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[クラシック小話]モーツァルト/弦楽四重奏曲第14番 野中圀亨(寄稿) (読売・西部版 2006/04/12夕刊)
◇弦楽四重奏曲第14番K.387「春」 ◆天才にも教科書 オーケストラや器楽アンサンブルのために作曲しようというとき、作曲家はどのような過程を経て作業をするのか。まずテーマとなるフレーズを考え、メモする(スケッチ)。次に曲を発展させて、ピアノ譜として書き込んでいく。それが出来上がると、今度はオーケストラ、あるいはアンサンブルのためにスコア(総譜)の形に広げていく。オーケストラの場合はオーケストレーション(管弦楽法)と呼んでいる。さらに清書まですると丁寧だ。作曲家の仕事は通常ここまで。スコアが出来上がると、弟子や出版業者が各楽器ごとのパート譜を作る。 これが普通のやり方であろう。しかし、天才モーツァルトはそんな面倒なことはしない。いきなりスコアに書き込んでいくのである。それもほとんど書き直しがなく、一筆書きである。作品はすでに頭の中でできており、彼にとって作曲とはそれを五線譜に書き写すことなのである。 ところが、なかには珍しく苦心して作曲したものがある。「ハイドン・セット」と呼ばれている弦楽四重奏曲の第14~19番である。ヨーゼフ・ハイドンに献呈された傑作群で、第14番には「春」、第17番には「狩り」、第19番には「不協和音」というニックネームがついている。この6曲の自筆譜(大英図書館に収納)を見たロビンズ・ランドン氏ら研究者は無数の削除、訂正、変更のあとがあると証言している。日ごろはさらさらと一気に作曲するモーツァルトが、この曲ではなぜそれほど苦心しなければならなかったのか。 尊敬するハイドンがロシア大公に献呈した新しい6曲セットの弦楽四重奏曲作品33から大きな刺激を受けたのが原因である。モーツァルトはこの通称「ロシア四重奏曲」セットを自分の〈教科書〉と考え、熱心に研究した末に新たな半ダースの弦楽四重奏曲を完成させたのである。ハイドンへの献呈の辞には「まことに長く苦しい労苦の結実」と記しており、飛躍的な傑作となっている。 第14番は明るく躍動的な曲想のために「春」と呼ばれており、第4楽章がフーガ(主題が多声部に模倣・反復される楽種)とソナタ形式を採用しているのが大きな特徴であり、晩年の傑作、交響曲第41番「ジュピター」終楽章のさきがけとなっている。(のなか・くにあき=音楽評論家) ◇ 澤カルテット定期演奏会 5月27日午後7時、福岡市・あいれふホール。曲目はモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番「春」、第15番、第19番「不協和音」。 写真=澤カルテット
by alfayoko2005
| 2006-04-13 01:06
| Music
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