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人身売買対策、米は草の根
被害者救援 地域住民の取り組みは (朝日 2005/07/13朝刊生活面) 人身売買の罰則強化を盛り込んだ改正刑法が12日、施行された。米国務省が今年、日本を「監視対象国」から外したのは、そんな取り組みが評価されたためだ。しかし、被害者保護で立ち遅れが目立つという指摘がある。警視庁が今月4日、タイ国籍少女に絡む事件の摘発を発表し、人身売買が身近な問題であることを改めて印象づけた。問題解決に向けて地域住民は何ができるのか、NGO(非政府組織)などが草の根の被害者保護作戦を展開する米国の現場を見た。 (竹信三恵子) NGO、警察などと連携 鮮やかな東洋風のししゅうのある口紅ケースを開けると、底に中国語で救援先のNGO名とその電話番号。裏にスペイン語の表示と電話番号を書いた聖母マリアのカードもある。 「中国系とかカトリック信者の多い南米系とか、出身国別に目立たない救援グッズを作り、働き手にそっと渡します。人身売買業者の目につかないための工夫です」。ニューヨーク市のNGO「セーフ・ホライゾン」のフローリー・パーク代表は説明する。 同市では02年、NGO・警察・司法・労働の政府機関、国際機関など17団体が連絡網「人身売買コミュニティー・レスポンス」を結成した。2週間に1回は会合を開き、被害者救援策を打ち合わせる。 救援グッズの開発もここで決めた。また、逃げて来る被害者を「ホライゾン」などが運営するシェルター(避難所)に保護し、被害を警察に訴えられるよう助ける。数十カ国語の通訳者も組織している。 市内の連邦検事局検事補は、「人身売買の特徴は、被害者が不法入国などの『犯罪者』でもあること」と言う。10年前、レストランで売春を強要されていたタイ女性たちを保護した。英語を話せず、警察に行けば処罰されるとおびえ、外にも出られなかった。「安心して逃げ込めるNGOとの連携なしでは被害者の発見さえ難しい。NGOとの連絡網は、摘発の体験が生んだ知恵なのです」 米国の各都市に今、こうした異分野横断の地域ネットが次々に生まれている。 シアトル市では、フィリピン系米国人団体や州議員が協力して救援NGOや警察・司法によるワシントン州諮問委員会が誕生し、被害者発見へ向けた協力などを義務づける合意文書を交わしている。 観光都市マイアミを抱えるフロリダ州では、地元大学が地域の核になり、NGOと地方検事局が連携、人身売買被害者の支援研修を、司法関係者も一般市民も受けられる。「一緒に研修を受けることが警察とNGOの円滑な協力につながる」と連邦司法省の職員。 シェルターを運営するNGO「リヒュージ・ハウス」は、住民から不用品を集めて売るリサイクル店の経営で運営費を稼ぐ。 日本、保護の仕組み課題 米国で連携の広がるきっかけは、00年に制定され、02年に強化された「人身売買被害者保護法(TVPA)」だった。 この法律では、帰国すると業者などから仕返しされる危険があるなど深刻なケースと認定されれば、捜査協力を条件に「Tビザ」という在留許可が出る。滞在費は難民と同様、すべて支給される。不法入国の「犯罪者」から、保護されるべき「犯罪被害者」への発想の大転換だった。 背景には、米国内での人身売買の横行がある。米政府の推計では、人身売買被害者の流入は04年で1万4500~1万7500人。買売春産業だけでなく、安い働き手が必要な介護・家事・清掃サービス業、国際競争が激化している大規模農業や大手繊維産業の下請け中小企業まで、人身売買による格安の働き手の需要が広がっている。 経済危機や地域紛争で地域間の貧富の格差の広がり、先進国の豊かさに誘い出される被害者は、世界全体で年間60万~80万人と推計されている。「各国が足並みをそろえないと人身売買の流れは止まらない。各国を人身売買防止の実施度で分類しているのは、苦肉の策だ」と米国務省の担当者は説明する。 日本では人身売買罪の新設や処罰の強化を盛り込んだ改正刑法のほか、被害者保護へ向けた行動計画も昨年発表された。だが、NGOの連絡会「人身売買禁止ネットワーク」が6月に発表した実態調査では、「ドメスティックバイオレンス(DV)被害者だけで手いっぱい」とのシェルター側の悲鳴も。 「被害者の在留許可は、法相の裁量に委ねられている。NGO側と警察の連携がほとんどなく、被害者かどうかの認定を警察だけが行っているなど、問題が多い」と吉田容子弁護士は指摘する。 フロリダ州立大学人権推進センターのテリー・クーナン所長も、罰則の強化だけでは限界がある、と話す。「日本が将来、介護などに外国人労働力を導入するのなら、保護の仕組みを整えないと奴隷労働が野放しになる。米国に応えるためでなく、人身売買業者が横行する不安な社会にしないために、地域からの対策を考えるべきだ」と助言している。 米・人身売買被害者保護法(TVPA) 【人身売買対策最低基準】 人身売買の禁止や深刻な事例に見合った罰則、人身売買で不法行為に追いやられた被害者は処罰しないなどの被害者保護措置を政府が設けていること 【05年の米国務省評価】 ●段階1 TVPAの最低基準を満たしている国(オーストラリア、スウェーデン、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、カナダなど24カ国) ●段階2 最低基準を満たそうと努力している国(日本、アフガニスタン、エジプト、シンガポール、ハンガリー、インドネシア、イランなど77カ国) ●段階2で監視対象国 段階2だが今後の動きを見守る必要がある国(アルメニア、メキシコ、ギリシャ、ロシア、インド、中国、ルワンダなど27カ国。日本は今年外れる) ●段階3 最低基準を満たさず、満たす努力もしていない国=米国が援助を控えるなどの制裁措置も(ボリビア、ビルマ、サウジアラビア、カンボジア、北朝鮮、スーダン、キューバなど14カ国) (写真)人間をモノ同様に移送する姿を表した看板。街角には人身売買防止を呼びかける広告塔が目立つ=フロリダ州マイアミで
by alfayoko2005
| 2005-07-15 21:42
| ジェンダー・セックス
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