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第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議 「性」タブー視せず若者守れ=特集 (読売・大阪版 2005/07/10朝刊)
◇2005エイズ国際会議@神戸 ◆同世代による教育で効果 神戸市で1~5日に開かれた「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」では、予防と治療をめぐる社会的な課題を中心に幅広い討議が行われた。なかでも日本にとって差し迫ったテーマは、学校での性教育と一般への予防啓発。会議では、国連機関のプログラムを活用した授業や、若者たちが主体になって同世代に知識を伝える「ピア・エデュケーション(仲間による教育)」で効果を上げた報告が相次いだ。同時に、性をタブー視する社会への悩みも聞かれた。若い世代を守るために、どんな取り組みをすればよいのか。アジア各国の実情を紹介する。 ■各国の実情は… ◆異性対応適切に ――タイで 1980年代末からアジアで最初のHIV(エイズウイルス)の“感染爆発”が起きた。それを減少に転じさせた柱は、性産業で働く女性たちへの配布を含めたコンドームの普及と、学校での性教育だった。 2000年から、国連児童基金(ユニセフ)のプログラムに基づく性教育を小学校から大学まで導入。中学生からは、コンドームの装着方法も、ペニスの模型を使って教える。同時に、異性とのコミュニケーション技術を重視している。 「当初は反対意見も出たが、教育を受けた生徒たちの行動を調査すると、とくに女子で、異性の働きかけに適切な行動をとれる率が高くなった」と、政府保健省のヌチャナート・カオドゥンコエンさん。 同様に感染拡大に歯止めをかけつつあるカンボジアでも、中学からコンドームの予防効果を教えている。 ◆政府が予防へ指針 ――中国で HIV感染者の約60%が15~29歳の若者。危機感を高めた中央政府は昨年6月、予防教育指針を定め、中学から大学までの授業で性感染症のしくみと予防法を教え、感染者や患者を差別しないよう指導している。 浙江省エイズ性感染症対策課の馬ショウ勤さんが、同省2大学の学生約2万3000人に実施した調査では、学年が若いほどポルノ情報に触れた時期が早く、性交渉を持った相手の数も多かった。コンドームの使用頻度を「時々」「全くない」と答えた男子学生は、1年生で70%と、4年生の44%より圧倒的に多かった。 馬さんは「性体験の低年齢化で学生たちは高い感染リスクにさらされている。無防備な性行動の原因を探り、取り除くべきだ」と語った。 ◆オープンな雰囲気 ――インドネシアで 家族計画協会とNGO(非政府組織)が主体になり、学校外で性教育を進めている。今年までに30州のうち24州に計28か所の「ユースセンター」を開設。HIV感染や望まない妊娠を招く無防備な性交渉、薬物使用に対し、自己コントロールする能力の開発を行う。 「若い世代は、親や教師たちと性の話をするのを嫌がる。大人と話すと批判されるから、という理由のようだ」と、NGOのアリ・ユダ・ラクスマナさん。 そこで、センターのスタッフに高校生を採用。同世代での情報交換・相談で性や生殖のことをオープンに話せる雰囲気を作っている。「若者たちの意識や行動は、事業を始める前より良い方向に大きく変化している。大人のいない、快適な空間が大切だ」と分析する。 ◆寸劇やクイズ使う ――ネパールで 国連人口基金(UNFPA)は「アジアの若者向けの生殖に関する健康構想」という、ピア教育の事業を7か国で支援している。 03年から始めたネパールでは、全国41地域で現在、10~24歳の男女約900人が受講。リーダーの若者たちは、HIVや性感染などを、わかりやすい寸劇やクイズで説明している。 「婚前交渉がタブー視され、若者も『コンドーム』という言葉を口にすることすら恥ずかしがっていたが、最近は堂々と語り合っている」。プログラムの責任者、シバ・ハリ・マハージャンさん(46)はそう話す。 ◆親の妨害に負けず ――キルギスで UNFPAのピア教育プログラムの責任者を務めるイエカタリーナ・ルキチョバさん(21)は、小さな村で講座を開いた際、参加者の親にパンフレットを破られたり、コンドームを持ち去られたりした。「戒律の厳しいイスラム教国で、性教育なんてとんでもないと考える人が多い」という。 それでも宗教団体などの協力を求めながら、活動を進めるつもりだ。「同世代だからこそオープンに話し合えるし、HIV検査にも同行できる。親世代からの反発は仕方ないが、私たちは次の世代のことも考えて取り組んでいるんです」 ◆カトリックの壁 ――フィリピンで 世界で最も保守的なカトリックの国といわれ、婚前交渉や避妊具の使用、中絶などが宗教規範として禁止され、性教育やエイズ予防の障壁になっている。 「若者たちは、事実をベースにした性に関する情報に飢えている」と話したのは日刊紙コラムニスト、リナ・ジメネズ・デビッドさん。女性への暴力反対をテーマとするNGOは、大学生とプロジェクトに取り組むうち、学生たちの関心が性自体に高いことが分かり、方向を転換。性に関する視聴覚教材作りや、性に寛容な社会を目指す宣言文作りに発展したという。 別のNGOは、女性の身体と性をテーマにした番組を作り、国営テレビで96年から放送。エイズも含めて幅広く性の問題を取り上げ、国民に衝撃を与えた。マレーシアでも同様の番組が作られるようになった。 ◆教育モデル現場へ ――日本で 東京の教員グループの調査によると、高校3年女子で84年に10%程度だった性交渉経験率が02年は46%。20%余りだった男子も37%になった。 京都大医学研究科の木原雅子助教授の調査では、高校2年女子のこれまでの交際相手の数は平均3人。短期間に次々と相手を変える傾向が強まり、性交渉の時にコンドームを必ず使う率も40%程度にとどまる。 木原さんは、無防備な性交渉を「エイズなど性感染症を人ごとと思っているから」と分析。予防教育のモデルを作り、02年から教育現場に導入した。▽性関係を急ぐ必要はない▽感染症のリスクは誰にでもある▽知らない間に多人数の性関係ネットワークに入っている可能性――などを教える。 性教育に対し、「寝た子を起こすな」という批判もあるが、高校生2万人を対象に効果を調べた結果、性交渉を高校時代に持つことを肯定する割合は減少。経験率は上昇せず、コンドームの使用率は10%増えた。ただ、コンドームの使い方を教えても教えなくても教育効果に差がないことから、授業では扱わず、保健室や保健所で希望者に個別に教えているという。 ◆予防と治療の機会積極提供を 会議で示された課題 アジア・太平洋地域の感染者は昨年末の推定で820万人。このままだと今後5年間に新たに1200万人が感染するという危機にある。 会議では、若者への性教育に加え、セックスワーカー(性産業従事者)、薬物常用者、MSM(男性と性交する男性)といった社会の“日陰”にいる人たちを重視し、予防と治療の機会を積極提供することが強調された。彼ら自身の参加するNGOも訴えた。 「セックスするなと言うことで拡大を防げると思うのは間違い。大事なのは危険な性行為をしないこと。性産業の客になる男性へのコンドーム教育も重要だ」(豪州の女性シェリル・オバーズさん) 「クリーンな社会にしようと、彼らを否定して締め付けるだけではうまくいかない」(薬物常用者への清潔な注射器の提供を進めるパキスタンのタリク・ザファーさん) 違法、不道徳と言う前に病気の広がりは防ぐ。そのためにNGOと連携する。エイズの恐怖をあおるのでなく、予防と治療が可能なことを伝える。それが世界共通の方針であり、会議の合意でもある。 感染者自身の役割も大きい。インドの女性、ペリアサミ・コーサリアさんは「何が必要かが一番わかるのは私たち」と、HIV陽性者の政策参加を求めた。 日本の遅れも明確になった。NGOから「国内対策、民間との連携が不十分」と批判が相次ぎ、国連機関も「学校での性教育と一般への予防を強化すべき」と指摘した。 ◆具体的に考えること大切 HIV感染者の支援や健康教育に取り組むNPO法人「ぷれいす東京」代表、池上千寿子さん 「日本では性教育に対して逆風が強まり、10年前にはできたコンドーム装着などの授業がやれなくなってきた。モラルのようなものは否定しないが、それが教育の目標になると、性の健康に関する情報を欲しがっている若者のニーズに応えられない。真剣に性教育に取り組むアジアに学ぶところが多い。若者への働きかけで大事なのは、同世代の仲間。専門家の医師がいくら知識を教えても、身近な話として関心を持てない。若者同士で語り合う場や、どこにでもいる若者が登場するビデオなどを工夫し、コンドームの装着を男女どちらが言い出すか、それがない時はどうするかなど、具体的な場面や行動から考えてもらうことが大切だ」 写真=関連イベントで行われた日本の若者グループによる啓発活動の実演。コンドームの装着方法の説明もあった(3日、神戸商工会議所で) 写真=スピーチを終えて抱き合うHIV陽性者団体の代表ら。会議ではNGOが前面に出た(1日、ポートピアホテルでの開会式で) 写真=性差別の解消を記者会見で訴える南インド女性陽性者ネットワークのペリアサミ・コーサリアさん(2日)
by alfayoko2005
| 2005-07-12 00:49
| HIV/AIDS
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