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[クラシック小話]モーツァルト/演奏会用アリアK.418 野中圀亨(寄稿) (読売・西部版 2006/06/28夕刊)
◇モーツァルト:コンサート・アリア「あなたに明かしたい、おお神よ」K.418 ◆アリアの裁断と補正 モーツァルトの時代、オペラは次々に作られた。 作曲家が新しいオペラを初演しようとすれば、台本に基づいてあらかじめレチタティーヴォ(叙唱)などの作曲を済ませ、主なアリアを残したまま公演地を訪れる。現地に着くと、歌手たちとの打ち合わせだ。出演するさまざまな歌手に会い、それぞれの声質、音域、特徴を把握し、さらに歌手の希望をも聞き入れたうえで、アリアを完成させるのである。 「このアリアは地味すぎるし、得意の高音域を生かしてない」と言われれば、書き直す。「うん、これならいい」と言われてアリアが決まる。いわば衣裳(いしょう)の採寸みたいなものである。 幸い好評を得てよその土地で公演するとなると、歌手はがらりと変わる。その作曲家がまだ生きていて、近くにいればよいが、それがかなわないならどうするか。別の作曲家に頼むのである。著作権などはお構いなしで、他人の作品をどんどん書き直していくのである。 アンフォッシ(1727~97年)という作曲家が書いた歌劇「無分別な詮索好き」というオペラがウィーンで上演される際、モーツァルトが差し替えのアリアを3曲ほど書いた。実際にはサリエリらの妨害により採用されなかったのだが、こうした使い捨てにされるアリアがコンサート・アリアとして残されている。「あなたに明かしたい、おお神よ」はそのなかの1曲で、さらに「いえ、いえ、あなたには」K.419もあり、いずれもソプラノのためのアリアである。そのときのソプラノとはモーツァルトの初恋の相手、アロイジア・ランゲ夫人であった。つまりモーツァルトの妻コンスタンツェの姉なのである。 オペラの筋は「カランドリア侯爵が婚約しているクロリンダの貞操を疑い、友人の伯爵に頼んで誘惑させたところ、皮肉にもこの伯爵にクロリンダが恋してしまい、そのまま結ばれてしまう」というもの。「あなたに明かしたい」はクロリンダが嫉妬(しっと)と許されぬ恋の苦悶(くもん)を歌うアリアで、前半は哀愁を帯びたアダージョと後半の華やかなアレグロでまとめられている。 初めてナタリー・デッセイによるこの曲を聴いたとき、思わず震え上がった。完璧(かんぺき)な歌唱は技巧を感じさせず、人間の声がここまでコントロールできるものかと感心するとともに、その感情表現が自然に聞こえてくるのである。アロイジアは果たしてここまで歌えただろうか。(のなか・くにあき=音楽評論家) 写真=ナタリー・デッセイによるモーツァルト・コンサートアリア集 'Vorrei Spiegarvi, Oh Dio!', K.418 http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000A2H7W2/
by alfayoko2005
| 2006-07-03 10:38
| Music
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