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米最高裁長官ウィリアム・レンキスト氏――保守的憲法判断、揺るがず(追想録) (日本経済 2005/09/30夕刊)
「亡くなる前の週に病院で『主治医は誰ですか?』って聞かれて、『歯科医だ』って答えていました」 大学時代からの付き合いだったオコーナー最高裁判事は葬儀で、片時もユーモアを忘れなかった人柄を惜しんだ。しかし自らデザインしたローブを纏(まと)った時、その影響力は計り知れないものだった。 中絶の権利は認めない。黒人など少数派への優遇を認めるアファーマティブ・アクションには反対。政治と宗教の壁は低く――。 米国という巨大な社会を統治する三権のうち、司法の頂点にたつ最高裁の判事だけが終身任期を持つ。女性の社会進出が加速し、公民権運動で黒人の地位向上を求める機運が高まっていた一九七〇年代には「異端児」の扱いを受けた保守的な憲法判断は揺らぐことがなく、いつしか主流の価値観として支持されるようになった。 祖父母はスウェーデンからの移民。スタンフォード大ロースクールを卒業し、法律事務所時代に共和党の活動に深くかかわった。大統領候補の顧問を務めたことがきっかけで後にニクソン大統領の信頼を得、最高裁判事に指名された。 七三年。最高裁は中絶を合法と認める歴史的な判決を判事九人のうち七人の賛成で下した。前年に判事に就任したレンキスト氏=写真はAP=は違法と主張したひとり。九二年に最高裁は改めて中絶合法を確認したが、判事の判断は五対四に接近した。レンキスト氏が表した少数意見は「中絶合法という判例を多数の人々が当然と見なしているとしても、法廷が判例の過ちを正す妨げにはならない」と指摘し、世論に迎合した法解釈が正しいとは限らないと持論を展開した。 一人で多数意見の判決に反対することも多く「一匹おおかみ」と呼ばれもした。八三年には人種差別を容認する私大には税控除を認めないとの判決に「差別には反対だが判決には根拠がない」と一人で反論し、大きな議論を呼んだ。 八六年に長官に昇格した後、訴訟合戦となった二〇〇〇年の大統領選挙でブッシュ氏勝利を事実上決定した判決を下す。フロリダ州でゴア陣営が求めた手作業による再集計は「不公平が生じる可能性があり違憲」。審理を受理したことも含め賛否が渦巻いた。 ただゴア陣営の弁護士を務めたハーバード大のトライブ教授は「レンキスト氏の前で三十回以上、意見を陳述したが、自分の才能をひけらかすような発言を聞いたことがない」と、判断は異なっても尊敬に値する偉大な判事だったと振り返った。 こよなく愛したギルバート&サリバンのオペレッタの衣装をヒントに黄金の筋をあしらった長官用ローブを新調した。選挙、スポーツ、果ては積雪量まで同僚判事らと賭けに興じる遊び心があった。オコーナー判事は「あと一年生きられるという賭けには負けたが、充実した人生という賞品を手にしたはずだ」と別れの言葉を贈っている。 =9月3日没、80歳 (ワシントン=加藤秀央)
by alfayoko2005
| 2005-09-30 16:32
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