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世界日報 2006年7月5日
社会問題化する男子児童・生徒の学力低下-米国 問われる本当の「男らしさ」 この数年、米国では男子児童・生徒の学習障害や社会性の欠如を社会的産物と見る「ボーイクライシス」説が多くの人々に受け入れられている。この論理、もともとは発達心理学者らが男の子たちを取り巻く教育・文化環境を懸念して提起した考え方だ。性差を強調する見解に反発する社会学者も少なくないが、児童問題を是正するには、性別に合った正しい教育を施すべきだとの認識が高まっている。 (ニューヨーク・内藤 毅) 「ボーイクライシス」説が有力に 注目される「男」の人格教育プロジェクト 自己抑制教育団体「ベストフレンズ財団」のホームページ 先月下旬、米国の非政府組織(NGO)「エディトリアル・プロジェクト・イン・エデュケーション研究センター(EPE)」は、全米で高校中退・落第率が上がりつつあることを示す調査結果を発表した。同センターによると、二〇〇六年六月に卒業予定の十二年生(高校三年生に相当)のうち、全体の約30%に当たる百二十万人が必要な単位を取っておらず、卒業できない状況にあることが明らかになった。 人種別に見ると、黒人やヒスパニック系の生徒の落第が顕著で白人の落第率25・1%やアジア太平洋系23・2%と比べて、黒人は49・8%、ヒスパニック系の46・8%が卒業できない。ニューヨークのシンクタンク「マンハッタン・インスティテュート」の分析では、大都市圏の公立高校に通う十二年生のうち、40%が落第していることが分かった。 一方、EPEの調査では、それぞれの人種内で男子生徒の落第率が女子と比べて、いずれも8%前後高いことが判明。マンハッタン・インスティテュートの調査と合わせると、都市部に住む黒人・ヒスパニック系の十二年生男子の過半数以上が卒業できない深刻な状況にある。こうした、少年の学習意欲低下やそれに付随した非行などのさまざまな問題を「ボーイクライシス」と呼ぶ。 米ニューズウィーク誌一月三十日号はこの現象を特集。この数年で男子小学生の学習障害が女子の二倍に増加し、学校嫌いの男子児童は一九八〇年から二〇〇一年にかけて七割以上増えたこと。また、大学で学ぶ男性の数が三十年間で全体の44%に減ったことなどを挙げ、問題が深刻なことを強調している。 この「ボーイクライシス」説は、米心理学会の重鎮で男性心理学者のウィリアム・ポラック博士や児童カウンセラーで「ライジング・ケイン」(邦題「危ない少年たちを救え」〇三年草思社刊)の著者マイケル・トンプソン氏が男子児童・生徒の問題行動に警鐘を鳴らしたことで広く知れ渡ることになった。 これらの識者は、男子児童らの学業不振・非社会的行動が社会のさまざまな要因から発生していると判断。男子生徒の発達と女子生徒の発達の違いを無視する画一的な学校教育や「男の子は強くタフであるべきだ」という固定された概念に縛られている教師や親、あるいは子供自身がその行動・感情を束縛しているとの見方を示している。 長い時間、つまらない読書や作文を強要し、厳しい態度で臨む教師。「男らしさ」を子供に求める親。泣いたり、音を上げると「弱虫」とみる友達の存在などなど。 ポラック博士らは、多感であらゆることに関心を抱く柔らかい心を持った男子児童・生徒らがこうした社会的束縛によって、「涙を流す代わりに、弾丸を流すようになる」と指摘。男の子たちが学校教育に嫌悪を抱かないよう、女性教員ばかりではなく、彼らの心情を理解する男性教諭の雇用を促進することや、男親と女親が積極的に子供にかかわることで「思いやり」や「共感」に重点を置いた新たな男性観を提示する必要性があると主張する。 また、ニューズウィーク誌の特集も、女子児童を標準においた米国の初等・中等教育を批判している。同誌は、実験的な男女別学授業の成果や地域に貢献する成人男性の助言者をシングルマザー家庭に配備する私立中学などを紹介。子供が健全に成長するためには、性差を前提にした教育、もしくは責任ある成人男性の関与が効果的との結論を持ってきている。 こうした発達児童心理学者らの穏健な「ボーイクライシス」論とは別に、保守系シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート」のクリスティーナ・ホフ・ソマーズ研究員は、学校教育のゆがみをリベラルな社会運動に原因を見いだしている。同研究員は、著書「ウォー・アゲンスト・ボーイズ」の中で、一九七〇年代以降、女子児童・生徒の学力向上ばかりに社会の関心が行くあまり、男の子に対する教育がなおざりにされてきたと主張。この風潮を推し進めてきたフェミニズム運動を非難している。 一方、性差を前提とした児童教育は、日本と同様、米国でも意見が分かれるところだ。特に、ソマーズ氏のフェミニスト攻撃は、こうした論調に敏感なリベラルな社会学者やエリートメディアの逆鱗(げきりん)に触れた観がある。 先月二十六日、ワシントン・ポスト紙などエリートメディアは、「ボーイクライシス」を真っ向から否定する論文を大々的に紹介している。 同日付のポスト紙によると、これは、ワシントンDCのシンクタンク「エデュケーション・セクター」のサラ・ミード上級研究員が発表したもの。同研究員らは七一年から実施されている全米学力調査(NAEP)の男女別の成績を分析し、大体において、男子の成績は年々向上していること。また、大学に進学する男性の数が増えつつあることを指摘し、「ボーイクライシス」が机上の空論であると主張している しかし、保守派コラムニストのジョー・レオ氏の簡易型日記サイト(ブログ)によると、扱っている数字のうち、四年生と八年生男子の成績はミード研究員が指摘した通りだが、十二年生の成績になると、数学や科学は九六年以降下がり続けたまま。また、英文読解では八〇年代後半から二〇〇〇年代前半まで下降を続けた。こうした数値は、「ボーイクライシス」は存在することを示すのではないか。 一方、「ボーイクライシス」解消策として、男子児童・生徒らに本当の「男らしさ」とは何かを教えるプログラムも存在する。自己抑制教育団体の「ベストフレンズ財団」が六年前から進める「ベスト・メン」プログラムもそのうちの一つで、六年生から高校生を対象にした人格教育プロジェクトだ。 このプロジェクト、人格教育と自己抑制、助言による生活指導やチームワーク育成を目的に置いたスポーツ競技やダンスなどを行う。ウィスコンシン州から始まった同プロジェクトは現在、全米に広がっており、既に千五百人の少年らが教育を受けている。 ワシントン・タイムズ紙四月二十六日付によると、ミルウォーキーのウィスコンシン大学が〇四年に発表した調査で、プロジェクトに参加した男子学生は、一般の学生よりも学力到達度、授業出席率が高かった。同プロジェクトの継続調査では、翌年の出席率は年度初めは82%のプログラム参加者がずる休みをしなかったが、年度末は86%まで向上。また、同年度初めで、13%の参加者がギャング構成員だったが、年度末までに3%まで減少したといわれる。
by alfayoko2005
| 2006-07-05 19:43
| ジェンダー・セックス
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