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社説:人身売買取引 撲滅へ全力で取り組め (中国新聞 2005/07/15)
想像してほしい。言葉も通じない国に売り渡され、無理やり、風俗店などで働かされている女性たちの心情を―。今月初め、東京都のブローカーら二人が逮捕された人身売買取引事件では、被害者はわずか十三歳のタイ人少女だった。 人身取引が後を絶たない。今年一~六月に全国の警察が摘発した事件は昨年同期比で五件増の二十九件、摘発されたのは十六人増の二十九人に上ったことが、きのうの警視庁のまとめで分かった。被害者は五十一人と三倍増。摘発者、被害者ともに上半期としては過去最多という恥ずかしい記録である。 女性らに暴力を振るったり、だましたりして他国で強制的に働かせる人身売買取引は重大な人権侵害である。日本はこの卑劣な行為の「受け入れ国」となっている。 被害者の国籍はフィリピンやタイなどアジアが多くを占めているが、ルーマニアやオーストラリア、エストニアにも及んでいた。国際的な組織が関与している疑いが濃厚だ。 暴力団の暗躍も見え隠れしている。送り出す側、受け入れる側、風俗店へのあっせんといった一連の流れもできているようだ。旅券を偽造して不正に入国させるなど手口も巧妙になっている。それだけに、厳しい取り締まりが欠かせない。 こうした中、人身取引そのものを罰することができる人身売買罪を新設した改正刑法が今月、施行されたのは前進といっていい。従来の入管難民法や売春防止法、風営法などによる取り締まりよりも罰則が一段と重くなった。法の規定を積極的に活用し、悪質なブローカーの摘発を強化したい。 過去最多の摘発件数だったものの、氷山の一角にすぎない。大半は被害者が交番や大使館、入国管理局などに保護を求めたことでようやく明らかになった。このことからも水面下には多くの事件が潜んでいると推測できる。 被害者の救済も急ぎたい。不法滞在の容疑者として摘発され、事情を聴くうちに実は人身売買された被害者と判明するケースも多い。相談する相手が見つからない。ましてや自身が被害者であることにも気付かない。そうした状況に置かれているのであれば、悲惨すぎる。 昨年十二月、政府は「人身取引対策のための行動計画」を策定した。不法滞在で見つかった被害者を犯罪者としてではなく、被害者として保護するよう明記した。法相の裁量で、在留特別許可も与えられるようになった。再び被害者としないためには強制送還する前に、設備の整った施設で十分な心身のケアも必要だろう。 日本が人身売買取引の対策に本腰を入れるようになったのは昨年の米国による批判がきっかけだ。「日本は人身取引の『目的地』でありながら、法整備や犯罪摘発、被害者救済が不十分である」。ブッシュ政権の人身売買に関する年次報告はこう警鐘を鳴らしていた。 被害者は日常社会の中にいる。こうした実態を見過ごしてきたこと自体、嘆かわしい。他国に指摘されるまで手付かずだった鈍感さも反省しなければならない。
by alfayoko2005
| 2005-07-16 05:39
| ジェンダー・セックス
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