カテゴリ
お知らせ トランス LGB(TIQ) HIV/AIDS 米政治 国内政治 ジェンダー・セックス バックラッシュ Books Movies Theatres TV & Radio Music Others Opinions 以前の記事
2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
暮らしWORLD:ウーマンリブが新しい!?
◇法や制度はできたけど…やっぱり女は生きづらい 毎日新聞 2005年12月21日 東京夕刊 「ウーマンリブ」をご存じだろうか。社会をにぎわせた1970年代の女性解放運動。男女平等が進み、最近はとんと聞かれなくなった、と思っていたら、実はひそかに息を吹き返しつつあるという。にわかには信じがたいが……。【太田阿利佐】 ウーマンリブの旗手たちが30年も前に上演した、幻のミュージカル「女の解放」のビデオが最近発見された。この秋、初の上映会があると聞いて足を運び、驚いた。東京都内の狭い会場は約200人の観客でいっぱい。中高年女性が多いが、男性やブーツにミニスカの若い女性もいる。みなさんおしゃれでにぎやか。でも、本当に驚いたのはミュージカルの内容だ。 ♪急いで急いで走って汽車ポッポ/バンバババン/25歳はお肌の曲がり角ヨ/バンバババン/女らしさを武器にして/うまく男をパクリましょうねぇ~ ♪離さないわよ、パクッた男/バージン、エサに パクッた男/ほかの女を蹴(け)散らして/やっとつかんだ妻の座だもん~ 映像は白黒。画面は揺れるし画質も悪い。でも、歌や物語は今でも通用するほど、やたら新しいのだ。 ◆見直しの動き 1960年代、平等なはずの学生運動での男女差別から生まれた世界的なウーマンリブ運動は、70年代前半にピークを迎える。だが、日本では「女のヒステリー」などと激しい反発を受けた。主要メンバーが海外渡航したり、リブを理論化したフェミニズム(女性解放思想)に流れが受け継がれたこともあって、その後はすっかり、なりを潜めていた。 ところが昨年、日本のリブ運動の中心的存在だった田中美津さん(62)の著書「いのちの女たちへ」(初版72年)が復刻出版された。ビデオのドキュメント映画「30年のシスターフッド 70年代ウーマンリブの女たち」(制作・山上千恵子、瀬山紀子)も制作され、各地で上映会が開催されている。今秋には田中さんの最近の講演などを収めた「かけがえのない、大したことのない私」(インパクト出版会)も出るなど、にわかにリブの周辺が活気づいている。 ◆ガラスの靴 こうした動きの中で発見された「女の解放」は、芸術の女神(ミューズ)にかけたミュージカルならぬミューズカル。田中さんが台本を書き、運動拠点だった「新宿リブセンター」の女性たちが70年代半ば、全国で上演した。全編がオムニバス形式のコメディーだ。例えばこんな具合。 王子との結婚を夢見る少女「ヒンデレラ」には、魔法使いが「もしも王子様が『今夜は君を離したくない』なんて言っても、12時までに帰ってくるんだよ。最初の夜から肌身を許すような女は、ガールフレンドにはなれても妻にはなれないからねぇ」。ガラスの靴は、王子の気をひくためにわざと落としてくるようにアドバイスする。 家事は母親にまかせっきりの「あんぐり」は、会社では「家庭的で従順な女性」を装い、結婚相手を探す。ジーパン出勤の同僚女性を批判する男性上司には「あの人にはみんな困っているんですぅ、お茶くみ反対だなんて言って。だって~お茶は日本の伝統ですもの」。会場にはどっと笑いの渦が起きた。 ◆本音の力 田中さんは「よく男性の理想の女は『昼は聖母、夜は娼婦(しょうふ)』などと言うけど、実際にそんな女がいたら男はかないっこない。だから女性を母(家庭に入る女)と娼婦(性的対象)に分けてきた。でも、生きた女なら、嫌いな男にはお尻を触られたくないけれど、好きな男が触りたくなるようなお尻がほしいし、自分の思うままに生きたい。そういう本音を大切にしようというのがリブの原点でした」。 「フェミニズムが評価され、男女雇用機会均等法ができたり、セクハラ対策が社会的正義になったのはいい。でも男が求める『かわいい女』とフェミニズムがよしとする『自立した女』の両方でありたいのが多くの女の本音では。リブは理論ではなく、もともと女の本音だからこそ、力があるのでは」とも語る。 国などの統計によると、70年代半ばには女性は20代で約8割が結婚していたが、00年では約5割。でも、男女の賃金格差(フルタイム)では依然、女性の平均賃金は男性の7割以下だ。さらに、女性労働者総数に占めるパートなどの短時間雇用者の割合は65年の9・6%から02年の39・7%に増えた。一方で、介護・家事などの無償労働時間は女性が男性の約8倍。2倍前後の欧米と比べてかなり高い。 「女の解放」の上映会に来ていた29歳の女性は「田中さんが70年代に『日本国憲法で日本は男女平等になった。日本には男女差別はない』と言われた、と言っていましたが、『ああ、今と同じ!』と思った。今だって『雇用機会均等法があって男女平等だよ』なんて言われるけれど、周囲の女性は派遣社員ばかり」と話す。 ◆見果てぬ夢 「なぜフェミニズムは没落したのか」(中公新書ラクレ)の著者、荷宮(にみや)和子さんは「1980年代は、日本の女が『金があれば一人でも生きられる』と信じられた稀有(けう)な時代だった。でも、バブル崩壊で男社会は『女の進出はもう十分』に転じ、多くの男性は今も『自分のポストを女に渡すぐらいなら会社がつぶれた方がマシ』ぐらいに思っている。一方、若い女性は『どうせ評価されないなら努力はしない』と、『モテ』モードに入ってしまった」と分析。「今、リブが見直されているとしたら、それが『私たち生きづらいよね』という女の素朴な思いに近く、フェミニズムのように理論にこう着していないからでしょう」と話す。 海の向こうまでヨン様を追いかけ、胸元に視線をはわせる男に「どこ見てんのよ」と怒鳴りつける本音満載の現代女性。でも「見せかけの男女平等」と女の生きづらさが続く限り、まるで見果てぬ夢のように、リブはよみがえるのかもしれない。 ============== ◇暮らしWORLDへご意見・ご感想を ファクス 03・3212・0279 t.yukan@mbx.mainichi.co.jp
by alfayoko2005
| 2005-12-21 17:20
| ジェンダー・セックス
|
ファン申請 |
||