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響けわが町にハーモニー(14)花開く地域オペラ、鹿児島(ドキュメント挑戦) (日本経済 2006/07/21夕刊)
性差問題扱い快打放つ 鹿児島オペラ協会は創立三十周年の二〇〇一年、民話題材の地域オペラに反旗を翻した新作「ミスター・シンデレラ」を初演、各地から集まったオペラ関係者に衝撃を与えた。三年後の〇四年には日本オペラ協会と共催し新国立劇場での東京公演も成功させている。 妻の薫は蜂(はち)の性ホルモンを研究するエリート。さえないミジンコ学者の夫、正男との関係は冷え、米国帰りの垣内教授に色目を使う。薫の留守中、正男はドリンク剤と間違え女王蜂の性ホルモンを飲み、潮の満ち干とともに絶世の美女へ変身する術を身につけ、薫と垣内に仕返しを企てる。 強烈な鹿児島弁のせりふ、歌や踊りに興じる大学生たちが彩りを添えながらドタバタ劇が進み、最後は夫婦が真実の愛に目覚めるというハッピーエンドの物語だ。 現代を題材にした創作オペラ自体が珍しい上、トランスジェンダー(性差の超越)という今日的題材に正面から挑んだ喜劇仕立ての台本(高木達)、ミュージカルに一脈通じる軽快な音楽(伊藤康英)を組み合わせたのが幸いした。開演前から幕が上がり、普通のマンションの一室で、パジャマ姿の歌手がいきなり語り出すのも意表をつく始まりで、鹿児島の観客は一気に創作オペラの世界へ引き込まれた。 三十周年記念事業の準備会議は一九九九年に開かれた。「創立十周年で石井歓さんに委嘱した創作の『カントミ』と同じく、東京公演が可能な作品。しかも民話にこだわらない普遍のテーマを採用し、場合によっては現代を舞台にする、と壮大な目標を掲げた」。初演以来の正男役の一人で鹿児島オペラ協会副会長のテノール、西澤明(鹿児島国際大学教授)は当時の状況をこう説明する。「地方に埋もれるような作品は最初からつくるつもりがなかった」 記念公演に携わることになった指揮者の坂本和彦、演出家の松本重孝は「こっけいなようでいて中身があり、心を打つ台本をすでに書いている人がいる」として、劇団青年座に所属する高木をつないだ。さらに吹奏楽作品で頭角を現していた伊藤に、初のオペラを作曲する機会を与えた。 西澤ら鹿児島の当事者は「これがオペラか」「鹿児島をばかにしているのではないのか」と議論を重ねながら、作品の完成度を高めた。一方、県と市、地元経済人を巻き込んだ実行委員会を組織して万全を期した。 協会は誕生二年後の七三年、ロッシーニ作曲の「セビリアの理髪師」で第一回の公演を打った。当初から鹿児島オペラ協会合唱団を併設、前後して発足したアマチュアの鹿児島交響楽団とともに三位一体の体制を整え、演出や指揮には全国的に実績のある指導者を招き、質を高めてきた。「ミスター・シンデレラ」は“中間決算”に当たる快打で、全国の地域オペラ界にも一石を投じた。=文中敬称略 (編集委員 池田卓夫) 【図・写真】性差の問題に挑んだ鹿児島オペラ協会の「ミスター・シンデレラ」
by alfayoko2005
| 2006-07-21 23:51
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