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労働政策審の「間接差別」禁止建議=大和田香織(生活家庭部)
◇限定列挙では解決しない--男女の格差を残す恐れ 毎日新聞 2006年1月13日 東京朝刊 男女雇用機会均等法改正へ向け議論してきた厚生労働省の労働政策審議会が、昨年末に「建議」をまとめ、「間接差別」の禁止を盛り込んだ。それ自体は評価するが、禁止の対象を三つに定める「限定列挙方式」にしたのは極めて問題だ。労働者側からは「限定すると、他は間接差別ではないととられかねない」と危惧(きぐ)する声が強く上がっているが、私も同感だ。 間接差別は「外見上は性中立的な規定、基準、慣行などが、一方の性に相当程度の不利益を与え、しかもその基準などが職務と関連性がないなど、合理性、正当性が認められないもの」=厚労省の男女雇用機会均等政策研究会の報告書から=と規定される。建議は(1)募集・採用時の身長・体重・体力要件(2)総合職採用時の全国転勤要件(3)昇進における転勤経験要件--を禁止すべきだとした。 社員を基幹業務を担い幹部候補である「総合職」と、補助的業務をする「一般職」に分けるコース別管理を導入する企業で、「総合職」の採用時に、必要でないのに全国転勤を条件とするのは「間接差別」の典型的なケースとなる。育児・介護などの役割が女性に集中する現状では、女性に不利な条件となるからだ。 均等法は男女が平等に働けることを目的にした法律だが、「間接差別」解消には十分役立ってこず、コース別管理も運用によっては、間接差別をもたらしかねないのだ。 コース別管理は均等法で男女別採用ができなくなり、金融・商社などの大企業を中心に広まった。均等法の指針に「雇用管理区分」が盛り込まれ、「男女差別を問えるのは同じコースの中だけ。総合職と一般職の待遇格差は男女差別ではない」とされた。そして区分は「女性が男性と同じように働くなら総合職にする。約束できなければ一般職でいなさい」という考えにお墨付きを与えた。 厚労省が昨年度、コース別管理を行う企業180社に聞いた調査では、「総合職」に占める女性の割合は5%しかない。そして、転勤の有無をコース分けの要件にする企業は88%に上った。 賃金や昇格での差別をめぐり裁判を起こした女性たちからは「均等法ができたため、かえって男女差別が認められにくくなった」という指摘さえある。 「間接差別」は正社員の身分を離れるともっとはっきりする。 90年代に入って景気が低迷すると、正社員の採用を減らし、コストの低い派遣や契約社員などに置き換える企業が増え始めた。半年や1年の短い契約で働く有期雇用の女性が増え、均等法施行後、男女の実質的な賃金格差はむしろ開いたとの指摘もある。 賃金以外にも、正社員でなくなると、有給休暇や年金加入でも著しく不利になる。昨秋、均等法改正に職場の声を反映させようと開かれた集会で、妊娠後、雇用契約の更新を拒まれた契約社員は「私たちにとって育児休業など、絵に描いた餅」と訴えた。 私自身、均等法施行の86年に就職活動をした世代。「働き続けたいなら総合職を選びなさい」とアドバイスされた。総合職で就職した友人で、今も働き続けているのはごくわずか。夫の転勤や出産を機に両立をあきらめた友人も多く、子育てが一段落した最近は、派遣社員として働き出した例が目立つ。 友人の一人は今年の年賀状に「思うような仕事がなく、年齢の壁を感じる」と書いた。「社員と同じ仕事なのに、賃金が安すぎる」と嘆く声も聞く。 育児や介護で、転勤や長時間残業ができないとして「総合職」に就けなかったり、パートや派遣であることを理由に低賃金で短期契約を繰り返しながら働かざるを得ないのは、いずれも「間接差別」だろう。また住民票の世帯主だけに住宅手当を出すことや、パートを理由に年金に加入させないこともそうだ。 建議で定めた禁止対象だけでは、多くの女性が日々感じている疑問や不満を解消できない。「間接差別」の問題は、一見男女差別とはいえない、巧妙な方法で格差を生むことにある。 コース別管理には批判も多く、これを廃止し、柔軟な働き方で女性管理職を多く育てた企業も増えている。少子化による人口の減少が始まり、「女性のみなさん、働いて、子どももたくさん産んでね」と政府が呼びかける時代。均等法改正案が上程される国会では、「間接差別」の全面解消に向け、男性の働き方も含め、十分な議論が求められる。 ============== ご意見、ご感想は〒100-8051 毎日新聞「記者の目」係へ。メールアドレスkishanome@mbx.mainichi.co.jp 毎日新聞 2006年1月13日 東京朝刊
by alfayoko2005
| 2006-01-15 00:25
| ジェンダー・セックス
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