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【在阪4オケ統合問題】(6)北の大地に再生のヒント (産経・大阪版 2006/05/17夕刊)
≪楽団員の意識改革が必要≫ 北の大地にヒントがあった。経営破綻(はたん)の危機から復活を遂げた札幌交響楽団(札幌市)である。 札響が存続危機-と報じられたのは平成十四年十月。地元の新聞一面に大きな見出しが躍り、それまで経営に目を向けることがなかった楽団員を驚かせた。十三年度で累積赤字が四億円を超え、借入金は五億六千万円に上っていた。 「まさかオーケストラが破綻するわけがない」 信じたくない気持ちもあったが、北海道拓殖銀行をはじめ道内企業の相次ぐ倒産を間近で見てきた。混乱する道経済が、札響破綻に現実味を帯びさせ、楽団員はやがて近づく冬の寒さとともに、自分たちに降りかかった危機に凍りついていた。 チェリストの荒木均は当時をこう振り返る。 「音楽に対する気持ちや、この街に文化を広げようという使命感が、この仕事を続けさせてきたのに、その使命が果たせなくなる。ショックと明日をも知れぬ不安な気持ちで毎日を過ごしていました」 楽団員の精神状態は音楽にも影響した。十二月にCDに収録した第九の演奏は、今聞いても「歓喜の歌」が切なく泣いている。 ◇ 現在、事務所のホワイトボードには、来月までのスケジュールがぎっしり書き込まれている。定期演奏会や企業主催のコンサートの合間に、小編成で出向く学校の音楽教室、老人ホームなどのミニ演奏会が入り、休む間もない。 オケとして、十七年度は年間約百二十回の公演回数をこなしたうえで、さらに小編成で年間九十回近くの公演を行っている。大小あわせてその回数は合計二百十回。本番前には必ず練習やゲネプロ(通しげいこ)があるため、スケジュールの過密ぶりがうかがえる。 通常、楽団員はオケの仕事がないとき、仲間たちと組んで小編成による演奏会を開く。その収益は個人に入り、少ないオケの給与を補っている。 ところが札響では、オケの収益と認知度アップのために、オケの仕事として小編成の派遣を十五年度からスタートさせたのである。 「音楽家個人の仕事を奪って、団に収益を吸い上げられるのを認めるなんて」と、全国のオケ組合幹部が集まる会合で、札響の組合が批判されることもあった。 確かに楽団員の収入源の一つは減る。しかし、楽団が存続しなければ、自分たちの音楽活動さえままならない。札響の楽団員は決断した。 金で得られぬ収穫もあった。小編成の仕事は、老人ホームや養護施設への出張など、福祉事業にからむものが多い。目の前で涙を流して喜ぶ聴衆に「社会から必要とされることを肌で感じる」。奮起しないわけがなかった。 ◇ 事務局の運営方針も刷新した。楽団員の給与をカット、基金取り崩しによる借入金の返済。四管編成だったオケから三管編成への規模縮小にも手をつけ、昨年は定期演奏会を毎回二公演にして動員数を増やしている。 さらに事務局長の宮澤敏夫は、演奏会場の札幌コンサートホールのステージ上で何度も楽団員の座る位置を変えさせた。 「一番響く場所はどこか」。奏者の位置を変え、管楽器が乗っている壇を数センチ下げるだけで音がガラッと良くなった。「お金をかけて団をよくするのは簡単。現状の中でどれだけいい音を出すかの工夫も必要だ」 楽団員と事務局員一人ひとりの熱意が合わさったとき、道民が応えてくれた。公演動員数は、十三年度の約十二万一千人から、十六年度には約十五万九千人まで伸びた。 宮澤はかつて大阪フィルハーモニー交響楽団で、朝比奈隆の片腕として事務局長を務めた。大阪を見て思う。 「札響は意識改革が進んだから経営改革も進んだ。大阪も、楽団員と事務局が意識を変えて真剣にオケ再生を考えなければならない時を迎えている」 この北からのメッセージは、果たして大阪に届くだろうか。=敬称略 (石井奈緒美) 【2006/05/17 大阪夕刊から】 【在阪4オケ統合問題】(7)誰が支えていく音楽の感動 (産経・大阪版 2006/05/18夕刊) ≪子供たちからの「感想文」≫ 「関西にぎょうさんあるオケ。みんな違うんです。それが面白い」 落語家の桂小米朝は、クラシック音楽の熱烈なファンとして知られる。この春、京都市交響楽団と大阪センチュリー交響楽団が同じベートーベンの交響曲を演奏したので、聴き比べを楽しんだ。 「仕事柄、私も予定がなかなかたちません。夕方時間が空くと、ぷらっと当日券を買って行くんです。行けたコンサートはご縁があったんだなあとうれしくなります」 統合すれば、安価で気軽に聴ける公演の回数も減るだろう。会場で生の音楽を聴くのは、奏者の息遣いを感じたいから。「ブラボー」と拍手を送れば、素晴らしい演奏で応えてくれると実感できるからだ。 「四オケが、がっぷり四つに組んで文化発信してほしい。四つのオケが同じプログラムで競い合うなんて企画があれば、通うだろうなあ」 ◇ 「音楽の道に進む人が少なくなるんじゃないかな」。昨年、音楽大学を卒業し、今は大阪・西梅田の楽器店に勤める小谷仁美がふともらした。 音大生の多くが目指すのがオケのオーディション。在阪四オケが一つになれば、目指すゴールの数も減る。「男性などは将来性を考えて音大に進む人数が減るかもしれない。それは音大のレベルを下げ、さらにすそ野を狭めることになるだろう」と心配する。 小谷はトロンボーンを専攻した。オケを目指したこともあったが、そこは本番中に周囲の音や様子に神経を張り巡らせるのはもちろん、常に周囲の演奏と自分を比較し続ける厳しい世界。学生オケですら、舞台に上がるには激しい競争があり、夢をあきらめた。 しかし、「トロンボーンが私に感動を教えてくれた。音楽からは一生離れられない」と楽器店へ就職した。「オケが統合されれば、今、営業先の学校やオケで音楽を続けている人たちは、大阪の芸術はどうなるのだろうか」と不安になる。 現在、在阪の四オーケストラに所属する団員は約二百四十人。もし一つに統合されれば、定員は多くて百人。ざっと計算して百四十人のプロ演奏家が職を失う。 また公演には、楽団員だけで人数が足りないときに呼ばれる「エキストラ」という人たちが欠かせない。多くはフリー奏者だが、オケ統合となれば、ますますフリーのチャンスはなくなる。エキストラの四十代の女性音楽家は、こうつぶやいた。「大阪には、目に見えないものや、すぐお金にならないものには価値を見いださない、貧しい発想しかないのかな」 ◇ ≪ぼくはオーケストラで一番よかったのはトランペットです。ぼくはそれからトランペットがほしいといいつづけていました。そして、今週の土曜日に千中(千里中央)の楽器屋に行ってトランペットを見に行く予定です。買えれば買います。ぼくは買えればいいと思います。ふければふきたいです≫ 大阪センチュリー交響楽団の事務局にまた、手紙が届いた。小学六年生のつたない文字が楽団員や事務局の人間を喜ばせる。センチュリーが、児童生徒を対象に、演奏だけでなく、実際に楽器に触れさせたり、指揮をさせることでクラシック音楽の楽しさを伝える「タッチ・ジ・オーケストラ」の事業を始めたのは十五年度から。子供たちから届くお礼の手紙は「感動の感想文」と呼ばれ、大切に保管されている。 一方、大阪フィルハーモニー交響楽団でも昨年、楽団員が中学校で出張講座を行う取り組みを始めた。大阪府八尾市内の中学校で、たった一時間で生徒に「演奏会にも行ってみたい」「また教えてほしい」と言わしめたのは音楽の力だろう。 「奉仕ではなく投資だ」と常々言っているのは大フィルの音楽監督、大植英次。時間が空けば、全国各地の学校を訪れ、無償で音楽指導する。子供たちが音楽に触れることで、やがて聴衆や演奏家に育つと信じている。 四オケの響きを維持することは何を意味するのだろうか。響きを支えるのは金か、楽団員か、事務局か。それとも聴衆だろうか。私たち一人ひとりが問われている。まず財界が声をあげた。次は誰が声をあげるのか。まだ答えは出ていない。=敬称略 (石井奈緒美) =おわり 【2006/05/18 大阪夕刊から】 大阪:響は守れるか 在阪4オケ統合問題 1-5 (産経・大阪版夕刊 2006/05/10-16) やくぺん先生うわの空 音楽ジャーナリスト・渡辺和が商売で書けないことを書きます。 大阪産経夕刊のオケ統合レポート [指定管理者制度] 2006-05-19 11:36 指定管理者制度カテゴリーじゃあないんだけど、ある意味で問題点が似ているので、敢えて久しぶりにこのカテゴリーで記します。 (中略) 連休明けくらいから、大阪の産経夕刊に、関西のオーケストラ合併騒ぎについての記事が出ています。どうやら昨日で短期集中連載が終わったようなので、以下にまとめて紹介しておきます。7回連載で、下に貼り付けた最終回のページ、下の方の記事一覧というところで過去記事がリンクできるようになってますから、全部纏めて第1回からお読みになると良いでしょう。http://www.sankei.co.jp/news/060518/bun086.htm 記事を書いている石井奈緒美という記者さんは、文化部の方じゃなくて、関西食文化とか生活NPO関係とか、そっちの方をやってる人みたい。小生は個人的には知らない方です。所謂、「音楽関係記者」として、大阪音楽業界のプレス懇談会とか記者発表会に出てくる方ではないみたい(そうじゃなかったらスイマセン、なんせ、年に1度くらいしか大阪の記者会見には行けないもので)。大阪の音楽記者って、なんか独特ですよねぇ。東京とは違って、なんだろうなぁ、凄く趣味的な人が多い。記者さんが質問という形で演説始めるんだよねぇ。不思議なところだ。 もとい。で、ここで問題になってるのは、ぶっちゃけていえば、「大阪センチュリーがファンドの元金を使い切って潰れちゃう勢いなんで、なんとか他のオケで団員を受け入れてくれんかね」という動き。具体的な雇用の問題が出てきたので、ずーっと水面下で囁かれているオケ統合話を具体化したい人たちが動き出した、ということなんでしょう。なんせ、今の大フィルのトップがどこから来た方かを考えれば…。 (中略) というわけで床屋談義でした。あ、石井記者の記事はまともだから、ちゃんと読んで下さいね。 在阪オケ統合に異論 樋口・大商副会頭 2006年05月19日 朝日・関西版 関西経済連合会の秋山喜久会長が提案した大阪府内のプロオーケストラ統合問題で、大阪商工会議所の樋口武男副会頭(大和ハウス工業会長)は19日、「欧米の状況と比べると日本は(楽団の数が)少ないと聞いている」と述べ、統合に異論を唱えた。 樋口氏は大阪シンフォニカー交響楽団(堺市)の支援団体「大阪シンフォニカー協会」の理事長に就任したばかり。「文化活動は金もうけではない。豊かな生活を実感する社会資本をつくることにできるだけの貢献をしたい」などと述べ、在阪4楽団がそれぞれ独自の活動を進めるべきだとの考えを示した。 秋山氏は4月3日の関経連会長会見で「大阪府・市、経済界が支援するオーケストラを一つにし、世界に誇りうる『大阪交響楽団』を編成してはどうか」と話し、楽団の統合論を打ち出した。
by alfayoko2005
| 2006-05-18 09:38
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