カテゴリ
お知らせ トランス LGB(TIQ) HIV/AIDS 米政治 国内政治 ジェンダー・セックス バックラッシュ Books Movies Theatres TV & Radio Music Others Opinions 以前の記事
2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
小泉流『女性候補』を研究 (東京 2005/08/30朝刊)
「くノ一」「刺客」などといわれる自民党の女性候補予定者が話題だ。小泉首相はしきりと「改革のマドンナ」と持ち上げて、次々と擁立してきた。確かに、十分なキャリアを持ち、カラフルなスーツに身を包み、いでたちも見栄えがする。マドンナといえば一九八九年の参院選で、大量当選した記憶がよみがえる。だが、当時の女性たちと何かが違う。小泉流「マドンナ」を解剖すると-。 「ヒットマンとして女性を使うな」(福島瑞穂・社民党党首)。「女性を引っ張り出しても、いじめてポイ捨て」(田中真紀子前議員)。「女性の出馬が難しいとされた自民党なのに、今回に限って女性なら誰でもいいというなら、バカにしないで」(野田聖子前議員)。小泉流の女性候補擁立に、対立する女性たちの反発は強い。 一般の女性たちも総じて冷ややかだ。東京都内の出版社の女性編集者(32)は、「小泉のために頑張る女性たち、という構図が前面に押し出されていることが一番イヤ。結局、男を助けるために、女であることを強調して立候補するの?と思ってしまう」と話す。 ■仕事に家庭に華麗な経歴 評論家の小沢遼子氏はもっと手厳しい。「(女性候補は)男たちの話題になることを狙っている。ミニスカートに付けまつげの方が、男たちにとっては付き合いやすい。ミスコン(美人コンテスト)みたいなものね」と切り捨てる。 だが、マドンナたちの経歴は華麗だ。キャリアに加え、結婚や出産を経験している人もいる。 東京10区に立候補する小池百合子環境相(53)は、アラビア語を話すテレビキャスターとして活躍。九二年の参院選で日本新党から初当選して以来、新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩いてきたが、いずれも党内実力者に近い立場を取ってきた。 岐阜1区に立候補するエコノミスト、佐藤ゆかり氏(44)は米ニューヨーク大学で経済学博士号を取得。外資系証券会社のチーフエコノミストを務める。 愛知4区から出る料理研究家、藤野真紀子氏(55)は「カリスマ主婦」。聖心女子大を卒業し、運輸官僚だった藤野公孝参院議員(自民)と結婚。夫の海外赴任先で料理を学び、著書もある。娘が二人いる。 静岡7区に出馬する前財務省課長、片山さつき氏(46)は、東大在学中にファッション誌のモデルを経験、「東大の山口百恵」といわれた。女性初の主計官として注目を浴びた。夫は産業再生機構執行役員。 上智大学教授、猪口邦子氏(53)は、比例代表東京ブロック1位で立候補する。外交論が専門で、ジュネーブ軍縮会議の政府代表部大使も務めた。夫は東京大学教授で、娘が二人いる。 マドンナ旋風といえば、八九年の参院選が有名だ。女性二十二人が当選し、うち十一人が土井たか子委員長(当時)率いる社会党だった。 当時は、消費税への反発、宇野宗佑首相の女性スキャンダルが重なり、「男性に政治を任せておけない」という世論が高まった。当選した女性議員からも「台所の声を政治へ」「女性の期待を感じた」との言葉が飛び交い、「男性との対峙(たいじ)」が政治姿勢だった。 革新系女性議員の出身は教員、市民運動家、研究者が多く、保守系は看護師、薬剤師。女性の職種が限定されていた中で、専門職に就き長年、男女平等や女性の社会参加を訴えてきた。 当時の女性議員から見ても、今回の擁立劇は不満のようだ。八九年の参院選に当選し、現在は日本婦人有権者同盟代表の紀平悌子氏(77)は「票さえ取れればいいと女性を用いることは、男女平等の憲法に沿ったものでも男女共同参画型でもない」と嘆く。出馬する女性に対しても「自分が適任かどうか客観的な目で確認することが必要。男の政治から女の政治へと願ってきた私としては、彼女たちがなぜ受けたのか疑問を持つ」。 マドンナブームが続いた九〇年から、二期衆院議員を務めた弁護士の伊東秀子氏(62)は「生命、生活、健康など人間の根源にかかわる問題を政治の中心へ持って行こうと、女性たちは切実な思いで選挙に出ていた。リスクを抱えても政治の場で訴えたいことがあるから出るのならいいが、選ばれたタレントのような気持ちでいるのではないか」と批判する。 一方で、冷静な見方もある。「共通項は『ぶりっこ』。何もかも“女性初”といわれる中で『これを利用しない手はない』と、うまくやってきた人たち。男女雇用機会均等法直前の世代は、輪ゴムで髪をひっつめて頑張るか、ぶりっこするしか生き残る道はなかった」と女性会社員(42)は「同情」を寄せる。 都内の自営業女性(36)は「利用されているふりをして『バカね、男は』と利用している。ヘッドハンティングされて、次へのキャリアアップ、くらいの考えなんだと思う」としたたかな面をみる。 銀座のホステス(27)は「テレビや雑誌を見ると、女性候補に批判的で、何を信じていいのかわからない」と距離を置きつつも「女性の議員が増えることはいいと思う」と話す。 山口県立大学の三宅義子教授(女性学)は「八九年のときは社会進出できない女性の屈折したエネルギーを利用した。当時は喜ばしいことだったし、新鮮でもあった」と話す。今回の女性擁立については「自民党が集票に利用し、女性側もキャリアアップに自民党を利用している」と指摘。 その背景を「キャリアを持った女性が増えており、それだけ候補者になりうる層が厚くなっていることは事実だ」と社会構造の変化も指摘する。男女雇用機会均等法が施行されてちょうど二十年がたった。 「女性の社会進出が進み、男女共同参画社会を受け、四十代くらいの働く女性が増えた。男性にも、もっと活躍できる場所があれば転身する人がいるように、女性にもそういう人が増えたということだろう」 実際、総務省の統計では、八九年はサラリーマン世帯のうち専業主婦世帯は九百十一万世帯、共働き世帯は九百十九万世帯とほぼ同数。それが昨年には専業主婦世帯が八百四十二万世帯に減り、共働き世帯は九百六十一万世帯に増え、働く女性は増加している。 彼女たちを擁立した“小泉流”に対してNPO法人「女性と仕事研究所」の金谷千慧子代表は「『小泉さんが出ろと言うから』とか『小泉さんの志を全うしたい』とか話しており、自ら国会に出るんだという意思の発露が見えない。小泉さんの戦略にまんまと乗せられている感じだ」と話す。 ■ターゲットはやはり男性票 “小泉流”は時代の最先端といえるかもしれないが、選挙戦で支持は得られるのか。放送作家の山田美保子氏はこう断言する。「今、一般の女性で『私ばっかり損している』と言う人が、すごく多い。何かやれば評価され、キャリアアップしてきた女性候補たちが、日々悶々(もんもん)としている一般の主婦の思いを、どれだけくみ取れるのか。やはり男性票狙いだと思う」 ♪ 「東大の山口百恵」 「バカにしないでよ」 「改革のマドンナたち」(ガーディアン)他、日本総選挙についての海外メディアの記事から
by alfayoko2005
| 2005-08-30 10:54
| ジェンダー・セックス
|
ファン申請 |
||