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[生活探偵]「食べる人」から「育児パパ」へ どう変わった?CMの家族像 (読売 2005/07/06朝刊)
テレビを見ていたら、共働き夫婦を描いたあるコマーシャル(CM)が目にとまった。単なる“手伝い”ではない父親の子育てへのかかわりが描かれている。男性が料理や洗濯をする場面はもはや珍しくない。CMに登場する家族や男女の姿は、随分変わってきた気がする。元“テレビっ子”として、改めて画面の前に座り、変化の様子を探ることにしよう。(小坂佳子) ◎ 探偵が「いいな」と思ったのは、第一生命保険のCM。保育園から「子どもが熱を出した」と仕事中の母親に連絡が入るが、父親の方が仕事を切り上げて迎えに行くという内容。父母それぞれの視線で描いた2種類の映像がある。 第一生命の本社(東京都千代田区)を訪ねると、広告宣伝課長の森田敦(つとむ)さんが「共働き世帯が960万になり、片働き世帯を上回っています。働きながら夫婦で協力しあう姿は、これからの標準になると思います」と解説してくれた。 消費者だけでなく、社内へのメッセージも込められていると聞いて、意外に思った。「4万5000人もの女性営業職員がいます。このCMを見て仕事に誇りを持ってもらいたい」のだそうだ。なるほど、社内外に働く女性の“目”があるというわけですね。 ◎ 男女や家族の描かれ方は、どんな風に変わってきたのだろう。「CM総合研究所」(東京)代表の関根建男(たつお)さんに聞いてみた。 関根さんは、「転換点は1975年ではないか」と指摘する。国際婦人年だったその年、即席めんのCMの「『わたし、作る人』『ぼく、食べる人』」という一節が「女性の役割を固定化している」と批判を浴びた。女性の社会進出が進み、バブルの崩壊もあって、家族のあり方は大きく変わった。CMは時代の変化を映す鏡と言えそうだ。 「今ではおむつを替え、炊事洗濯をする男性が登場する一方、外で働く女性の姿が目立つようになった。日本人の生活が多様化したということでしょう」と関根さん。 とはいえ、CMの第一の目的は商品や企業の宣伝。企業は伝えたいイメージに合わせた家族像を打ち出しているはずだ。しかし、時には制作者の意図を超えて受け止められることもあるらしい。 例えば、食品メーカー「味の素」でこんな話を聞いた。中華合わせ調味料「クックドゥ」のCM。父親が料理をして家族で食べる場面で「男性でも簡単に作れる」という特性を表そうとした。ところが、消費者には「簡単さ」より「女性を応援している」という点が評価され、別の意味で好感度が上がったそうだ。 ◎ ◆若者は辛口評価 確かに、CMから受ける印象は人によって違う。共働きをしている探偵だからこそ、家族の描かれ方が気になってしまうのかも。若い世代はどうなのだろう。洗剤や飲料、自動車などのCMを10本ほど録画し、フェリス女学院大学教授の諸橋泰樹さんの協力で、学生と一緒に見てみた。 画面には、さまざまな家族が登場する。「父親が出てこない」「お母さん一人で大変そう」。トイレ掃除をする男性のCMでは、「いつもはやっていない感じ」と冷ややか。妻が夫を会社まで投げ飛ばす栄養ドリンクのCMでは、「職場が男ばかり」といった指摘も。「全体に女性が男性より強く描かれている」「男女の関係は変わる途中なんだと感じた」と学生たち。 諸橋さんは、メディアが発する情報について、「送り手の意図通りに受け取る」「こんなのおかしい、と反発しながら見る」「この場合はこういう状況だろうと折り合いをつけて解釈する」の3通りの受け取り方があると説明する。「どういう家族に、自分が共感したり反発したりするのか。意識してCMを見てみると、自分の意外な価値観に気づくかもしれませんね」 なるほど、CMという鏡が映し出すのは、「時代」や「社会」だけでなく、自分自身のものの見方でもあるようだ。 《報告書》 【証言】 ◆根強い「専業主婦と働く夫」 女性とメディアの問題に詳しい東京学芸大学教授 村松泰子さんの話 テレビCMに描かれる家族や男女は社会の動きと共に少しずつ変化してきました。 男女雇用機会均等法が制定された20年ほど前から、「家事をする男」が登場し、次いで「外で働く女性」が画面に現れました。 例えば、栄養剤のCMでも、最初は「男性が飲むもの」だったのが、「男女が一緒に飲む」とか「工事現場で働く女性が飲む」となってきました。 しかし、膨大な量のCMの中では、専業主婦の妻と働く夫という家族像が今も連綿と続いています。また、解説的なナレーションはたいてい男性の声なんですよ。男性の方が論理的で信頼感があるというイメージがまだあるのでしょう。 新しい家族像や男女像は決して多数派ではないのですが、散発的ではあっても繰り返し描かれることで、私たちは次第に見慣れてきたのだと言えます。 【データ】 ◆時代を画したCM 「コマーシャルの中の男女役割を問い直す会」世話人・吉田清彦さんの話をもとに、家族やライフスタイルの描かれ方という観点から「時代を画したCM」の流れをまとめた。 1975年 即席めん 「わたし、作る人」「ぼく、食べる人」というフレーズが抗議を受け、放送中止に。 1983年 台所用合成洗剤 若いカップルが2人並んで食器をふいたり、買い物袋を提げてスキップしたり。高齢のカップルが登場するものも。 1987年 滋養強壮剤 「働く女性を応援する」というシリーズだが、疲れ切った女性の姿が描かれ、当初は「女性に仕事と家事の両方を押しつけている」という批判も寄せられた。 1991年 システムキッチン 男性が積極的に料理に取り組む姿が映し出された。 1995年 大人用紙おむつ 男性が高齢男性の介護をする。 2001年 ドリンク剤 夫と妻がともに空を飛んで仕事に出かけていく。以前のCMでは妻は夫を見送るだけだった。 2002年 洗濯用合成洗剤 工事現場などで若い男性が楽しそうに洗濯物を干す。 【余談】 ◆いいCMほめて増やそう 今年5月の1か月間に東京キー5局で放送されたCMは延べ12万1534回。1時間テレビをみると35回流れる計算だ。CM総合研究所でこんな数字を聞いて、改めて驚いた。 学生に見せる資料を作るため何時間もテレビを録画したが、「おもしろい」「新しい」と記者が感じるCMは意外に少なかった。共働きをしている自分自身の「願望」が、子どもを迎えに行く父親や家事をする男性を記憶にとどめていたのかもしれない。 上記のまとめに協力いただいた吉田さんは、「批判するのもいいのですが、いいと思ったCMはほめましょう」と話していた。声が企業に届けば、好ましいCMが増えたり、放映期間が延びたりすることもある。流れてくる膨大なCMをそのまま受け取るだけでなく、自分の視点と意見を持つことも大切だと感じた。 写真=第一生命のCMは、共働き世帯を描くことで、家族の安心を支援する企業というイメージを打ち出している 写真=録画したテレビCMを見ながら意見交換する学生たち(横浜市のフェリス女学院大学で) 写真=村松泰子さん
by alfayoko2005
| 2005-07-07 01:24
| ジェンダー・セックス
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