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論説 : 人権擁護法案/いつまでも先送りできない (山陰中央新報 2005/09/04)
差別や虐待などからの救済をうたった人権擁護法案の国会提出が見送られ、総選挙になった。政府がメディア規制条項などへの批判を正面から受け止めたからではなく、自民党内で「人権の定義など問題点が多い」と反対論が出されたためだ。 先の国会では、郵政民営化法案の影響を受け、多くの重要法案が審議時間の不足によって廃案になった。人権擁護法案も国会提出を確実視されながら、自民党内の反対論に加えて、郵政論議のあおりを食った面がある。 政府から独立した人権救済機関の創設は、国連が伝統的な自由権について定めた「市民的および政治的権利に関する国際規約」(B規約)の委員会から一九九八年、日本政府に「強く勧告」されている課題だ。いつまでも先送りしていたのでは、国際社会から信用されなくなる。メディア規制条項を削除し、法務省の外局ではなく内閣の直轄機関にするなど、懸念される部分を修正した上で、早く救済機関をつくるべきだ。 現在の憲法は四七年五月に施行され、基本的人権の尊重は国民主権、平和主義とともに三本柱の一つ。両性の平等、生存権の保障などが新たに規定され、定着してきたが、今日では日本の人権保障は国際社会の動向と無縁ではいられないように変わってきている。 第二次大戦後、戦争への反省から各国間で人権保障規定を求める声が高まり四五年に国連憲章が採択された。この憲章と四八年の世界人権宣言を軸に今日の国際的な人権保障の仕組みがつくられた。 世界人権宣言を具体化した基本的な人権保障の条約が国際人権規約だ。国連が六六年に採択。日本は七九年に批准した。B規約のほか、社会権を定めた「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」(A規約)がある。 国連ではさらに人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約、子どもの権利条約などが作られた。主な人権関連条約はいま、十二を数え、条約ごとに各国の実施状況を監視する委員会がある。 加盟国は数年置きに国内の人権状況を委員会へ報告し、審査を受ける。日本政府の報告書についても委員会から不十分な点について改善を求める勧告などが出されている。勧告に拘束力はないが、政府はもっと敏感に対応すべきだ。 欧州では人権条約が結ばれており、この条約に基づいて設けられた人権裁判所の判決を受けて、オーストリアが相続差別規定を改正した例などがある。アジアにはまだ人権裁判所はない。 今回、国会で廃案になった法案の中に、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪行為の実行を相談しただけで罪に問う「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案があった。これも国際的な流れに沿った立法の一例だ。 もともと、この法案は国際組織犯罪防止条約の内容を国内で実施するのが目的だった。しかし実際に政府が作った法案は、治安強化の手段として役立てることに傾きすぎたようだ。人権擁護法案と同様、最近の政府提出法案には時として、本来の趣旨とは違う取り締まり優先の狙いが目立つ。人権抑圧を招きかねない法案ならば、廃案もやむを得ない。
by alfayoko2005
| 2005-09-05 19:16
| 国内政治
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