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書評
女性を通して軍隊考える (2006年5月8日 読売新聞) 策略 アメリカ軍における女性兵士の割合は、2002年には15パーセントに達したという。この数字は何を意味するのか。女性が男性なみに軍務につくことで、その政治的発言力が一層増大するとみるべきか。それとも、本書の著者エンローのように、女性たちがやすやすと男性中心社会が生み出したミリタリズム(軍事主義)の罠(わな)にはまっていく危険な兆候とみるべきか。 フェミニスト国際関係論のパイオニアの一人であるエンローは、このような事態を女性の「軍事化」という言葉で捉(とら)え、その抑圧的なからくりを暴露しようと試みる。ただし、女性の参入によって軍隊そのものが変化する可能性も示唆されるなど、女性兵士という存在が頭ごなしに否定されているわけではない。このあたり、日本でも論議を呼ぶところであろう。 もっとも、著者のいう「軍事化」は、女性が兵士になるという事態だけを指すものではない。「軍隊、と女性」という問題を、「軍隊、の女性」という問題に還元することこそが、危険な落とし穴だというのである。兵士相手の売春で生計を立てる者や兵士によるレイプ事件の被害者(沖縄の米兵による事件もとりあげられている)、また兵士の母や妻など、女性が軍事化される局面は多種多様であり、その心情や利害も多岐にわたる。著者のみるところ、女性兵士を含むこうした立場を異にする女性たちが、ときに相手を無視したり、見下したり、さらには敵対しあう背後には、そのように仕向ける軍当局者やその支援者たちの「策略」がある。 女性たちの間の距離がいかに大きくみえようとも、こうした分断作戦に屈することなく、脱軍事化のための連帯の共通項をみいだす努力を続けようと、フェミニスト・エンローは呼びかける。軍隊を通して女性を、また女性を通して軍隊を理解するための足がかりとなる熱い問題提起の書である。上野千鶴子監訳、佐藤文香訳。 ◇シンシア・エンロー=1938年、ニューヨーク市生まれ。クラーク大学教授。フェミニスト国際関係論・国際政治。 岩波書店 1200円 評者・川出 良枝(東京大学教授) (2006年5月8日 読売新聞)
by alfayoko2005
| 2006-05-08 12:33
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