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在外選挙権の制限は「違憲」 最高裁判決 3
【社説】2005年09月15日(木曜日)付 - 朝日 在外投票権 国会の怠慢はひどすぎた あれほど盛り上がった今回の総選挙で、一番身近な小選挙区の投票ができなかった人たちが70万人もいる。仕事などで海外に住む人やその家族たちだ。 そういう状態は平等な参政権を保障する憲法に違反する、と最高裁が判決を言い渡した。 国会に厳しい注文をつけた画期的な判決である。 こんな当たり前のことが、なぜ今まで認められなかったのか不思議なほどだ。国会の怠慢をあらためて痛感する。 海外に住む日本人は年々ふえている。この人たちが投票できるようになったのは、98年の公選法改正からだ。ところが、投票を認められたのは衆院と参院の比例区だけで、衆院小選挙区と参院選挙区については投票ができない。 在外投票を比例区だけに限ることについて、国は「候補者の個人名を書く選挙区選挙で、名前や政見などの情報を海外の有権者に平等に届けるのは困難だ」と理由を説明してきた。 これに対し、最高裁は「通信手段が地球規模で目覚ましい発達をとげている」と述べ、国の主張を退けた。参院比例区は、政党の名簿に載っている候補者の名前を書けるように制度が変わっている。そもそも国の主張は無理があった。 判決はふたつの点で注目される。 まず、海外に住む人たちは次の衆院選と参院選では選挙区でも投票できる権利があることを確認した。欠陥がある公選法の改正を「遅くとも次の選挙まで」と期限を切って国会に迫っているのだ。 裁判所が国会にはっきりと立法を求めることは異例だ。違憲の度合いがそれほどひどいという判断である。 二つ目は、98年の公選法改正までの状態について「何らの立法措置もとらなかった」と国会の責任をただしたことだ。これを踏まえ、原告1人あたり5千円を賠償するよう国に命じた。 84年に当時の内閣が在外投票制度を提案した。技術的にこの制度が可能であるとわかっていた。それなのに、国会が10年以上の長きにわたって放っておいたのは怠慢だ、という論理である。 通信技術の発達を指摘した判決を読むと、選挙運動でインターネットを使えない現在の制度はやはり時代に合わないと感じる。 海外にとどまらず、国内の有権者も政党や候補者のホームページから選挙期間中の最新情報を読みたい。電話での選挙運動がよくて電子メールが駄目だというのは、どう考えても理屈が通らない。 海外に住んだ経験のある人からは、現在の在外投票制度は手間がかかって使いにくいという声が上がっている。 大使館などで在外選挙人名簿への登録を申請し、その書類が国内で最後に住んでいた市町村に送られ、在外選挙人証を受け取るまでに2カ月ほどかかる。 国民一人ひとりが政治に参加する大切な制度である。これを機会に、もっと使いやすくする工夫が必要だ。 【天声人語】2005年09月16日(金曜日)付 - 朝日 樋口一葉の日記に、総選挙の投票日についての一節がある。「この日総撰挙投票当日なれは市中の景況いつ方も何となく色めきたる姿なりし」(『明治文学全集』筑摩書房)。 当時は、女性に選挙権はなく、男性の限られた層しか投票ができない制限選挙だった。それでも文面からは、選挙という新しい仕組みが始まった明治中ごろの街と人々の様子がうかがえる。 それから1世紀余りたった今、選挙権は成人した日本人に行き渡っている。しかし、外国に住む日本人には、国政選挙では比例区の投票しか認められていない。この「制限選挙」は不当だとする訴えを最高裁大法廷が認め、「公選法の規定は憲法違反だ」という判断を示した。 これまでは、国政選挙のありかたについては、国会の裁量を幅広く認める判断が主流だったから、流れを大きく変える判決だ。国民の投票する権利を重くみて、不当な制限を長い間放置してきた国会の無責任さを指摘した。これに限らない、立法府の怠慢への、厳しい警告のようにもみえる。 世界では、多くの先進国に在外選挙の制度がある。国立国会図書館によると、選挙資格で出国後の年数を問う国と問わない国とに分かれている。制限がないのは、アメリカ、フランス、イタリアなどだ。ドイツでは一般人の場合、出国後10年、カナダは5年まで資格がある(『在外選挙ハンドブック』ぎょうせい)。 今回の判決で、最高裁は、1人当たり5千円の慰謝料を原告に支払うよう国に命じた。額は樋口一葉1枚だが、原告が手にしたものは重い。 社説:在外投票制度 時代に合った選挙法に (中日/東京 2005/09/16) 民意を選挙結果に正しく反映させるために、公職選挙法は常に見直していかなければならない。一部政党の思惑や事務当局の怠慢を排し、時代に適合した制度にするのは国会に課せられた責務だ。 「海外在住者の選挙権を衆議院と参議院の比例代表に限定している公職選挙法は、公務員の選定権を国民に保障した憲法一五条違反」とした最高裁判決は、単なる違憲判断を超えた大きな意義を持つ。 「国内居住者と同じに改正しなかったのは違法」と立法不作為による国家賠償を初めて命じたからだ。立法や行政をチェックし、憲法の軌道に戻す司法の使命が果たされた。 海外で投票する権利を求める運動は三十年以上前から続き、七年前にようやく実現したものの選挙区の投票権は与えられなかった。 権利の限定は、「野党支持者が多いのでは」とみる自民党の消極的態度と、「候補者に関する情報を短期間に周知するのは困難」という事務当局の抵抗のためだったという。 自民党の思惑は論外だし、通信手段の飛躍的進歩で情報流通にほとんど国境はなくなった。抵抗は「煩わしい」が本音だろう。 最高裁は政府、国会に次の選挙までの期限付きで改正を迫ったが、同時に改めたい点はほかにもある。 まず面倒な手続きだ。外国で投票するにはあらかじめ在外選挙人名簿に登録し在外選挙人証を入手しなければならないが、申請から入手までに二、三カ月かかる。 投票場所が大使館や領事館など在外公館に限られ、少なすぎるという不満も出ている。郵便投票も可能だが、現地と日本の間を関係書類が一往復半も行ったり来たりする。 より多くの人が権利を行使しやすいよう、有権者の視線で時代に合った制度を再構築すべきだ。 選挙戦におけるインターネットの活用も時代の要請だ。十分な監視が難しいので、完全自由だと無秩序、無責任になりかねないが、いまやインターネットは情報交換に欠かせない。工夫して有効利用したい。 選挙権年齢の十八歳への引き下げも考えるべきだ。国会図書館の調べでは、十八歳としている国が約百四十もあるという。高齢化が進む日本では政治が高齢者の意思で動きがちになる。今後の社会を支える若者が政治に参加できないのでは責任感も生まれまい。 高卒で就職する人は多い。大学生もさまざまな場所で社会貢献している。十八歳なら自衛隊員にもなれる。「大人は二十歳から」という根拠は薄くなっているのではないか。
by alfayoko2005
| 2005-09-16 10:15
| 国内政治
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