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Dr.北村 ただ今診察中:性犯罪被害者を救えないか (毎日 2005/07/07)
夜7時、事件は六本木で起きました。被害者は19歳の女子大生。生まれて初めての行為がレイプ(性暴力/性被害)によるものとなったのです。もちろん「レイプされたんです」とクリニックに電話が入ったわけではありません。「緊急避妊をしてください……」。 レイプとは「性的行為を望んでいないのに、望まない相手から、同意なく行われること」と定義されます。加害者となった男性を擁護するかのようなレイプ神話が世の中に根強く残っていることが、レイプ被害に遭遇した女性たちの心を苦しめています。例えば、1)男はやりたい、2)レイプ加害者は病気、3)レイプは見知らぬ人によって起こされる、4)レイプは外で起きる、5)抵抗できるはずだ、6)女性にはレイプ願望がある、7)被害者となった女性の側にも問題のあることが多い、などです。もちろん、これらはすべて誤った情報です。 東京・強姦救援センターでは、レイプの特徴を次のようにまとめています。 (1)強姦は暗い夜道で、見知らぬ男だけが引き起こすのではありません。安全なはずの場所で、信用していた男から被害を受けることが多いのです。 (2)身なりや振る舞いなど、被害者の行動が強姦の原因ではありません。強姦の原因は加害者です。 (3)衝動的な犯罪ではありません。犯行は意図的かつ計画的に行われています。 (4)加害者はさまざまな物理的、心理的手段を使い、被害者を脅し従わせます。抵抗がないことを同意だとする見方は大きな誤りです。 (5)被害は見知らぬ男からよりも顔見知りの男からのほうがはるかに多く起きています。顔見知りだから強姦ではないと決めつけたり、被害を疑うのは間違いです。顔見知りによる強姦は、加害者が立場や信用を利用して犯行におよんでいます(筆者注:「警察白書」によるとレイプ事件の加害者の6割近くが見知った男性となっています)。 (6)強姦は被害者にとって大きな心的外傷となります。この被害の深刻さは理解されていません。 (7)被害者の反応や様子はさまざまです。被害にあったらこうするとか、こうなる、こういう行動をとるということはありません。 ひとつひとつをうなずき読みながら、レイプ被害に関する誤解と偏見がいかに渦巻いているかを嘆かずにはおれません。警察庁なども実態を正確にはつかんでいないといいます。平成15年におけるレイプの認知件数は2472件といいますが、被害者からの申告なしには立件のきっかけさえ作れないわけで、現状はこの数値をはるかに超えていることだけは想像できます。今でこそ、女性警察官による事情聴取の拡大、相談電話の設置等、被害申告を促進するための施策を中心とした性犯罪被害者対策を推進しているとはいいますが、認知件数の少なさが、対策の不十分さを物語っています。 また、残念ながらわが国にはレイプ被害者を迎え入れる医療機関が、どのような手順で診察をすべきであるというようなマニュアルがありません。あったとしても、ほとんどの医師がその存在を知らないために、不用意な発言でセカンドレイプ(二次的性暴力)が行われてしまうことが少なくないようです。筆者のクリニックでも例外ではありませんが、今回は被害女性が受診された場合に、どのようなことが行われているのかをご紹介しましょう。 本来ですと、レイプ被害者を診察するキットがあって、被害女性が受診された場合には、白いシーツを敷いた上で着替えをしてもらい、そこに落ちたものを物証として保管しておきます。加害者の毛髪や陰毛などがあればそれは重要な証拠となるからです。気持ちは分からないではありませんが、ほとんどの被害者は、受診前にシャワーを浴びるなどしてしまうために自ら証拠を失ってしまっているのはとても残念なことです。 精神的なトラウマを負っている被害者に、さらにたたみ掛けるようなセカンドレイプがなされないような配慮がどうしても必要です。まずは受診した被害者を前に、来院するまでの勇気をほめ、医療従事者として必要と思われる診察があったとしても決して無理強いすることはありません。事件後72時間(最近では120時間)以内であれば、妊娠の危険性を判断したうえで、緊急避妊法が施されます。 医師としては、全身を注意深く観察しながら擦り傷や打ち身などがないか、性器や肛門周辺部に外傷がないか、処女膜などの破損状況、腟内の異物の有無、体液を採取し顕微鏡検査による精子の存在の有無などを確認します。事件直後では正確な検査結果は出ませんので、ある程度の時間が過ぎた段階でクラミジアや淋菌を検査するための検体が採取されます。事件後3カ月を経過した後、HIV抗体の検査が行われます。 被害者が法的な手段に訴えるかどうかを決めるには時間のかかることがあります。しかし、そのような気持ちが訪れた時には、診察によって得た客観的な情報が重要ですので、診察録には詳細な記述をするように努めています。 ![]() 東京・強姦救援センター: http://www.tokyo-rcc.org/center-hp-home.htm バックナンバーはこちら: http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/kitamura/archive/ 2005年7月7日
by alfayoko2005
| 2005-07-07 14:02
| ジェンダー・セックス
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