カテゴリ
お知らせ トランス LGB(TIQ) HIV/AIDS 米政治 国内政治 ジェンダー・セックス バックラッシュ Books Movies Theatres TV & Radio Music Others Opinions 以前の記事
2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
[クラシック小話]モーツァルト/交響曲第39番 野中圀亨(寄稿) (読売・西部版 2006/05/17夕刊)
◇K.543 ◆清らかな歌謡性と寂寞感 モーツァルトの「最後の三大交響曲」は第39番、第40番、第41番である。短調で書かれた第40番(ト短調)と、「ジュピター」という名がついた第41番は人気があるが、第39番はいささか影が薄いということになる。 日本人は短調のモーツァルトを好む。しかし、モーツァルトには短調の作品は少なく、交響曲ではもう1曲(第25番)あるだけ。ほとんどの作品は長調で書かれる。短調だと悲しみをストレートに表現しやすいが、長調作品とて明るいばかりではない。そこにモーツァルトの同時代に活躍していた多くの平凡な作曲家との違いがある。表面は明るく喜びに満ちていても、よい演奏に出合えば、悲しみや苦しみが漂っていることがわかるのである。 この3曲を作曲したのは1788年の6月から8月にかけてのわずか2か月間。その他に多くの室内楽作品も作っていたのだからかなりの速書きで、モーツァルトなら可能であろう。第39番は4日間で書いたという推測もある。 この時期には、裕福な商人プフブルグに借金の申し込みをした手紙も2通残されている。実は、彼は貧困にあえいでいたのだ。しかし、苦しいながらも明るい音楽を作曲する。ロマン派の時代ならいざ知らず、古典派の時代は自分の感情を作品に表現しないのである。だが、そうは言っても、作品の奥底にはモーツァルトのたとえようもない寂寞(せきばく)がひそんでいる。さまざまなCDを聞き比べてみると、そうした要素を抉(えぐ)り出した演奏はむしろ現代楽器による方が見えやすいように思う。スウィトナー指揮、ドレスデン国立管弦楽団のCD=写真=がその一つである。 第39番は「白鳥の歌」と呼ばれることがある。変ホ長調という柔らかい調を選んでおり、清らかな歌謡性と寂寞感に満ちている。オーボエを使わずクラリネットを取り入れたのが当時としては珍しい。第1楽章は緩やかな序奏のあと、主和音をなだらかに歌わせた主題が現れ、第2主題も美しいし、よく歌う。メランコリーを探そうと思えば、第2楽章のアンダンテであろう。初めは何気なく始まるのだが、これとてどこか寂しげである。やがて、短調に変わり、激しさをもった感情の発露がある。途中、ファゴットからクラリネット、フルートへとカノン風に移り変わる部分が面白い。第3楽章のメヌエットは傑作である。とくに中間部のクラリネットがすばらしい。終楽章はハイドン風で、オペラの1シーンのようでもあり、楽しい。 ◇ 九州交響楽団第268回定期演奏会 25日午後7時、福岡市のアクロス福岡シンフォニーホール。ゲルハルト・ボッセの指揮で、モーツァルトの交響曲第39番、第41番ほか。
by alfayoko2005
| 2006-05-23 16:43
| Music
|
ファン申請 |
||