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性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学
神戸新聞 2006/05/18 播磨地域の小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害(GID)」と診断され、女児として学校生活を送っていることが十七日、分かった。教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、現場の教職員には事情を説明したという。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れられるのは全国的に極めて珍しく、思春期の「第二次性徴」を控える年齢であることからも、今後の対応が注目されそうだ。 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事を取らなくなる日が続いたという。 このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ、「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイスされた。小学校入学を控えた昨年一月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談した。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を学校に提出。教育委員会や学校側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。 男児の名前は、どちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳には女児の水着で参加し、他学年と一緒になる夏休みのプールは自粛した。今年四月、進級してクラスメートや担任が替わったが、特に混乱は起きていないという。 教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。「もし今後、体の性に戻ることがあったとしても対応できるよう態勢を整えたい」「医師の意見に耳を傾けながら、子どもの成長を温かく見守っていきたい」と話している。 男女ごとの特徴が顕著になる第二次性徴を迎えたとき、体が男性化していく男児を「同級生やその親がどこまで理解できるかが課題」と専門家は言う。 母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。 (霍見真一郎) ■性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに従い、ホルモン療法(18歳以上)や性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されている。2003年には特例法が成立。一定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。 「心の性」優先 教員ら対応手探り 2006/05/18 「女児で受け入れてもらえると聞いて、本人は涙を流して喜びました。興奮して眠れなかったぐらいでした」。性同一性障害(GID)と診断され、「女児」として播磨地域の小学校に通う男児(7つ)の母親は、そう打ち明けた。GIDの子どもが不登校や自傷行為などに追い込まれる現状もある中、今回の学校側の受け入れについて、専門家からは「画期的判断」と評価する声も出ている。一方で、水泳の授業や性教育など、教員らは手探りで対応に当たっている。 「男の子のする野球はしたくない」 男児は五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入ることを拒んだ。もっと幼いころから、おもちゃの好みなどは“女の子”だった。 男性器が付いているから男の子だと母親は教えたが、「女の子なのになぜ付いているの」と泣いた。「(男性器は)いつ取れる?」と尋ねることも度重なった。 相談に訪れた病院のアドバイスを参考に、中性的な格好で通っていた保育園に女児の服装で行かせた。形式上は男児扱いだったが、プールでもビキニを着た。野球の替わりにバレエ教室に通い始めた。 「以来、表情が明るくなった」と母親。それだけに、「女児」としての通学が認められ、深く胸をなで下ろしたという。 * * 岡山大学医学部の中塚幹也教授らがGID患者三百二十九人を調べたところ、小学校低学年までに性別の違和感を覚えた人は、二百四人(62%)。不登校の経験は、九十六人と29%を占めた。千葉県の「あべメンタルクリニック」の阿部輝夫院長が、未成年のGID患者百十二人を対象とした調査では、八人(7%)がリストカットなどの自傷行為をしていた。 今回の男児の場合、別の児童から「保育園では男子トイレに行っていた」と言われるなど、教室では難しい場面も生じている。性教育や、男児が女児用水着を着る水泳の授業など、今後の課題も見えてきた。 自らもGIDである東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「子どもが体とは別の性だと主張しても周囲が相手にしないケースも多く、自分が自分でいていいという自己肯定感を子どもが持ちにくい」と指摘。偏見を持たず、周囲がサポートする必要性を訴えている。 難しい子どもの診断 2006/05/18 GIDの原因は、いまだ明らかになっていない。子どもの場合は、人格が確立していないこともあり、診断は難しいといわれる。 GIDは、世界保健機関(WHO)などが診断基準を設ける疾患で、日本精神神経学会は、医療対象として位置付けている。 原因については、心理的、社会的要因や、母体内でのホルモンの影響など、さまざまな仮説があるが、専門家の多くは「脳に何らかの要因がある」とみている。 正確な国内の患者データはないが、GID学会理事で精神科医の針間克己さん=東京都=が全国の主要医療機関に聞き取り調査したところ、受診者は、約四千人とみられるという。 女児として学校に受け入れられた播磨地域の男児に関し、これまで約八百人のGID患者を診察してきた埼玉医科大学かわごえクリニックの塚田攻医師は、「性別が分かるようになった幼少期から体と反対の性を望み、今もその性自認が続いているなら、GIDでほぼ間違いない」とみる。 針間医師は「男児として無理に通学させると心理的にマイナス要因となる」としながらも、「成人したときに体の性に戻っている可能性もある」と指摘。「どちらに傾いても良いよう周囲が対応することが大切」と話している。 性同一性障害男児『女児』で受け入れ 医師の診断を重視 (東京 2006/05/18朝刊) 兵庫県内で小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害(GID)」と診断され、女児として学校生活を送っていることが分かった。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れられるのは全国的に極めて珍しい。 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事をとらなくなる日が続いたという。 このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイスされた。小学校入学を控えた昨年一月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を学校に提出した。教育委員会や学校側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。 男児の名はどちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳の授業には女児の水着で参加している。 教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。 性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その半面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに従い、ホルモン療法(18歳以上)や性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されている。2003年には特例法が成立。一定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。 小2男児が女児として通学 兵庫、性同一性障害と診断 (共同 2006/05/18) 兵庫県内の小学2年の男児(7つ)が、心の性と体の性が一致しない性同一性障害と診断を受け、小学校が男児を女児として受け入れ、通常の学校生活を送っていることが18日、同県内の自治体関係者の話で分かった。 専門家によると、第2次性徴を迎える前の小学校低学年の児童が性同一性障害と診断され、小学校が受け入れるのは極めて異例という。 男児は小学校入学前から心の性と体の性の不一致を親に訴えていた。地元の小学校に入学する前に病院で検査を受け、性同一性障害と診断された。 男児の家族が、入学を予定していた小学校と話し合い、地元の教育委員会と小学校が、男児を女児として受け入れる決定をしたという。 小2男児「女児」として通学…性同一性障害に学校対応 (2006年5月18日12時20分 読売新聞) 兵庫県内の小学2年男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され、「女児」として通学していることが、わかった。 保護者の相談を受けた教育委員会は「保護者、児童の希望や、医師の判断を尊重し、女児としての受け入れを決めた」と説明している。文部科学省などによると、児童生徒の性同一性障害を学校現場が受け入れるのは極めて珍しい。 教育委員会によると、児童は5歳の時に性同一性障害が表れ、通っていた保育園で男の子と同じグループ分けされるのを極端に嫌がるようになり、食事を取らなくなる日が続いたという。 このため、小学校入学を控えた昨年1月、祖母が教委に「女児として受け入れてほしい」と相談。専門医の検査でも性同一性障害と診断され、「生涯続くかどうかわからないが、その時々に応じ、子どもが生活しやすいように配慮するのが本人の幸せでは」とアドバイスされたといい、保護者と教委、学校が面談を重ねた結果、女児として受け入れることを決めたという。 児童はスカートで通学することが多く、他の児童や保護者は男児とは知らず、トラブルなどはないという。ただ、体の変化などが顕著に表れる第二次性徴期を控え、今後の対応の難しさを指摘する専門家もいる。 ◆性同一性障害(GID)=外形的な性別と、いわゆる心の性別が一致しない、世界保健機関(WHO)で認める医学的疾患。国内の主要医療機関では約4000人がこの障害と診断されたが、原因は不明。 「性同一性」学校に難問 小2男児、女児として受け入れ 高学年以降どうする (読売・大阪版 2006/05/18夕刊) 「性同一性障害(GID)」と診断された兵庫県内の小学2年男児(7)が女児として学校で受け入れられていることが明らかになった18日、教育関係者や専門家らは一様に評価しながらも、医師や教育機関などの連携の必要性を訴えた。こうした児童が増えた場合、「教育現場での合意が不可欠」「受け入れ態勢が整備されるのか」といった新たな課題も浮かんだ。 男児が通う自治体の教育委員会は午前10時から会見。幹部3人が出席、「周囲への十分な配慮が必要と考えています」と断り、事実関係を慎重に話した。幹部らは「高学年になると身体的特徴が出てくることが予想され、宿泊訓練など難しい問題も出てくるだろうが、保護者や本人の意向を確認しながら適切に対応していきたい」と話した。 識者は肯定的にみる。教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「子どもの人権を尊重した対応。いじめや偏見の対象にならないように、教職員のほか、性教育の専門家や医師らの協力も得て、周りの子の理解を得るよう努めるべき」と指摘する。 自ら同性愛者であることを告白し、性的少数者が直面する課題について提言を続ける大阪府議の尾辻かな子さん(31)は「教育委員会、学校は柔軟に対応した。本人が誇りと自信を持って生きられる環境を整えてほしい。子どもの『性自認』には揺らぎがあり、性同一性障害の診断がなくても本人の意思を尊重した対応が必要」とする。 テレビドラマ「3年B組金八先生」で性同一性障害に悩む女生徒をテーマに取り上げた作家の小山内美江子さんは「成人は自分の望む『性』を選ぶことのできるよう法が整備され、社会の理解も進んでいる。特別視することが逆差別。他の児童以上に親や教師らがよりデリケートに成長過程を見守ってほしい」と話す。 2004年施行の「性同一性障害者性別特例法」では戸籍上の性の変更について、20歳以上など一定の条件がある。GIDの当事者が未成年の場合、病院の受付などで書類を書く際、本人が望む性と異なり、トラブルになる例もある。大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授は「書類の性別欄に○印をつけられない人もいる」と話す。 文部科学省では担当部署が決まっておらず、児童生徒課の担当者は「新しい課題。各部署が連携し考えていく必要がある」と言う。 性同一性障害の男児 小学校が「女児」として受け入れ 2006年05月18日12時21分 朝日 兵庫県内の公立小学校が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断された小学2年の男児(7)を、女児として通学させていることが18日、わかった。地元自治体の教育委員会が、医師のアドバイスなどをもとに判断し、受け入れを決めたという。思春期の「第二次性徴」を控えた児童が体とは別の性で学校生活を送る例は全国でも珍しく、専門家からは慎重な対応を求める声もあがっている。 教育委員会によると、この男児は幼児期から、ぬいぐるみやスカートが好きで、男の子として生活することに苦痛を感じていた。小学校入学前の05年1月ごろ、大阪府内の病院で性同一性障害と診断され、医師からは「女の子と認めていく方向が望ましい」とアドバイスを受けたという。 教育委員会と学校は、保護者と面談した結果、医師のアドバイスをもとに、入学直前の同年3月末に女児として受け入れることを決定。入学後は、出席簿や身体測定などで女児として扱い、水泳も女児の水着で参加し、女子トイレを利用している。他の児童や保護者に直接説明していないが、現在のところ混乱は起きていないという。 教育委員会の担当者は「医師のアドバイスが受け入れの最終的な判断になった。今後の対応は、そのときそのときで判断をしていきたい」と話している。 GIDに詳しい東京武蔵野病院の針間克己医師(精神科)によると、イギリスとの研究事例では、自分が女の子だと思っている6歳前後の男児約70人を追跡調査した結果、成長しても女性と思い続けたのは1人だけで、残りは「男性」に戻ったという報告もあるという。針間医師は「自らの性をどう認識するかは、思春期を過ぎればほぼ確定するが、幼ければ幼いほど元の性に戻る可能性が高い。子どもが将来『男』に戻る可能性も十分考慮して、慎重に対応するべきだ」と話す。 (以下略) 〈性同一性障害〉心と体の性が一致せず、自分が間違った性別に生まれたと確信しているため、社会的、精神的に困難を抱えている状態。1万~10万人に1人の割合でいると推定される。日本精神神経学会はガイドラインで、ホルモン療法や性別適合手術などの治療指針を定めている。04年に特例法が施行され、性別適合手術を受けた独身の成人について、子どもがいないなどの条件を満たせば、戸籍上の性別を変更できるようになった。 性同一性障害:小2「女児」として通学 兵庫 毎日新聞 2006年5月18日 11時34分 (最終更新時間 5月18日 12時03分) 兵庫県内で暮らす小学校2年生の男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断され、昨年の入学時から女児として通学していることが18日、分かった。地元の教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、女児として学校生活を送っている。04年7月施行の特例法で、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になったが、低学年の児童が公的な場で障害を認められる例は全国的に珍しい。 会見した教育委員会によると、男児は幼少期からスカートやぬいぐるみが好きという兆候が見られた。5歳の時、保護者が兄と同じ少年野球教室に入れようとしたところ、嫌がって食事をとらない日が続いたという。 母親が近くの病院に相談したところ、「男女を区別せず、本人が望むようにさせてみては」とアドバイスされたため、通っていた保育園に女児の服装で通わせ、プールでもビキニタイプの水着を着せると元気を取り戻したという。 小学校に女児として受け入れてもらおうと、大阪の病院で専門的な検査を行い、GIDの診断書を得て学校に提出。教委、学校関係者と2度面談した後、女児としての受け入れが決まった。入学後、出席簿は女児の欄に入れられ、トイレや身体測定も女児として過ごしている。 教委によると、入学させる際、教職員全員には説明したが、文部科学省、県教委には報告しておらず、PTAにも説明していないため、実際の性に気付いていないクラスメートが多いのではないかという。 教委は「今後、体の性に戻ることがあったとしても、対応出来るよう態勢を整えたい」としている。 性同一性障害学会理事長の大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授は「学会で大学生や高校生の事例の報告はあったが、小学生のケースが公になったのは初めてではないか。体の性別よりも、心の性別に応じた今回の方針は良い対応だと思う。さらに体の男性化が進む小学校高学年になるまでに、周りの児童の理解力に応じた説明をすることも今後の課題だ」と話している。 <性同一性障害>これからの問題も… 兵庫の小2受け入れ 性同一性障害(GID)と診断され、体は男児だが女児として通学している小学2年生。地元・兵庫県内の教委が保護者側の意向を受け入れたことに、専門家らは一定の評価をする。しかし、水泳授業、性教育……。学年が進み体が成長するにつれて直面する現実がある。男児の「心の性」をどう受け入れるのか。教育現場や地域社会も問われている。 ■教育委員会 会見した地元の教育委員会によると、男児は5歳のころ、母親に「おちんちんは取れないの?」と問いかけ、自分が男児であることへの違和感を訴えた。兄と同じ少年野球教室に通わせようとすると、かたくなに拒み、バレエ教室に通わせると喜んでいたという。 女児として学校生活にとけ込んでいるが、5年生になると、学校行事として合宿が行われ、その際、クラスメートと一緒の入浴もある。第2次性徴を迎える時期で、その際の対応について教委は「状況をみて慎重に対応したい」と話しているが、子どもたちが神経質になる時期であり、多くの課題が残っている。 ■当事者たち 当事者団体「性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会」(東京都)によると、GIDの診断を受けた人は全国で延べ約4000人いるといわれ、国内外で既に性別適合手術を受けた人は1000人程度とみられている。昨年末までに約370人が戸籍上の性別変更を家裁に申し立て、約330人が認められた。 同性愛者であることを公表した大阪府議の尾辻かな子さん(31)は「学校や教育委員会が本人の意思を尊重した対応」と評価する一方、「幼いころの性別への違和感は将来揺らぐこともある。まだ思春期を迎える前に、GIDの診断を受けたのは早すぎる気もする。性の多様性に目を向けた対応が必要だ」と慎重さも求めた。 男性から女性に性別を変更した東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「第2次性徴や思春期の前で、慎重にみなければならない時期ではあるが、体の性に対する本人の嫌悪感が強いのならば現実的な対応。大人の『事なかれ主義』で子どもが置き去りにされることを避けた点で評価できる」と話す。 ■識者 教育評論家で法政大キャリアデザイン学部の尾木直樹教授は「人権を尊重した先駆的な行政判断」と評価しながらも、今後、いろいろな問題が起こると指摘する。「現在は女の子とプールに入ったり、体操をしたりできるだろうが、小学4年生ぐらいになるとクラスメートも気づきはじめ、周りとの関係が難しくなるだろう。教師やクラスメートの父母らは、善意のつもりでむやみに動くようなことはしないほうがいい」と慎重な対応を求める。 尾木教授によると、北欧では同様の実例があるといい「そうした事例を研究している専門家や精神科医、カウンセラーと早急にプロジェクトチームを作り、保護者や子どもにヒアリングをして今後の接し方を考えていくべきだ」と話した。 ◇依然高いハードル 性同一性障害(GID)をめぐる社会環境は厳しく、横浜市の男性が勤務していた出版社から女装を理由に解雇され、地位保全の仮処分を申し立て、02年6月に認められたケースもあった。一方で、同年3月に女性として活動していた競艇選手、安藤大将さん(当時は千夏)が、男性としての活動を認められた。03年には戸籍上は男性の大阪市の職員が女性として勤務を始めた。 03年7月には家庭裁判所の審判で戸籍の性別を変えられる特例法が成立、04年の施行後にタレントのカルーセル麻紀さんが男性から女性に、作家の虎井まさ衛さんが女性から男性に、それぞれ戸籍を変更した。しかし、GIDの人たちでつくる団体などは「依然ハードルが高い」と指摘、子供がいないことなどを変更要件とする同法の改正を求めている。
by alfayoko2005
| 2006-05-18 09:13
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