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ワーキングウーマン――均等法改正論議、間接差別禁止どうなる(生活) (日本経済 2005/07/11夕刊)
基準づくり難しく 労使の接点探る必要 男女差別は禁止された。なのに格差は縮まらない。こんな女性たちの不満を解決する切り札として期待されているのが、来年の男女雇用機会均等法改正を目指し、政府の審議会で議論されている間接差別の禁止だ。まもなく中間報告も出される。争点と今後の行方を探った。 「間接差別の概念については、労使とも異論はないんですね」。六月二十四日の労働政策審議会雇用均等分科会はテーマを間接差別に絞って議論。中立委員からの念押しに、表だって異論を唱える向きはなかった。前回の均等法改正では概念自体がはっきりしないとして先送りになったが、今回はその問題はなんとかクリアされそうだ。 間接差別とは、外見上は性に中立的な規定、基準、慣行などが、一方の性の従業員などに相当程度の不利益を与え、しかもその基準が職務と関連性がないなど合理性・正当性が認められないものを指す――。昨年六月、男女雇用機会均等政策研究会が発表した報告書は間接差別をこのように定義した。 争点は「相当程度の不利益とはどの程度か」「合理性・正当性とはどういったことをいうのか」といった中身の議論だ。日本経団連労働政策本部本部長の川本裕康氏は「合理性の中身が見えず、間接差別が無限に拡大しかねない。これでは現場が混乱する」と繰り返し強調。「間接差別の概念は社会的に浸透していない。まずは(女性管理職の登用に積極的に取り組むなどの)ポジティブアクションで格差是正に前向きに取り組む方が望ましい」と主張した。 米国では一方の性に不利益があると判断する場合、一定の基準がある。しかしEUでは定まった基準はなく、具体的な判断は裁判所にゆだねる。日本はどうするのか。 また間接差別は結果の平等を求めるものではない。報告書は間接差別の可能性があるものとして七項目をあげている。たとえば募集・採用にあたって身長・体重を要件にする、総合職の採用に全国転勤を要件にする、家族手当を世帯主に支給するなどだ。しかし、これらの基準や要件も「合理性がある」とされれば、間接差別にはならない。 ■ □ ■ とはいえ合理性の判断は確かに難しい。中立委員から「労働側は転勤を要件にするコース別人事はすべて間接差別と考えているのか」との質問もとんだ。現実には全国に支社があり、転勤が業務上必要な大手企業の制度を間接差別とするのは難しいだろう。一方でコース別を採用しながら転居を伴う転勤が十年間一度もない事業所が一〇%あるとの調査もある。 労働側は「差別は形を変えてやってくる。一律に規定するのは無理。個別事例ごとに判断するべきだ」(吉宮聡悟・連合総合男女平等局長)とし、研究会があげた事例だけでなく広く間接差別の法理を適用すべきだと主張している。 厚生労働省はこれまでの議論をもとに論点を整理。近く中間報告を発表してパブリックコメントを募り、秋から法制化に向けた議論を詰めていきたい意向だ。 やはり焦点になるのは間接差別をできるだけ具体化し予測可能性を高めることだ。それができない場合、経営側は法制化にあくまで反対しかねない。「間接差別は今回見送り、ポジティブアクションの強化で切り抜ける。その場合も企業に実質的な影響の及ばない範囲でとどめたい」。企業の本音はこういったところだろう。 しかし、前回改正時に国会で付帯決議とされ、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)からも導入勧告を受けている。見送りになった場合、何のための均等法改正かという批判が出かねない。「なにがなんでも入れたい」という思いは厚労省に強い。 委員の中からは「経営側が歩み寄れる例を指針で示す限定的なものにならざるを得ないのではないか」という声ももれてくる。「均等法も具体的な差別は指針にゆだねた。まずは間接差別の概念を法制化し、徐々に育てていけばいい」というものだ。均等分科会では間接差別にあたるものを限定して例示するネガティブリスト方式の議論もあった。 ■ □ ■ その場合、間接差別の禁止で救済されるのではないかと期待の大きいパートの賃金や福利厚生などの処遇改善は入らない可能性が高い。学者の間では「パートの処遇問題はそもそも間接差別になじまない」との立場をとる人もいる。間接差別での訴えが多かった英国をはじめEUでは、パート問題は時間差差別禁止法へと移行した。この法律は勤務時間の長短で待遇に差をつけることを禁止するものだ。 ただ、そうした動きに対しては六月三十日に「つくろう! 男女雇用平等法」と題して連合が開いたシンポジウムで、黒岩容子弁護士が「ネガティブリストでは、差別是正につながらない」とけん制した。あまりに限定すれば今度は、労働側がそっぽを向くことも考えられる。 もう一つの問題は、一般の関心が盛り上がらないこと。いくつかの女性団体が行動を起こしてはいるが、連合のシンポジウムでは会場からの質問や意見は低調だった。法制化のカギは女性たちの関心がどこまで高まるかにかかっているともいえる。 (編集委員 岩田三代) 【図・写真】均等法改正のシンポジウムも開かれている(東京都港区)
by alfayoko2005
| 2005-07-11 16:19
| ジェンダー・セックス
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