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「ダ・ヴィンチ・コード」 欧米の反応は抑制的
2006年05月22日06時47分 朝日 ベストセラー小説「ダ・ヴィンチ・コード」を原作とする同題名の映画の公開が世界各地で始まった。キリストに子がいたなどの内容が物議を醸したが、カトリックの総本山であるバチカンのおひざもと、イタリアでは初日の19日、910の映画館で200万ユーロ(約2億8千万円)と過去最高の売り上げを記録した。ボイコット運動が広がったアジアなどとは対照的に、欧米のキリスト教徒の映画に対する反応は抑制的だ。 バチカンでは、ローマ法王ベネディクト16世の側近、ルイーニ枢機卿が司教らの会議で「信仰の核心への根拠なき挑戦だ」と映画を非難しつつ、「真実は幻想に勝る」と呼びかけた。 バチカン公認の組織で、映画で陰謀的に描かれた「オプス・デイ」のジョン・ウォウック神父はローマでの討論会で、「芸術や歴史、神学に対する無知さを示している」とブームを懸念。しかし、「キリスト教の真実はフィクションより興味深くミステリアスと伝える機会だ」とも話す。 作品の舞台のひとつであるフランスでは、他国より早い17日に劇場公開され、カンヌ映画祭の開幕作品に。メディア評は「アクションシーンは弱々しく、より多い講釈の場面は仰々しくて冗舌」(18日付フィガロ紙)と、娯楽映画としての出来ばえを論じている。 小説の主舞台、パリとロンドンを結ぶ高速列車ユーロスターは配給会社と提携し、映画を春の旅客宣伝キャンペーン(費用1千万ユーロ)に使った。 英国で「とばっちり」を受けているのが、今月初めの内閣改造で教育・技能相から地域・地方政府相に横滑りしたルース・ケリー氏(38)。映画封切り前から一部メディアが「オプス・デイ」批判を展開し、組織のメンバーである同氏を標的にし始めた。同氏は就任後、「カトリック教徒でありながら、閣僚に就くことが可能かと問われれば、答えはイエス」とコメントした。 米国では17日、中絶反対運動をしているカトリック系の団体「ヒューマン・ライフ・インターナショナル」の代表がボイコットを呼びかけた。しかし、別の保守系の団体「アメリカ家族協会」はAP通信に「人々に(事実とフィクションの違いを)学んでもらいたい」と述べた。 欧州では、宗教も批判の対象であるべきだという考えが定着している。今年初め、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画が問題になった際も「いたずらに宗教心を傷つけない限り、表現の自由を優先すべきだ」という主張が優勢だった。 教会側には、真剣に反論するほど面白おかしく取り上げられる、というジレンマもある。仏のカトリック系日刊紙ラクロワは「我々がまともに反撃すれば、教会は不寛容で秘密とウソを隠し込んでいるという彼らの見方に加担してしまう」(17日付社説)と、信者の自重を呼びかけた。
by alfayoko2005
| 2006-05-22 09:05
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