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「ジェンダーフリー」言葉巡る論争過熱 講演中止の事態も
「男らしさ女らしさ否定」国会、議会で批判 (朝日 2006/03/23朝刊オピニオン面) 「ジェンダーフリー」という言葉を巡る論争が激しさを増している。そもそもは「男は仕事、女は家庭」といった性別による役割分業の解消を意味する言葉。しかし、「男らしさ女らしさをすべて否定している」などという批判が議会で相次ぎ、女性学の研究者が東京都内で開く予定だった講演も、この言葉を使う可能性があるとして中止に追い込まれる事態に。なぜもめているのかを検証した。 (竹信三恵子・平塚史歩) 「ジェンダーフリーという言葉を使うかもしれない、という憶測で講演を拒否できるなら、女性学研究者は東京都のすべての社会教育事業から排除される」 女性学研究者の上野千鶴子・東京大大学院教授は1月30日、東京の外国特派員協会の講演で都を批判した。同協会が上野教授を招いたのは、教授を講師に東京都国分寺市で計画された人権教育講座が中止になったいきさつに、特派員たちの関心が集まったためだ。 都から講座を委嘱された国分寺市内の公民館は昨年7月、講師に上野教授を招くことを決めた。都に打診したところ、ジェンダーフリーという言葉を使わない方針を打ち出している都が「都の見解に触れるのでは」と再検討を求め、講座は中止に追い込まれた。 他の自治体でも、「市報にジェンダーフリーの名を冠した催しの掲載を求めたら、『タイトルを替えて』と言われた」といった声も出始めている。 ジェンダーフリーは、「ジェンダー」(gender=社会的性別)にとらわれず(フリー)に、個人が力を発揮できる男女平等社会を目指す言葉で、教育界を中心に使われてきた。 批判の的になり始めたのは、男女共同参画社会基本法が制定された99年前後からだ。 都議会では98年、保守系の都議が東京女性財団について、「ジェンダーフリーという言葉を使って男らしさ女らしさを否定している」と批判した。同財団は92年に発足、女性団体への助成や調査研究などを行っていた。男女の役割分業の解消を目指した教材作成などが批判され、都は02年に財団を廃止した。 03年ごろから都道府県会や国会で、「ジェンダーフリー教育によって、学校で男女が同じ部屋で着替えさせられたり、林間学校で同じ部屋に泊まったりすることが起きている」などの質問が繰り返された。 04年、男女平等行政を担当する内閣府や、都教委がそれぞれ「混乱や誤解があるのでジェンダーフリーの用語は使わない」とする通知を出した。 昨年5月には自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が初のシンポジウムを開催。総選挙後の組閣で、同チームの座長だった安倍晋三氏が官房長官に、事務局畏だった山谷えり子参院議員が内閣府政務官に就いた。 同年末の同党の内閣部会は、第2次男女共同参画基本計画案の中にあったジェンダーの用語をめぐって紛糾。「ジェンダーフリーの名のもとに各地で過激な性教育が行われている」として、国際的に定着しているジェンダーという言葉まで削るよう求める意見が出た。 猪口男女共同参画担当相は「国として今後『ジェンダーフリー』という言葉は使わない」と宣言。今年1月、内閣府は『ジェンダーフリーは使用しないことが適切』と、使用自粛を自治体に要請した。 ジェンダーという用語を残した第2次基本計画は年末に閣議決定され、直後から猪口氏は全国の自治体関係者を回る「大臣行脚」を始めた。そこで、猪口氏は「今回の計画では、発達段階を踏まえない行き過ぎた性教育、男女同室着替え、男女同室宿泊などは極めて非常識であると具体的に書いた。現場で混乱がないようお願いしたい」と強調、自治体が計画を改定する際には『(ジェンダーフリーを使わない)国の改定を守っていただきたい」と念を押した。 「行き過ぎ」根拠あいまい ジェンダーフリー教背によって「男女の同室着替えなどが起きている」と批判されているが、その根拠はあいまいだ。 自民党のプロジェクトチームは、ホームページなどを通じてアンケートしたところ、保護者や地域から男女同室での着替えや過激な性教育などが行われている、という情報が寄せられたとしている。 これに対し、民主党は2月、国会で「質問が誘導的で、挙げられた例の中には以前実施していたが、いまは行われていないものまで含まれている」と指摘している。 首都圏の公立中学の校長も「更衣室が不便な場所にあったり、女子更衣室を作れなかったりで、同じ部屋で着替えざるをえない例は前からある。ジェンダーフリーではなく、教育予算が足りないからだ」と話す。 文部科学省も昨年、小中高校の実態調査に乗り出したが、同室着替えや同室宿泊などがあるかどうかを聞いているだけで、「ジェンダーフリー」が原因かどうかは聞いておらず、その点は『引き続き調査中』としている。 女性運動への揺り戻し背景 ジェンダーフリーをめぐる議論は、なぜ激しくなっているのか。 細谷実・関東学院大教授(倫理学)は女性運動への揺り戻しが背景にある、と指摘する。 選択的夫婦別姓へ向けた民法改定の動きや、配偶者の暴力を防ぐドメスティック・バイオレンス(DV)法、参画基本法の制定など、「男女や家庭などの私生活に法制度が及んだことに対するマイホーム主義的な反発が戦後世代の一部に出てきた。保守化の中で『家制度』を守りたいという戦前回帰の流れも強まっている。この二つが合流した結果だ」と話す。 「職場や在の変化についていけない男性たちのいらだちもある。男性への正しい教育が必要」と言うのは、セクシュアル・ハラスメントの相談に携わってきた労働ジャーナリストの金子雅臣さんだ。 ジェンダーフリーをめぐる動き 95年 北京で第4回国連世界女性会議。「ジェンダー」を多用した宣言と行動綱領採択。東京女性財団がジェンダーフリー教育のビデオ作成 前代未聞の言葉封じ 千葉大名著教授若桑みどり氏 一連のジェンダーフリーたたきは、前代未聞の言葉封じになっている。人を傷つける言葉でもないのに使わせないのは、憲法が保障した表現の自由への介入だ。言論を封殺した戦前の社会を体験し、戦争と女性の研究に取り組んできた者として見過ごせない。 ジェンダーフリーの本来の主張は、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業や、性別による束縛からの解放だった。これに対し、批判派は「性差すべてをなくすこと」という間違った定義を流し、ジェンダーフリーの言葉と一緒に子供に不可欠な性教育や性差別解消の思想まで押し流そうとしている。 人口減少社会を迎え、性別による役割分業の解消を目指して共同参画法ができ、予算がつき、ポストもできた。分業を守りたい人々は危機感を抱いたが、男女平等を正面から否定できず、ジェンダーフリー封じという手段に出た。 教育や行政の現場では平等への取り組みの萎縮(いしゅく)が目立つ。これでは社会の変わり目を乗り切れない。 性差の否定に危機感 自民プロジェクト事務局長萩生田光一氏 性差別によって能力ある女性が管理職になれなかったり、給与に差がつけられたりという状況は改善すべきだと思っている。しかし、ジェンダーフリーという用語を根拠に、男性や女性の性差を否定し、ひな祭りや端午の節句を否定するような動きになっていることには危機感を持つ。 内閣府は、ジェンダーとジェンダーフリーは違うとして、第2次男女共同参画基本計画以降は「ジェンダーフリーは使わない」としている。それでも、現場で混乱が起きるのは、ジェンダーという言葉そのものの定義があまりにあいまいで、一般的に理解されていないことが原因。我々はジェンダーという外来語をなくし、「社会的性別」という日本語だけでいいではないか、と主張した。 猪口担当柑や内閣府が「ジェンダーは男女共同参画を進めるうえで重要な概念だから、定義をしたうえで正しく啓蒙(けいもう)をする」と強調したので、ジェンダーという言葉を残すことは受け入れた。今後の経緯を見守りたい。 ♪ この記事に関するコメント 2006-03-25 朝日新聞「『ジェンダーフリー』言葉巡る論争過熱」記事を読んで - ジェンダーとメディアブログ 2006/3/24 22:54 朝日「ジェンダーフリー」記事 - ふぇみにすと@シカゴ
by alfayoko2005
| 2006-03-24 19:11
| ジェンダー・セックス
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