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現代音楽で提携、曲目広く──いずみとフェニックスの2ホール (日本経済関西版 2006/05/25)
現代音楽の演奏で高い評価を得るいずみシンフォニエッタ大阪(2005年11月)=撮影・樋川 智昭 大阪市にあるクラシック専用の民間ホール、いずみホール(821席)とザ・フェニックスホール(319席)が現代音楽の分野で提携した。まず今秋、作曲家の武満徹没後10年の記念公演を共同で企画。必要な編成に合わせて中規模のいずみホールと小規模のザ・フェニックスホールを使い分け、管弦楽曲から室内楽曲まで現代音楽の幅広い魅力を伝える。 今年9月に共同で企画するのは、「武満徹が亡くなってもう10年になる―4つのコンサート」のうちの2公演。作曲家の猿谷紀郎を招くレクチャーコンサート(13日、ザ・フェニックスホール)と、いずみホールの座付き楽団で現代音楽の演奏を主目的とするいずみシンフォニエッタ大阪(ISO)の定期演奏会(23日、いずみホール)だ。 ISOの西村朗音楽監督と、ザ・フェニックスのレクチャーコンサートで企画・構成を担当する伊東信宏大阪大助教授が共同でプロデュースする。いずみホールの伊東順一支配人は「民間ホールの点と点との連携が面に広がっていけば関西文化の発信力強化につながる」と意義を強調する。 提携の最大のポイントは、関西ゆかりの奏者約25人で構成するISOの活用。ISOはコンサートミストレスの小栗まち絵(バイオリン)をはじめ呉信一(トロンボーン)、大谷玲子(バイオリン)、林裕(チェロ)ら錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねる。年3回定期演奏会を行い、昨秋には東京公演を成功させた。 9月13日の公演ではISOが9人程度の小編成ユニット「ISOアンサンブル」(15人以下の場合の呼称)を初めて結成する。西村音楽監督は「いずみとザ・フェニックスはサイズが違い、音楽の志向も管弦楽と室内楽の差がある。その意味でぴったり合う。連携すれば、管弦楽から室内楽まで多様な現代音楽を披露できる」と話す。 ISOアンサンブルが出演する9月13日の曲目は「《四季》4人の打楽器奏者のための」「《11月の霧と菊の彼方から》バイオリンとピアノのための」など室内楽曲中心。ISO本体が出演する23日は「雨ぞふる」「群島S.」などオーケストラ曲中心だ。奏者はさまざまな形態の現代音楽を経験し、レパートリーを拡大できるメリットがある。 ISOアンサンブルの出演はザ・フェニックスにも利点がある。人気と実力を兼ね備えた奏者が出演すれば、集客やプログラムの充実が期待できる。今回の提携はもともとザ・フェニックス側が20世紀音楽の企画を考えていた時に、「現代音楽に積極的ないずみの協力が欠かせない」と感じたことがきっかけだ。 両ホールは来年以降も共同企画を検討。2007年は「環バルト海」をテーマにシベリウス(フィンランド)、グリーグ(ノルウェー)など、08年は「ドナウ川の流れ」をテーマにバルトーク(ハンガリー)、エネスク(ルーマニア)などを採り上げる予定だ。「長期的にはモーツァルトの現代演奏など『現代』を広い視野からとらえたい」(西村音楽監督)という。 いずみホールの伊東順一支配人(左)とザ・フェニックスホールの別所澄支配人 いずみとザ・フェニックスは、大阪アーティスト協会が実施した05年ホール人気ランキングで1位と2位を占めた。両者とも地域文化振興の意識が高いだけに、「同じベクトルのほかのホールとも連携を広げたい」と口をそろえる。 東京では今春、クラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」が行われ約70万人を集めた。民間ホール間の連携の輪がさらに広がれば、関西における大規模な「クラシックの祭典」に発展する可能性も秘めている。 (大阪・文化担当 浜部貴司)
by alfayoko2005
| 2006-05-25 23:43
| Music
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