男性優位の仏政界に波紋…大物２女性が大統領選に意欲

2007年仏大統領選は女性対決？　左右両陣営とも“出馬宣言” (産経 2005/09/28)

男性候補難航で「好機」

　【パリ＝山口昌子】二〇〇七年に予定されるフランスの次期大統領選に、左右両陣営から女性候補が出馬する可能性が出てきた。最近、相次いで“出馬宣言” した国民運動連合（ＵＭＰ）のアリヨマリ国防相（５９）と、社会党のロワイヤル元環境相（５２）である。両陣営とも男性候補が牽制（けんせい）し合っている中で、女性候補二人ともやる気満々で、支持率も結構、高い。

　アリヨマリ国防相は二十五日付の日曜紙、「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」（ＪＤＤ）との会見で、「大統領論議に参加するのはいうまでもない。第一線で役割を演じる意思もある」と、事実上の出馬宣言を行った。

　ロワイヤル元環境相は二十二日発行の週刊誌「パリ・マッチ」で、「もし自分が最良の位置にいることが明らかで、社会党から請われるなら、わが陣営を勝利に導く」と、早くも“勝利予告”までしたほどだ。

　国防相は、父親の代からのドゴール派で、保守政党、共和国連合（ＲＰＲ）が中道政党の一部と合体してＵＭＰに発展する前の最後のＲＰＲ党首を務めている。

　ともに大統領選候補として有力視される、ドビルパン首相とサルコジ内相（ＵＭＰ党首）との出馬争いに決着がつかない場合、国防相にお鉢が回ってくる可能性はある。

　元環境相はエリート校、国立行政学院（ＥＮＡ）時代からの社会党の闘士で、昨年の地方選では当時、首相だったラファラン氏のおひざ元で当選、党躍進の立役者になった。ＥＮＡの同級生である夫(注)、オランド社会党第一書記より支持率は常にずっと上位だ。

　「パリ・マッチ」の世論調査でも、ロワイヤル氏は支持率でアリヨマリ氏（八位）を抜いて七位で、ＪＤＤの世論調査では、左派陣営ではラング元文化相に次ぐ二位だ。

　社会党は、欧州憲法の批准の是非をめぐる国民投票で、第一書記が賛成派でファビウス元首相が反対派と二つに割れた。大統領選候補についてもファビウス氏か、ストロスカーン元財務相か、政界引退を表明したジョスパン元首相か－など全く絞り込めない状態であるだけに、こちらからも元環境相が候補に躍り出てくる余地はありそうだ。

　過去の大統領選でも、ビュフェ共産党議長や極左の「労働者の戦い」のラギエ党首ら女性が候補者になったことはある。ただ、いずれも小党で支持率も低く、当選の可能性は端からなかった。その点、国防相も元環境相も立候補となれば、大政党がバックとなる。もっとも、男性議員の反発は強く、「大統領選は美人コンテストではない」など当てつけも聞かれる。

男性優位の仏政界に波紋…大物２女性が大統領選に意欲 (読売 2005/09/30)

　【パリ＝島崎雅夫】フランスで、左右両陣営の２人の有力女性政治家が２００７年の仏大統領選に出馬する意欲を示し、男性優位の仏政界に波紋を広げている。

　この２人は、保守与党・民衆運動連合（ＵＭＰ）のミシェル・アリヨマリ国防相（５９）と、最大野党・社会党のオランド第１書記の夫人（注）で、環境、家族相を務めたセゴレーヌ・ロワイヤル氏（５２）。

　アリヨマリ国防相は２５日付の日曜紙「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」との会見で、「トップの役割を果たす意思はある。大統領選論議にも参加する」と宣言。ロワイヤル元環境相も２２日発行の週刊誌「パリ・マッチ」で、「社会党に要請されるなら大統領選で戦う。保守の与党候補に勝つ自信はある」と断言した。

　仏ではこれまで、共産党や極左の女性幹部が候補者になったことはあるが、２大政党の有力女性政治家が同時に出馬に意欲を示したのは初めて。アリヨマリ国防相は今年６月の組閣で首相候補の１人になった党内実力者、ロワイヤル元環境相も社会党内ではジャック・ラング元文化相に次ぐ人気を誇っており、女性の政治進出が遅れる仏政界（国民議会＝下院の女性議員の割合は１２％で世界７４位）に衝撃を与えている。

　保守陣営はシラク大統領の後継をめぐって、ドビルパン首相とサルコジ内相が激しく争っている最中で、アリヨマリ国防相の突然の出馬への動きに多くの議員はとまどいを隠せない。社会党陣営からも、有力大統領候補の１人ファビウス元首相が「子供の面倒は誰が見るのか」と語ったほか、「美人コンテストではない」など動揺ぶりを示す声がでている。

（注）「夫」「夫人」とあるが、正確には両者はPaCS関係である。

フランス：2007年大統領選出馬を目指す二人の女性 - UPI