総選挙・茨城：決戦－選挙区情勢 ■３区■ 過去最多、５人激戦 (茨城新聞 2005/08/23)

決戦－選挙区情勢　■３区■　過去最多、５人激戦 (茨城新聞 2005/08/23)

　前回初当選し再選を目指す自民の葉梨康弘と二回続けて比例復活した民主の小泉俊明の両前職に、前回、自民から比例単独で立候補し落選した無所属の中山一生と四度目の挑戦となる共産の上野高志、社民の猿田玲の三新人が挑む。農村部と都市部が混在する３区。過去最多の五人の出馬で混戦に拍車が掛かった。

■旧守旧派との戦いに

　葉梨は解散明けから一日四十カ所以上、辻つじ立ちしている。今回の選挙を小泉改革を阻む旧守旧派との戦いと位置づけ「改革か、停滞か」と連日声をからす。

　陣営は「小泉（俊明）さんとの一騎打ちでさえ厳しいのに」と、中山の出馬で事実上の自民分裂選挙になったことに危機感を募らせ、十一日夜、党支部と後援会の合同集会を開催。葉梨は三百人以上を前に「改革が壊れるかどうかの瀬戸際で、葉梨だ、中山だのと言っていられない」と強調、党組織の戦いに引き締めを図った。

■農村部への浸透図る

　小泉は前回、葉梨に一万票差まで肉薄した。「今度こそ選挙区での勝利を」と、劣勢だった農村部への浸透を図ってきた。少人数単位のグループを多数形成し、支持拡大に努めている。

　小泉は「今やらなきゃならない問題は郵政じゃない」と“小泉戦略”を批判。二十二日には岡田克也代表とともに、景気回復や年金、農業問題を柱に政権交代を訴えた。

　高校同窓の中山の出馬に「みんなが思っている以上に強い」と警戒感を強め、乱立の懸念も「こちらは粛々とやるしかない」と意気込む。

■“遺産票”掘り起こし

　中山は元防衛庁長官・利生（故人）の長男。「地元の声を国政に届けられない悔しい思い」から、選挙区からの立候補を決意。突然の立候補表明に自民党県連は不快感をにじませているが、「自民党の公認を得るのは難しく、このままだと自分の立場もない」と思いを語る。

　選挙戦は利生の後援会が軸。地元市議会の保守系議員（十九人）がそろって支援に回るのは利生時代にはなく、今回が初めて。利生の“遺産票”の掘り起こしに懸命。

　後援会幹部の大半は自民党員で、前回は葉梨を支援。この“ねじれ現象”が保守票をつぶし合い、小泉が「漁夫の利」を得る可能性もある。

■野党の存在感を示す

　上野は四度目の挑戦。先代の中山、葉梨と戦ってきた。今回の選挙を「確かな野党としての存在感を示す戦い」と位置づけ、「小泉改革は弱者いじめ。国民の生活、福祉中心の予算編成を」と街頭から訴える。

　小泉政権そのものに対しても、「痛みの後には明るい未来があるように見せかけた」と批判。前回、得票を伸ばせなかったことから「今回は十万票が目標」と意気込む。

■性別欄の撤廃求める

　猿田は今月十九日に急きょ、社民党唯一の本県小選挙区の候補者に担ぎ出された。立正大法学部法学科を卒業後、性同一性障害者の立場から、自治体が扱う証明書など行政文書に記入する性別欄の撤廃を求める運動を続けてきた。

　陣営は「擁立の遅れは否定しないが、３区は勤労者が多く、地の利はある」と知名度アップと政策浸透に全力を挙げる。
（敬称略）

【選挙区内の市町村】龍ケ崎市、取手市、牛久市、守谷市、稲敷市、美浦村、阿見町、河内町、利根町
　※有権者数　３７８１２７人（６月２日現在）

【立候補予定者】
葉梨　康弘　45　自民前①
小泉　俊明　48　民主前②
上野　高志　40　共産新　
猿田　　玲　27　社民新　
中山　一生　42　無新　　
（丸数字は当選回数）

【前回の選挙結果】
　当１０２３１５葉梨　康弘　自新
比当　９２３０６小泉　俊明　民前
　　　１４５４６上野　高志　共新
投票率５７．６４％

♪太字は引用者

衆議院茨城3区：社民がGIDの候補者擁立 / Japan: Trans man runs for MP as Social Democrats' candidate