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[クラシック小話]モーツァルト/ディヴェルティメント 野中圀亨(寄稿) (読売・西部版 2006/06/14夕刊)
◇第17番K.334 ◆優美なパリ様式を求めて モーツァルトは後世の人々のために作品を書いた訳ではない。その時々に、彼に作曲を依頼した人のために書いたのであり、それを演奏しようとする人たちを念頭に入れて楽譜を書き記していったのである。 だから、今、楽譜を見てもわからないことがある。例えば、ディヴェルティメント第17番K.334。ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バスと2本のホルンのパートが残されているのだが、ホルンは2人としても弦楽はそれぞれ何人で弾けばいいのかわからない。各パート1人なのか、合奏でやるのかを知りたいところだ。極端に言えば、室内楽なのかオーケストラの曲なのかが不明なのである。 そこでさまざまな形での録音が残されることになる。カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏は、弦楽奏者の人数が多く、筆者には重く感じられる。一方のウィーン八重奏団のものは各パート1人ずつで風通しがよく、ウィーン・スタイルの艶(つや)やかな演奏で味があり、雰囲気もいい。となると、この室内楽スタイルが正解かと思っていたのだが、シャーンドル・ヴェーグ指揮によるカメラータ・ザルツブルグの演奏を聴いた瞬間、その魅力的な音に思わず吸い寄せられてしまった。小編成の合奏で、音楽が小気味よく運ばれる。細かい音が見え、ほどよい量感がある。 モーツァルト23歳のときの作品。どこかの宮廷などに就職を求めて出かけたマンハイム・パリ旅行は、ことごとく失敗しただけでなく、母親を病気で失い、自らも失恋して、ようやくザルツブルグに帰って来たのだが、この曲はそのころ作られた。注文主はザルツブルグの名門貴族ロビニヒ家。だが、わかっているのはそこまでで、何の祝い事のために演奏されたのかはわかっていない。おまけに自筆譜も失われているのだ。こういうときにこそ演奏記録などが欲しいのだが。 さて、この作品、六つの楽章で構成されており、当時の習慣通りメヌエットが二つある。初めのメヌエットはとびきり有名で、単独にも演奏されるほど。全体にパリの優美なロココ風の色合いが強いのはパリ旅行の影響と考えられるが、第2楽章のアンダンテは重いニ短調で、陰影のある情感を醸し出す。失恋や不幸などの影響か。 こういう要素を持った作品であることを考え合わせると、CD選びもパリ風味を求めてフランスのパイヤール室内管弦楽団のしゃれた演奏も無視できなくなるし、のちに顕著になるウィーンのスタイルにも愛着がわく。CDの決定盤など決められそうにない。(のなか・くにあき=音楽評論家) ◇ アクロス・ストリング・アンサンブル演奏会 8月20日午後3時、福岡シンフォニーホール。モーツァルトのディヴェルティメント第17番K.334ほか。 写真=ヴェーグ指揮、カメラータ・ザルツブルグ盤(輸入盤)
by alfayoko2005
| 2006-06-15 04:23
| Music
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