北海道：性同一性障害者を支援 苫小牧に道内初のＮＰＯ法人

性同一性障害者を支援　苫小牧に道内初のＮＰＯ法人　　
北海道新聞 2006/05/16 07:11

　【苫小牧】心と体の性が一致しない性同一性障害（ＧＩＤ）の当事者を支援する特定非営利活動法人（ＮＰＯ法人）「Ｖｅｒｂ（ヴァーブ）」が十五日、苫小牧市内で発足した。同趣旨のＮＰＯ法人は、道内では初めて。雇用の場を設けて自立につなげる就労支援や、行政への要望、家庭内暴力などを受けた際に駆け込める緊急シェルターの運営などに取り組む。

　ヴァーブは、二○○三年に設立されたＮＰＯが前身。より多くの人に認知され、活動の可能性を広げようと、法人化を申請した。性同一性障害者をはじめ、身体障害や知的障害のある人、家庭内暴力の被害者も支援対象とする。

　ＧＩＤへの理解は高まっているものの、いまだに差別や偏見があり、自立を妨げているのが現状。当面の目標は、喫茶店などの飲食店を開いて社会的少数者が働ける環境を整えること。自らも性同一性障害を持つ阿部愛奈美代表（５２）＝苫小牧市＝は、「就労の場を提供し、社会へ出て行くためのステップにしたい」と話す。

　性別適合手術や生涯続くホルモン療法は健康保険の適用にならず、高額な医療費が負担となるため、同法人は行政に改善を求める方針だ。

　問い合わせは同法人の電子メールzimukyoku@verb.org.ai-sun.comへ。