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「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等についての整理
平成17年10月31日 男女共同参画基本計画に関する専門調査会(PDF) 本年7月25日、男女共同参画会議は男女共同参画基本計画(以下「基本計画」という。)改定に当たっての基本的な考え方について答申したところである。答申においては、「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等については、引き続き本専門調査会において調査検討を行うこととされた。 本専門調査会は、有識者からのヒアリング及び慎重な調査検討を行った。「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の考え方が男女共同参画を推進する上で重要であることから、これが広く一般に理解されやすいものとなるよう、わかりやすい表現に言い換えたり、わかりやすく説明するなど、表現等について専門調査会として以下のとおり整理した。 今後、本整理を参考として、政府における基本計画改定の検討が進められることを期待する。 1. 「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)を短い言葉で言い換える例 現行基本計画において使用されている「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)は、主要な国際機関等におけるgenderという用語の定義ともほぼ一致しており、適切なものであると考える。 この言葉をさらに同趣旨の短い言葉で言い換えるとすれば、以下のような例が考えられる。 例 ・「社会的性別」(ジェンダー) ・「社会的に作られた性別」(ジェンダー) 2. 「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)に敏感な視点」を 言い換える例 「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)に敏感な視点」を言い換えるとすれば、以下のような例が考えられる。 例 ・「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点(※) 〔生物学的性別(セックス)だけではなく、「社会的性別」(ジェンダー)があることを意識することの重要性に着目した表現〕 ※…以下では、仮に「社会的性別」(ジェンダー)及び「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」という言葉を用いる。 3. 「社会的性別」(ジェンダー)及び「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」の説明の例 基本計画において「社会的性別」(ジェンダー)及び「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」について誤解をなくし、正しい理解が図られるよう説明を加える。 (「社会的性別」(ジェンダー)の説明の例) ・ 人間には生まれついての生物学的性別(セックス)がある。一方、社会通念や慣習の中には、社会や文化によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、人々は成長するにつれ、「男性に期待される行動」、「女性に期待される行動」を行うようになる。このようにして形成された男性、女性の別を「社会的性別」(ジェンダー)という。このような意味での「ジェンダー」は、国際的にも広く使われている。 なお、「社会的性別」(ジェンダー)は、それ自体に良い、悪いの価値を含むものではなく、中立的な概念である。 (「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」の説明の例) ・ 「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」とは、「社会的性別」(ジェンダー)が存在することを意識して対象を見ていこうとする視点である。この視点によって、性差別、性別による固定的役割分担、偏見等は、社会的に作られたものであることに気づくことができる。 なお、「「社会的性別」(ジェンダー)の存在に気づく視点」の対象には、性差別、性別による固定的役割分担及び偏見等、男女共同参画社会の形成を促進するために見直しが適当と考えられるものがある。その一方で、対象の中には、男女共同参画社会の形成を阻害しないと考えられるものもある。 (参考1)「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の考え方についての委員等意見 1.専門調査会委員意見 (「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)によってとらえられる対象のうち見直しが適当と考えられるものとそれ以外のもの) ○「ジェンダー」は対象をとらえるための道具であり、例えば、これまで見えにくかった対象の姿が明らかになる立体メガネのようなものである。これによって、生物学的性別だけではなく、社会的に作られた性別があることが明らかになる。「ジェンダー」によってとらえられる対象の中には、男女共同参画社会の形成を促進するために見直しが適当と考えられるものと、男女共同参画社会の形成を阻害しないと考えられるものとがある。 ○一般的には、「ジェンダー」によってとらえられる対象のうち、「男性は外で働き、女性は家庭を守るべき」、「女性は政治家や管理職、科学者や技術者に向いていない」といった性別による固定的な役割分担、「女性は男性に従順であるべき」との偏見等については、性差別、個性や能力の発揮の妨げ、配偶者等からの暴力などの問題につながる可能性のあるものであり、見直しが適当と考えられるものである。 ○「ジェンダー」によってとらえられる対象のうち、男女の服装に関する違い や、「女の子のいる家でひな人形を飾り、男の子のいる家で鯉のぼりを立てる」というようなことは、男女共同参画社会の形成を阻害するものではないと考えられる。 ○「ジェンダー」概念は、男女の生物学的な違いを否定し、また、家族や伝統文化を破壊するものであるという批判があるが、そのような考え方を採るものではない。 (「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)概念がなぜ必要か) ○男女共同参画社会の実現のためには、性差別や性別に起因する暴力など個人としての尊厳を侵害する行為を禁止し、必ずしも差別とは考えられていない慣習等でも男女の個人としての能力の発揮を妨げるおそれのあるものについて見直すことが重要である。「ジェンダー」の考え方を通じて、これらの問題を生じさせている性別による固定的役割分担及び偏見等は、社会的に作られたものであることに気づくことができ、男女共同参画社会の形成の促進を期待することができる。 ○実際に「ジェンダー」の考え方に基づき以下のような変化が既に現れており、または、今後の変化が期待される。 ・ 起業家、科学者、政治家、医師、弁護士、消防士など、女性の進出の少なかった分野への進出が進んできている。 ・ 男女ともに職場・家庭・地域の調和のとれた生活への転換が少子化対策としても重要となる中で、男性が育児休業や介護休業を取りにくい状況について、改善しようとする動きが出ている。 ・ 配偶者等からの暴力への対策として「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定され、家庭内の暴力でも社会的に対応する必要があることが認識された。また、性別に起因する暴力一般に対する対応も進んできている。 ・ 男性のみが家族を経済的に養う責任を負うべきであるという考え方があるが、男女がともに個性や能力を発揮することが重要という意識が高まるとともに、そのようなことが実際上困難になりつつあることもあり、男女がともに仕事と家庭の両面について責任を分担しようとする動きが出てきている。 ・ 一部の地域では、地域の草取り等の活動へ男性ではなく女性が参加した場合に金銭を納入することが慣行として行われてきた(「出不足料」)が、見直されつつある。 2.ヒアリングにおける有識者意見 <石川祥子氏(国連開発計画(UNDP)東京事務所プログラムマネージャー)> ○ 国際社会で使われている定義は、一般的には生物学的な性差に対して、社会的・文化的につくり上げられた性別をジェンダーという。定義が国際社会で普及したのは、95年の北京会議が契機。 ○ 過去10年間の間にほとんどの政府が何かしらの形でジェンダー平等に向けての政策、施策を策定、見直し、改正した。 ○ UNDPでは人間開発をジェンダーの概念を使って掘り下げる試みをしており、GDIとGEMの2つの指数を測定している。 ○ 2000年に189カ国代表が国連で採択した「ミレニアム宣言」をもとに定められた「ミレニアム開発目標」の一つにジェンダーの平等の推進と女性の地位向上がある。 ○ 女性に対する暴力について、UNFPAやWHOでは、ジェンダー・ベースド・バイオレンスという言葉を使って、ジェンダーの視点から対策を講じることの重要性を前面に押し出している。 ○ 最近では、ジェンダーバジェット(ジェンダーに配慮した予算策定)が注目されている。国または地方自治体の予算をジェンダーの視点から分析し、それが男性と女性にどのようなインパクトをもたらしているのかを把握しようというもの。 ○ ジェンダーの概念自体を否定する議論は、国際的には無いと思う。 ○ 女子差別撤廃条約採択の当時、ジェンダーの言葉は用いられていなかったが、考え方・アプローチとしては当時から存在したと思う。 <緒方貞子氏(独立行政法人国際協力機構(JICA)理事長)> ○ 1975年に「世界女性会議」が開催され、1979年に「女子差別撤廃条約」が採択されてから30年近く経つが、国際機関に勤める女性を始め元気な、特に若い女性が増えてきたと実感する。日本の外(の社会)では、日本の女性は最も活用されていなかった一番大きな社会的財源といわれてきたが、社会や経済の発展は女性の貢献なくして成り立たないと思う。 ○ ジェンダーという言葉は極めてニュートラルな言葉であると思う。フィジカルな「性」に比べ、社会的文化的な価値を加味した意味での性であり、役割分担や差別というよりも区別の方に近いものではないかと思う。社会的、文化的問題は時代によって変化するものである。国際的に「ジェンダー」という言葉が問題になっているということは聞き及んでいない。 ○ 日本のこととして、例えばJICAは2つの視点で見ている。一つは女性の役割と雇用の問題、もう1つは開発事業における女性に対する役割である。JICAには優秀な女性がたくさん入ってきているが、勤務期間の差から役員のところまで来ている女性数は少ない。国連においても同じ様な状況である。事業においては、職員がジェンダーに敏感な視点を持って、ジェンダーを正しく捉え、男女問わず開発の要求を満たしていく工夫をしている。開発事業を成功させるためには、女性を開発の重要な担い手としてどのように遇するか、参加してもらうかということが重要。 ○ 日本の終身雇用は徐々に変化しており、これはライフサイクルが大きく変化する女性の就業にとってプラスに働いていると考える。フレックス制や再雇用制や時短などの工夫を講じることにより、海外に活躍の場を求めて女性が出てしまうのではなく、日本国内で力が活かされていく努力が必要である。 ○ 日本社会の健全な発展、経済の進展等には男女が共に役割を果たすことが重要である。どの性別の人が何をするのか役割を外から決めてしまうのではなく、どちらの性別にも機会が与えられることが重要である。 ○ ジェンダーについては、外来語がよくないということであれば、できるだけ簡単な言葉で、その趣旨を徹底される必要がある。 <袖井孝子氏(お茶の水女子大学名誉教授、男女共同参画会議議員)> ○ 日本では80年代には女性学、ウイメンズスタディーズという言葉が言われていたが、80年代の終わりごろからジェンダーという言葉が登場した。『広辞苑』では、91年(第4版)に初めてジェンダーが「社会的・文化的に形成される性別」として掲載されるなど、辞典・辞書類には90年代に登場した。一般的に広がったのは90年代である。90年代後半以降はジェンダーという用語が行政にも登場するようになり、99年に男女共同参画社会基本法、2000年に基本計画ができた。 ○ ジェンダーという用語は、現在、ほとんどの学問領域で使われており、中立的な概念として広く用いられている。 ○ ジェンダーの定義はシンプルかつ中立的なものであるべきだと思う。ジェンダーはもののとらえ方、総体的な概念、認識である。 <原ひろ子氏(城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授、男女共同参画会議議員、男女共同参画基本計画に関する専門調査会委員)> ○ 最近の英英辞典では、「ジェンダー」は社会的・文化的な意味の男女の性別を意味する語としても掲載されている。 ○ 日本学術会議では本年6月23日「男女共同参画社会の実現に向けて―ジェンダー学の役割と重要性―」の報告書を出した。 同報告書では、 ・ 女性への差別が社会的・文化的要因に基づく場合でも、生物学的な違いを理由に正当化され放置されることが多かったことから、社会的・文化的な存在としての性別を表す言葉としてジェンダーという語が使用されるようになり、学問上の用語として、また国際機関等で広く使用されるにいたっていること ・ ジェンダー概念を使用して、生物学的性別・性差だけでなく、社会文化的な要因から生じる性別・性差にも十分配慮する「ジェンダーに敏感な視点」が提唱され、特に、性別・性差についての先入見や偏見を排して、出来うる限り多様な視点から柔軟に問題を検討しようとする含意を持つようになっていること などを指摘している。 <宮﨑勇氏(株式会社大和総研名誉顧問)> ○ ジェンダー問題を考える上で日本国憲法が大きな拠りどころとなる。具体的には、第11条(基本的人権の享有)、第13条(個人の尊重と幸福追求権)、第14条(法の下の平等)及び第24条(婚姻と両性の平等)が基本的な基準を示していると考えられる。男女共同参画はまさに憲法の延長線上にあるといえる。 ○ 男女平等を保証する憲法及び各種法制度は整備されたが、問題は実際に男女平等が達成されているかどうかである。土俵や女人禁制の山の問題やそれに類似した問題はともかく、身近な家庭・職場における差別はまだ残っている。こうした差別は慣行として受け入れられている部分もあり、これらの見直しの積み重ねが差別の解消につながると考える。 ○ 男性側は、男女平等の重要性は観念的に理解しているが、実践につながっておらず無自覚に差別しているのではないか。私自身もそうだったが、家庭生活において家事は主婦がやるものだとして妻に雑用を押し付けて妻のチャンスを奪っていたりしないか。こうしたことをなくさなければ差別はなくならないと思う。 ○ 家族の絆が最近強調されているが、家庭は個人の人権が尊重され能力が生かされる場であることがまず重要である。家庭において一人ひとりの個性が尊重されることで結果として家族が仲良くなれるのではないか。家庭において個人としてお互いを尊重しながら家族の関係を築いていくことが大切で、そのためには男性の意識改革が必要。 ○ ジェンダーの言葉については、一般の人には分かりにくいので、適切な日本語があれば良いと思う。 (参考2) 1.「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)と男女共同参画社会基本法、基本計画との関係 基本法においては、「社会的・文化的に形成された性別」あるいは「ジェンダー」という言葉は用いられていないが、基本法の目的や基本理念にはその考え方が盛り込まれており、その旨、法案審議の際の委員会審議(平成11年6月8日衆議院内閣委員会)でも答弁されている。 現行の基本計画においても、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点」などとして、広報・啓発活動、メディア、教育・学習、国際の分野に明記されている。 2.国際的な認識 「社会的・文化的に形成された性別」という意味でのジェンダー概念は、主要な国際機関や各国で一般的に使われている。 また、日本政府は、国連ミレニアム宣言(2000年)や本年3月の国連「北京+10」世界閣僚会合における宣言などの「ジェンダー」という用語が正式に使用された国際文書を一貫して支持してきている。本年9月に行われた国連総会首脳会合の成果文書においてもジェンダーの視点が盛り込まれている。 さらに、本年発表した我が国の政府開発援助に関する「GAD(ジェンダーと開発)イニシアティブ」は、国際的にも評価されている。 (参考3) (略-上記PDF参照)
by alfayoko2005
| 2005-10-31 20:04
| ジェンダー・セックス
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