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Newsweek ON JAPAN 連載コラム
Girls With Swords 小泉が見誤った女刺客の実力 自民党の「くの一軍団」はただの捨て駒で終わらない デーナ・ルイス 女性の殺し屋は愛すべき存在といえる。たとえば、日本刀を手に敵をなぎ倒す『キル・ビル』のヒロイン。現実の世界では男性の殺し屋のほうが圧倒的に多いだけに、ポップカルチャーでは女の殺し屋は大もてだ。そして他の例にもれず、女の刺客にも日本には独特の伝統がある。 女忍者の「くの一」だ。由美かおるは着物を脱ぎ捨てて黄門様を守り、コミック誌で人気のあずみは自在に剣を操る。私も「くの一」は大好きだが、とくにひいきなのは白土三平の『サスケ』や『忍者武芸帳』に登場する忍びの女たちだ。やさしいお姉さんが変身の術で一瞬にして黒髪を垂らした「くの一」に変わり、手裏剣を飛ばす。 以前とは違うマドンナ旋風 おっと、いつまでたっても本題に入れない。もっとも、ここ2週間は日本のメディアも脱線ぎみだ。小泉純一郎首相が郵政改革に抵抗する造反議員の対抗馬として、続々と女性候補の擁立を決め、「くの一」「刺客」といった言葉が新聞の見出しをにぎわしている。元祖くの一ともいえる野田聖子までが、新たな刺客でエコノミストの佐藤ゆかりと一戦交えることになった。もっとも、野田も文句は言えまい。「抜け忍」は地の果てまでも追われて、消されるのが忍びのおきてだ。 女性が注目される政局にフェミニストは不満顔だ。公認候補にふさわしい女性がいるなら、なぜ自民党は前回の選挙で彼女たちを擁立しなかったのかと言いたいのだろう。前回の選挙で女性の衆議院議員は35人から34人に減り、日本は女性議員の比率ランキングでケニアと並んで184カ国中98位に転落した。 しかも、過去の女性議員の多くと同様、今回擁立された女刺客も一部は「捨て駒」にされそうだ。地盤もない地方選挙区に送り込まれ、「自爆」する運命にある。党執行部はそれでもいいと判断したのだろう。どうせ勝てないのなら、テレビ映りのいい候補を立てて女性にやさしい自民党のイメージを売り込めばいい、と。 斜に構えたくもなる。私は1970年代半ばから、日本の女性の政界進出に関する記事を書いてきた。だが、状況は一進一退だ。土井たか子率いる社会党がマドンナブームを巻き起こしたのは1989年の参院選だが、1992年には衆院の女性議員の比率は1.4%まで低下。その後少しずつ増えて、現在は7.1%になった。 しかし、ばかげた刺客騒ぎをよそに、党に尽くしてきた現職の女性議員のなかには苦戦を強いられている人もいる。女性初の官房長官を務めた自民党の森山真弓や、小選挙区からの出馬を取りやめた社民党の土井たか子たちだ。 それでも、今回のブームはこれまでとは違う予感がする。小泉は自分が考えている以上に大きな何かを解き放つことになるかもしれない。 これまでの女性政治家が得意としてきたのは、女性、子育てなど「女の問題」といわれるような政策分野だった。だが、いかにも有能でクールな元財務官僚の片山さつきは、そんな型には収まらない。猪口邦子は外交の国際舞台で知られた人物だし、小池百合子は政界でしたたかに生き抜いてきた。 女忍者がいずれ天下を取る 女性が必ずしもソフトで優柔不断ではないことは、欧米の例からもよくわかる(コンドリーザ・ライス米国務長官がいい例だ)。小泉は単に都市部の女性票をつかむために、新世代の野心的な女性たちを政治の場に引き入れたのかもしれない。彼女たちは比例区名簿でも上位の「特別枠」を約束されているため、しばらく永田町にとどまることになるだろう。私には、この女刺客たちが忍びらしく影にとどまるとは思えないのだ。 楽観的すぎる? そうかもしれない。だが、いくら忍びでも「忍びがたい」ことはある。小泉の放った女刺客やその後継者たちが「天下を取りたい!」と思う日が来るかもしれない。 悪代官たち、覚悟めされよ! デーナ・ルイス 本誌コラムニスト。1980年代から東京とワシントンを拠点に日本のさまざまな問題に関する記事を執筆。日本のマンガの英訳も数多く手がけている。 ●このコラムについてのご意見・ご感想をonjapan@nwj.ne.jpまでお寄せください。 ニューズウィーク日本版 2004年9月7日号 P.13
by alfayoko2005
| 2005-09-07 11:28
| ジェンダー・セックス
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