30歳の最年少府議が告白本でカミングアウト「私はレズビアン」 (週刊現代 2005/09/17)

30歳の最年少府議が告白本でカミングアウト「私はレズビアン」 (週刊現代 2005/09/17　54ページ)

　総選挙一色の大阪で、いま一人の府議会議員が注目を集めている。『カミングアウト』（講談社刊）という衝撃的な著書を出した尾辻かな子府議（30歳）である。この書で彼女は自分がレズビアンであることを公表する同時に、同性愛者としての視点から社会の矛盾や問題点を指摘している。

　'74年大阪生まれの尾辻氏は、高校時代に空手道で高校チャンピオン及びアジアジュニアチャンピオンに輝き、高知大、ソウル大、同志社大を経て、２年前の府議選で最年少で当選した。尾辻氏が語る。「当選時、多くの人からなぜ政治を志したのかと聞かれましたが、『自分が同性愛者だから社会の矛盾点を強く感じていた』と正直に答えられずに、もどかしい思いをしました。しかし、カナダを始め海外では同性愛者だと公表している国会議員が当選しつづけていることを知り、私も有権者の皆様に自分のことを正直に話そうと決意したんです」

　尾辻府議は、大阪府の性教育やスクールセクハラ対策について太田房江府知事に質問したのを皮切りに、さまぎまな社会問題に関して積極的に取り組んでいる。

　「東京都は５２０件のパブリックコメントによって、ようやく人権指針の中にマイノリティへの差別禁止条文を入れました。大阪府でも指針はありますが、具体的な取り組みは何も進んでいません。

　そもそもＧ８の中で同性カップルに対して婚姻に準じた法的な保障がないのは、イタリア、ロシアと日本だけです。同居しているパートナーに万一事故があっても、親族でないという理由で安否を教えてもらえないし、会社で忌引きも取れない。財産分与も保険金の受け取りもできません。こうした不平等な制度を変えていきたいんです」

　性的マイノリティの人権問題になると、尾辻氏の舌鋒は鋭い。ところでご自分の私生活は？

「私は現在、女性のパートナーと同居しています。府議会議員として大変忙しい毎日ですが、二人でうまく協力しあって暮らしていますよ」

（写真：『カミングアウト』表紙）次は国勢（原文のまま）選挙に引っぱられる？