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N響、80年目の試練――受信料不振で支援縮小、増収狙い演奏配信(エンタビジネス) (日経産業新聞 2006/05/15)
増収狙い演奏配信へ 野心的な挑戦求める声も 受信料収入減少で母体であるNHKからの財政支援が縮小される中、NHK交響楽団が有料定期会員のすそ野の拡大や収入源の多様化などの経営改革を迫られている。N響は今年創立八十周年を迎え、国内の音楽界をけん引する存在。危機感をバネに経営改革を推進し、世界のオーケストラのトップクラス入りという夢を実現する好機にできるのか。N響の今を追った。 「ブラボー」。二月下旬、東京都内で開かれた八十周年記念コンサート。音楽監督のウラディーミル・アシュケナージ氏が指揮棒を下ろすと、ホールを埋めた聴衆が一斉に拍手を送った。 ◎ ◎ 演目はロシアの作曲家、スクリャービンの管弦楽曲「プロメテウス」。楽譜に色彩の指示が書いてある異色の作品だ。聴衆の女性は「異空間にいるようで非常に面白かった」。N響は照明関連のコマデン(東京・港)、ヤマハなどと協力し、音楽に連動してステージ上に様々な色の発光や模様を映す色光ピアノを共同開発。世界初という音楽と色彩のハーモニーを奏でた。 だが、その舞台裏では、N響の事務方が奔走していた。不祥事を発端とした受信料収入減で、NHKがこれまで年十四億円だった援助額を一割弱減らすと通告してきたためだ。企業を直接訪問、約二十社から二千万円の協賛金を新たに得た。光熱費などの経費も切りつめ、演奏会を乗り切った。 N響は日本で初めてのプロオーケストラである新交響楽団が前身。同楽団は一九二六年に設立され、ラジオ番組に出演するなど放送向けに積極参加。戦後、NHKの傘下に入って現在の名称に変更した。 NHKの支援に加え、公演などの事業収入も約十三億円にのぼる。二〇〇六年度予算額は約三十二億円で、十億―二十億円が大半の国内楽団では突出した存在だ。優秀な団員を確保するとともに海外の著名音楽家を招へい。定期演奏会を訪れる会員数は一万人を超え、スポンサーの協賛企業も二百五十社におよぶ。 ただ、収入の柱の定期会員数は減少傾向にあり、会員の高齢化も進行するなど経営基盤を巡る課題は少なくない。追い打ちをかけかねないのがNHKからの支援縮小で、認知度向上のカギとなる〇七年の海外公演が延期される恐れも出ている。 そこでN響が力を入れ始めているのが定期会員のすそ野の拡大に向けた方策だ。若い顧客が増えれば、将来の収入拡大、財政安定に結びつく。具体的には、定期公演の一部の開催日程を〇四年秋から平日から週末に移行。平日忙しい会社員の会員が増加中だ。夏には子供向け音楽教室を東京都練馬区のNHK文化センターで開き、未来の音楽愛好家を育てる。 デジタル時代の到来をにらんだ収入源の多様化にも取り組み始めた。携帯電話向けの着メロなどに加え、演奏会のインターネット配信に向けた準備にも着手。田畑和宏理事長は「収入の多様化を図り、経営の自立性を高めて演奏活動の充実を進めたい」と話す。 ◎ ◎ 堀正文ソロ・コンサートマスターは「NHKを取り巻く状況は楽観できないが、演奏レベルをもっと向上したい。音楽文化を日本社会に根付かせたい」と意気込む。ただ、演奏の評価では「演目など最近は保守的な傾向がみられ、感動が薄くなった」(音楽評論家)との見方もある。 音楽に詳しいフジテレビジョンの村上光一社長は「財政が他楽団に比べ安定しているのだから、もっと野心的な挑戦を試みてほしい」と注文をつける。日本オーケストラ連盟(東京・墨田)の岡山尚幹常務理事は「NHKはクラシック番組を放送するだけでなく、ドキュメンタリーなどでブームをつくり出してほしい。スターを生む試みにも期待したい」と放送との連携強化を提言する。 四―五月、ポーランド出身の巨匠スクロヴァチェフスキ氏の指揮でモーツァルトやブルックナーなどの交響曲を演奏、日ごろの演奏会とは異なる大喝采を浴びた。世界で活躍するある音楽家はこう漏らす。「本気のN響はすごい。その力をもっと発揮してほしい」。NHKの支援縮小で生まれた危機感をバネに、経営改革をどう具体化して芸術性の追求にも結びつけるか。その行方を国内外の音楽関係者が見守っている。(多部田俊輔) NHK永井副会長に聞く 楽団支援は継続 社会との関係密に NHK交響楽団のあり方などについて、永井多恵子NHK副会長に聞いた。 ――なぜ交響楽団を支援するのか。 「放送文化の普及はNHKが果たすべき大きな役割だ。文化の担い手であるN響への支援を続けることは適切であり、支援打ち切りはありえない」 「欧州は国や自治体が支援し、米国は民間寄付で、オーケストラの運営は成り立っている。経済合理性、つまり、演奏会収入だけでは運営できないものだ」 ――昨年度から年十四億円の支援額を一割弱減らした。 「受信料収入の減少を受け、支援額を減らさざるをえなかった。しかし、N響への支援の減少幅は最小限に抑えた。放送局の施設設備や管理部門の減少幅はもっと大きい」 ――N響に期待したいことは何か。 「もっと密接に社会と関係を持つといいだろう。子供たちが音楽に接する機会を増やし、家族向けの演奏会を充実させてほしい。無料コンサートを開いたり、地域と一体になった音楽祭を開いたりするのも一案だ」 専門家コメント 市場戦略見えず、新たな試み必要 元オーケストラ奏者で芸術団体の経営に詳しい大木裕子・京都産業大助教授の話 「企業が業績を伸ばすには顧客満足(CS)の獲得が必要だが、オーケストラの場合は芸術家満足(AS)がなければCSも提供できない。ASとCSは必ずしも一致するものではないから、相当に力量のある経営者が必要になる」 「NHK交響楽団は日本の最高峰オーケストラだが、演奏は残念ながら欧米の一流オーケストラの水準には達していない。どのような顧客に対し、どのような音楽を提供していくかというアイデンティティーとマーケティング戦略が感じられない。N響の可能性は小さくないだけに、今後に期待したい」 「ネット社会の到来でコンテンツはますます重要になる。レコードというメディアが登場した際、その流れを上手に利用した欧米の楽団もある。新しい挑戦に貪欲(どんよく)になってほしい」 【表】NHK交響楽団の2006年度予算 【図・写真】音楽に連動して様々な色彩が行き交ったNHK交響楽団の演奏会(2月、NHKホール、撮影=竹原伸治)
by alfayoko2005
| 2006-05-25 23:26
| Music
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