽しんだけれど、冷静になれば、結局女性で人気取りをしているという感じ。これほど女性候補を並べたのは小泉さんはよほど自信がなかったからだと思う。 本橋由紀 今さら「マドンナ」とか小泉さんの口から出てくるところに、「女で話題作りして支持率アップ」というホンネを感じた。 山田 衆院の郵政民営化法案採決で棄権・欠席した人も騒動の陰でいつの間にか公認された感じ。 小国綾子 作戦であろうと何であろうと、女性議員が増えることには賛成。もちろん自民党内のボロ隠しのために女性を利用しているだけだろうし、郵政民営化が選挙の争点であるならその道のプロを男であろうと女であろうと立てるのが筋だと思うけれど、圧倒的に男性社会だった政界という空間に女性が増えていくことで、新しい可能性や視点が生まれることは確かだと思う。けどね、私自身は女性だというだけで支持したり、投票したりするつもりはない。 ◆顔ぶれを見て◆ 本橋 今回の自民党の女性候補の顔ぶれは男性社会でしっかり生き残っている人ばかりで、生活感をあまり感じない。女性がその性ゆえに抱えさせられている問題、例えば介護や子育てや家事などを担うために生じる問題とは縁の薄い人たちという印象がある。このような女性候補が増えても、男性候補と同じで政治も生活も働き方も変わらないという懸念もあるけれど、せっかく培ってきたキャリアがあるんだからそれをうまく発揮してほしい。 三角 確かにみんな見事に高学歴で美人、「怖いものなし」って感じの人ばかりよね。生活感もさることながら「郵政民営化」を唯一の争点に掲げた自民党執行部が、「食育を考えたい」という人や「故人(夫)になり代わり」という人を担ぎ出すことには違和感を持った。 小国 元首相の娘でとんでもなく大きな屋敷に住んでいる田中真紀子さんですら、選挙の時には戦略として「普通の主婦」を前面に出し、オバサンたちの票を集めたわけでしょ? 今回立候補する女性候補たちには「実力で男社会を生きてきたぜ」というタイプが多いから、記者としては有権者のどういった層から票を集めるのか興味があるな。それに政治家の娘やら妻やらを地元支援団体が担ぎ出すようなケースよりはずっと気持ちがいい。 太田 でもたびたび選挙を取材してきたけれど、選挙に出るのは本当に大変なことだよね。足を棒にして歩き、笑顔をふりまき……とほとんど力仕事のような活動を迫られる。女性刺客の面々は、その厳しさをどれだけ分かっているのだろうか。 山田 「実力で男性社会を生きてきたぜ」という人たちだから、ひらりと立候補したのではないか。期待するのは選挙活動が変わることかな。今まで男性候補者に代わって妻がなんだか偉そうに演説することに対して違和感があった。鶴保庸介参院議員が妻である野田聖子さんと政策の間で悩み、郵政民営化法案に賛成したもかかわらず野田さんの選挙活動を手伝うというのも理解しがたい。二階グループ脱退は親分に気を使っただけで、有権者に対する責任の取り方ではない。政策による選挙というなら、政治と血縁や情を混同する選挙活動も変わってほしい。 三角 ところで女性候補となるとどうしても容姿や服装が取りざたされる。赤やピンクの服が多く、男性の中で目立とうという意識が伝わってきて悲しくなる。 五十嵐 財務省課長だった片山さつきさんの髪形が一番印象的だ。青春時代の輝きを忘れられないのかもしれないなあ。 太田 私も仕事にかまけていないで、美容院に行かねばと思った。90年代半ば、大蔵省(現財務省)の記者クラブに所属したけれど、官庁の中でも大蔵は女性の採用が極端に少なく、差別意識も強かった。女子トイレまで少なかった。その中でがんばってきた片山さんはすごいと思う。官僚としてのキャリアを捨ててほしくなかった。 ◆野党は?◆ 五十嵐 野党の女性候補擁立は作戦ミスだよね。「小泉劇場」だとしたら、役者をそろえないことには勝負にならない。もっと一般の人たちの共感を呼ぶような女性候補を探してくればいいのに。 太田 そもそも民主党からは「これで勝負する」というやる気があまり伝わってこない。今回の選挙の争点を年金問題一色に塗り替えるぐらいのアジェンダ(議題)設定能力がないと政権は取れない。 山田 民主党は女性議員は多いけれど、テレビに出てくるのは男性、おじさんが圧倒的に多い。だから女性支持が伸びないのだと常々思っていた。 三角 それに対して社民党は“女性の党”だったけれど、土井たか子さん頼みでずっとやってきて、その間に新しい人材を育ててこなかったのではないかな。党存続の危機に、切り札は辻元清美さんしかいないの?という印象。 山田 辻元さんは秘書給与詐取事件で執行猶予中だ。小泉さんの女性候補擁立作戦のドサクサにまぎれて立候補したという印象をぬぐいきれない。期待する人は多いだけに残念だ。 本橋 男性候補にせよ女性候補にせよ、私が野党に期待するのは一党独裁の国にしないこと。小泉さんが郵政民営化一本やりなら、例えば郵政が民営化されても職員は10年間は共済年金に加入するためサラリーマンより優遇される方針とか、具体的な話で対抗することも有効な手段ではないか。 ◆望むこと◆ 小国 私はとりあえず夫婦別姓。超党派でさっさと実現しちゃってほしい。 太田 夫婦別姓で言うなら、高市早苗さん。結婚後も高市姓で政治活動を続けているが、これまで「家族の一体感を損なう」と別姓反対を強く主張していた。通称なら家族の一体感がたもてるという理屈なのだろうか。納得いかない。 五十嵐 野田聖子さんの少子化対策に賛同する。女性の、それも出産適齢期の女性の発言が少なすぎる。この先、子供を増やすには女性が働きながら子育てできる環境を整えるしかない。今はそうじゃないから産まないということが、なぜおじさんたちは理解できないのか。 三角 少子化対策も平和問題も女性が大きな声を出すことが必要だと思う。数は力なりとは入社して17年で感じる。女性社員が増えて労働環境はずいぶん改善されたから。 山田 女性候補者だけに特別なものを求めようとは思わないけれど、量が質の転換をもたらすことを望む。 小国 そうだよね。女性議員の数がもっと増えれば、「くノ一」作戦も存在しえなくなるし、「マドンナ候補」なんて言葉も死語になってくれると思うから。 毎日新聞 2005年8月26日 東京夕刊
by alfayoko2005
| 2005-08-27 02:02
| 国内政治
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