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あの人に迫る 尾辻かな子 大阪府議会議員 同性愛の公表は 社会変える一歩 悩んだ思春期 震災が転機 政治で何ができるか見たい 反響のメール200件以上 (中日/東京 2005/12/16夕刊) ♪ リンクは紙面画像(尾辻かな子HP)へ 「わたしは同性愛者です」。著書で自らがレズビアン(女/性同性愛者)だとカミングアウト(公表)した大阪府議会議員の尾辻かな子さん(30)。自分らしく生きられる世の中にしたいという強い思いが、政治に向かわせた。欧米では同性愛を公にする政治家は珍しくないが、日本では初めてのことだ。 *八月に自著で同性愛者であることを公にしました。 自分が同性愛者だと自覚してから、カミングアウトまでに、長い年月を費やしたと思います。自分でも自分を認められない時期がありました。思春期を挟んで約五年に及び、苦悶(くもん)しました。レズビアンやゲイ(男性同性愛者)に全然いいイメージがなかったから。そのマイナスイメージが受け入れるのに障害になっていたように思います。中学生の時、部活中の誤解がもとでいじめられた体験もあって、「人と違ったら駄目」と、自分を押し殺した面もある。 *ありのままの自分を受け入れるのに時間がかかった。 気持ちの変化に大きく影響したのは、阪神大震災でした。死と生を強く意識し、「精いっぱい生きたい。後悔したくない」と。韓国留学から一時帰国した時、歌手の笹野みちるさんが本でレズビアンだとカミングアウトしていた。それを読んで「女性同士で付き合ってもいいんだ」と思った。わたしの中のターニングポイントです。 留学後に入り直した大学で、女性の先輩に恋をしました。告白し、振られたのですが…。明らかに友達への思いとは異なる。はっきりと自分が同性愛者だと自覚した。 その後、レズビアンの女性だけのクラブイベントやサークルに出入りしました。二十四歳の時です。実際、会ってみると、みんな普通。「わたしだけじゃなかったんだ」って。でも社会では誰もレズビアンやゲイとは分からない。分かった場合には差別や偏見、笑い、からかいの対象になりかねない。だから深く悩む人もいる。 恋愛対象になる性別がほかの人と違うだけで、自尊心を失い、自殺してしまう子どもたちもいます。わたしもそうだったかもしれない。自分自身を受け入れられず、すごく葛藤(かっとう)があった。それで正しい知識を得ようと勉強もしました。 医学上、同性愛は異性愛とともに健康な性で病気ではない。どの時代、どの社会にも数パーセントの同性愛者がいることも知った。わたしたちの個人的な問題ではなく、少数を異常視する社会が問題なのではないかと思うようになった。 *カミングアウトで何か変わりましたか。 わたし自身は何も変わっていません。受け止めた人がどう変わったかがカミングアウトの意義だと思う。「見える」存在になるところから、気付きがある。 同じ思いを抱える人たちからは「ありがとう」という感謝の声の一方「大丈夫?」と心配されました。「特殊な人が公職に就いているのはおかしい」とか、「なぜ選挙の時に言わなかったのか」といった批判も事務所に届いています。でもカミングアウトが多くの人を勇気付けたと信じています。 *政治の道へ進んだことも自身の生きざまと無縁ではない。 政治で何が変わるのか見てみたい、と思いました。就職活動期の議員インターンシップがきっかけです。市議のところでした。でもなぜ議員になりたいのかと聞かれ、同性愛者である自分を隠すのはとてもつらかった。 本当は選挙で同性愛者であることを公にしたかったが、支援者から対応できないと言われて断念した。だから、政治団体名の一部にセクシュアルマイノリティー(性的少数者)を象徴する「レインボー」を付けました。色が重なり合っている虹のように個性を尊重し、つながり合い、共生していく社会を目指そうとしたのです。 *府議会で尾辻さんの目指す成果が生まれていますか。 同性のパートナーが一緒に生活をともにしていても「家族じゃない」という理由で、病院から個人情報を提供してもらえないケースがある。だから、万が一の被災時などに安否の確認が不安ではないかと、府議会で問題点を指摘しました。 同性同士だと婚姻関係がないために公団住宅に入れないこともそう。入居資格で「ハウスシェアリング」を提案したら、来年度、大阪府の公団住宅で都道府県では初めて導入されることになりました。 百人を超す府議がいますが、多いのは六十歳前後の男性。わたしは一番若い女性議員です。同僚府議の多くは戸惑い、声を掛けられないような状況も確かにある。彼らの今までの人生では、こうした性にかかわる問題は見過ごされてきた。「そんなことで困っているのか」とみんな驚くのですが、議員の意識も低く、行政も具体策に乏しいんです。 *時間がたつにつれ、カミングアウトしたことを冷静に見つめられるようになってきた。 三十歳まで生きて「やっとここまで来られたなあ」と感無量です。「ありのままの自分で街を歩こう」と。 でもほとんどの人は地域社会でカミングアウトしていません。すべての人がすべきだとも思わない。社会のシステムに問題があり、生きにくいからです。仕組みを変えない限り、差別が再生産されます。 システムと、それを動かす人の意識を変えなくてはと思っています。「常識は一人一人の思いがつくるもの」と考えています。一人の思いが変われば、常識が変わるのです。 *反響はいまも続いているようです。 電子メールは二百件以上。セクシュアルマイノリティーへの差別や偏見は人権の問題だと言ってくれる人がいて「自分たちも勇気がわく」と。障害者や在日外国人の人たちからも共感したとの声が届いている。さまざまな人が、あなたの隣に、職場に、学校の中で一緒に生きている。正しい知識を身に付け、いろんな人がいることを知ってもらいたい。気付いてほしい。違いを認め合って、豊かさに変えたい。 わたしのカミングアウトは、十年後の種をまいていくことになればと思います。ある人のスタートの一歩になったりするかもしれない。芽が出るには時間がかかります。社会システムをつくる「政治」という場で、変えなくてはいけないことがあると思っています。 ◇ おつじ・かなこ 1974(昭和49)年生まれ、大阪府阪南市出身。高校在学中に空手道全国大会で優勝、アジアジュニアチャンピオンに輝く。高知大農学部に入学するが休学。関西に戻り、阪神大震災にも遭遇する。 取材後記 尾辻さんのカミングアウトを知った時、何年も前に取材した日教組の教研集会を思い出した。自分がゲイ(男性同性愛者)だと明らかにした高校教師が話していた。「子どもたちの中にもセクシュアルマイノリティーは存在する。教師が学校の現場で受け入れてやらないと、どうなるか」 尾辻さんも悩んだ。この世に自分一人きりじゃないのかという孤独感が深かった。笑顔の中の孤独は外観からは誰にも見えない。性の問題はそのまま生に直結する。自然に自由に生きられることは素晴らしい。性に限らず多様さを認めない社会は窮屈で、本当に生きにくい。 (大阪編集部・黒谷正人) Japan's first openly gay politician speaks up for nation's silent minorities - IHT/Asahi
by alfayoko2005
| 2005-12-21 16:43
| LGB(TIQ)
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