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[クラシック・響]メゾソプラノ チェチーリア・バルトリ 歌姫しなやか (読売 2006/06/27夕刊)
◆細心・鋭敏 ことしはメゾソプラノ来日の当たり年でもある。今をときめく名歌手が次々と聴衆を喜ばせている。中でも3月、13年ぶりに来た、このイタリアの名花は華麗な技巧を惜しげもなく披露して、喝采(かっさい)を浴びた。 大の飛行機嫌いは有名。「退屈なうえ、機内の空気が良くない。風邪の菌も気になる。歌手には気を付けないといけないことが多い。風邪をひいたピアニストならまだしも、風邪ひきの歌い手はダメでしょう?」と屈託ない。 「だから移動手段は列車、船、馬、自転車の方がずっといい。列車なら窓から風景が楽しめるし、途中下車もできる」。日本へは足が向かないわけである。 これもひとえに声楽家の“楽器”を大切に維持するため。「子供のころから声をいかに守るか、母から教えられてきた。のどは人間の体で一番、魂に近い所にあるのです。歌手は一種のアスリートで体力が要るし、自分の肉体状況を自ら見極める必要がある」 弱音での豊かな表現力などの得難い美点は、こうした細心の注意があってこそ輝き続ける。 練り上げられた美声は近年、バロック・オペラなどで威力を発揮している。そもそも最初はロッシーニ歌手として脚光を浴び、モーツァルトなどへ範囲を広げた。「他の人なら時代を下り、ロマン派を経てベルディやプッチーニに行くところですが、私の関心は全く逆。19世紀より前に興味を持つようになった」 19世紀初めのロッシーニを起点に歴史をさかのぼり「ビバルディの珍品はトリノ大学に保管された自筆譜から調べ、ウィーンやベネチアの図書館にも問い合わせ見つけていった」。こうして音楽史にうずもれた逸品の鉱脈を探し当てた。 ビバルディの隠れたアリア集や、モーツァルトのライバルとして有名なサリエリの作品集といったCD(ユニバーサル)は、そんな努力のたまものだ。 「売り上げも想像以上。だから、もっとポピュラーな歌曲を録音しても、さらに多く売れるとは限らないと分かった。CDが出てから、この分野を研究する人が増えたのは、とても良いことね」。自信をこめ、いたずらっぽく笑う。 古楽の大家には強い影響を受けた。特に指揮者のニコラウス・アーノンクールからは、「古いものに対する新しい見方を教わった。全く違った世界の発見に驚いた」と目を輝かせる。 共演するオーケストラが古楽器を用意するのか、現代楽器で間に合わせるのかは、「料理によって赤ワインか白ワインかに変わるようなもの」。音楽が求める様式感へ、しなやかに寄り添う鋭敏な感覚も、新世代の歌姫にふさわしい。(文・宮下博 写真・森下綾美) ◇ ◇Cecilia Bartoli 1966年ローマ生まれ。プロ歌手の両親に指導を受け、現地の聖チェチーリア音楽院で学ぶ。85年にパリなどでデビューし、欧米各地へ活躍の場を広げる。オペラや歌曲のCD録音も多い。
by alfayoko2005
| 2006-07-03 10:41
| Music
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