本音のコラム 同室着替え 藤本由香里（ふじもと・ゆかり） (東京 2006/07/09朝刊・特報面)

本音のコラム　同室着替え　藤本由香里（ふじもと・ゆかり） (東京 2006/07/09朝刊・特報面)

　先日、着替えや身体検査を男女同室で行っている学校がどのくらいあるか調べた文科省調査の結果が発表された。

　身体検査の同室が小学一年で16％、小五以上ではゼロ。水泳の着替えが小一の45％に対して小六で０．１％。

　東京新聞ではニュートラルに結果だけを報道していたのだが、各紙を見比べると、かなり報道の力点の違いが目に付いた。とくに気になったのが、毎日と産経。

　産経では「男・女らしさを否定するジェンダーフリー教育が批判を集めるなか、男女の性差に対する配慮不足が―」とし、毎日でもネットニュースの第一報では、＜調査は「学校に行き過ぎた男女平等の考え方がある」との保護者らの指摘を受けて＞行ったなどとしていた。

　毎日の場合、最終版ではこの文言は削除され、紙面に載ったのは訂正版のようだが、ふつうに考えて「男女平等「」と「男女同室着替え」はまったく何の関係もないだろう。事実、知人が直接、文科省に電話して確認したところでは、「同室は更衣室がないとか低学年だから―等の理由が圧倒的で、ジェンダーフリー教育を理由をしているものはこちらでは確認していない」との返事だったという。

　二、三十年前にも、「男女平等って、そりゃ風呂もトイレも一緒っていうことか！」と言いたがる輩（やから）がいたものだが、ばかばかしくて誰も相手にしなかったのになあ。
（編集者、評論家）