カテゴリ
お知らせ トランス LGB(TIQ) HIV/AIDS 米政治 国内政治 ジェンダー・セックス バックラッシュ Books Movies Theatres TV & Radio Music Others Opinions 以前の記事
2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
進化論論争、米で再燃(地球回覧) (日本経済 2005/08/09朝刊)
「進化論が勝てば、キリスト教は否定されてしまう」「いや違う。あなたの主張は中世への逆戻りだ」。米テネシー州の田舎町デイトンで、八十年前の夏に同町の名を全米で有名にした裁判の再現劇があった。ダーウィンの進化論を学校で教えることの是非を争った「モンキー(猿)裁判」。弁護士などにふんした役者が激論を再現した。 □ □ 当時のテネシー州は進化論を「神が人間を作ったとする聖書に反する」として学校で教えることを禁じてきた。疑問を持ったデイトンの高校教師が進化論を教え、裁判になった。一審は教師に罰金を命じたが、州最高裁は州法を有効としながらも罰金は取り消すという玉虫色の判決を下した。 米国では、その後も進化論を教えることに賛否がわれた。しかし、最近「知的な設計(インテリジェント・デザイン=ID)」と呼ばれる新しい反進化論が台頭、論争が再び熱くなっている。 知的設計論は人間が下等な生物から進化した点を認めながらも、「生命の精妙な発展は偶然だけで説明できない」と指摘。何者かによる「知的な計らい」が進化の方向を決めたと主張する。 この設計主を「神」だと明言しない点が、従来の反進化論と一線を画する特徴だ。米連邦最高裁が一九六〇年代に、特定の宗教に基づく学校教育は信仰・言論の自由を保障する米憲法に反するとしたため、知的設計論者は神という言葉を意図的に避けているのだ。 知的設計論はここ数年急速に勢力を強めている。普及の旗振り役であるシンクタンク、ディスカバリー協会のチャップマン協会代表は「立派な科学的理論であり、学校で教えるべきだ」と語る。 影響を受けたペンシルベニア州ドーバー郡の教育委員会は昨秋「進化論批判も生徒に教えるべきだ」と通達した。カンザス州も教科書に知的設計論を盛り込む方向で議論中だ。 知的設計論を学校で教えるべきだとする法案の提出は相次ぎ、今年前半にはテキサスなど十二州にのぼった。前年の倍の勢いだ。 熱心なキリスト教信者が多い米国では、最新の世論調査でも六四%の人が「人間は神の手で作られたと信じる」と回答。五五%が「進化論以外の考え方も学校で教えて構わない」と答え、知的設計論が受け入れられやすい素地がある。 キリスト教右派が政治的影響力を強めていることも、知的設計論の台頭と背後で結びついているとの指摘もある。ブッシュ大統領も一日、知的設計論などを学校で教えることを容認する考えを示し、波紋を広げた。 □ □ 「知的設計論は実証できず、学校で教えるべきでない」(アルバーツ前・全米科学アカデミー総裁)。米科学界は新たな反進化論の挑戦に危機感を募らせる。 米最大の学術団体、全米科学振興協会(AAAS)は全米の教育関係者らを対象に、知的設計論を学校で教えるべきでないとの啓蒙(けいもう)運動を積極化させている。同協会のコニー・バートカ部長は「エセ科学を信じる若者が増えれば、将来の米科学技術は危機に陥る」と警告する。 科学技術で世界を大きくリードしながら、時としてキリスト教の影響が国政をも揺さぶる米国。この国での科学と信仰との線引きは、今なお一筋縄ではいかない複雑な問題を抱えている。 (ワシントン=吉田透)
by alfayoko2005
| 2005-08-09 17:10
|
ファン申請 |
||