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トランスアメリカ――抑制した演技、荒野にマッチ(シネマ万華鏡) (日本経済 2006/07/21夕刊)
男の肉体に女が閉じ込められている。あるいは、女の身体に男が幽閉されている。当人にとっては難題だろうが、ケース・スタディの形でこれを示されても、示されたほうは困惑する。 賢明な作家ならば、この事情をただちに見抜く。性同一性障害や性転換の主題はべつに楽しくないが、この難問を抱えた主人公の冒険となれば、話は異なる。 ブリー(フェリシティ・ハフマン)は性転換手術を一週間後に控えている。彼女はスタンリーという男として生まれ、その宿命を逃れたい一心で生きてきた。ホルモン剤を常用し、声やしぐさを厳密にコントロールし、世間に嘲(あざけ)られぬよう万全の注意を払っている。 だがブリーは、十七年前に男の子を作っていた。成長した息子トビー(ケヴィン・ジーガース)はくだらない罪で逮捕されている。ブリーは、ロサンジェルスからニューヨークへ飛び、トビーを引き取る。 奇妙な味のロードムービーはここから始まる。トビーはゲイだ。ブリーは父親を名乗れない。ふたりの関係はぎくしゃくする。題名が示すとおり、彼らはアメリカ大陸を横断していく。監督のダンカン・タッカーは、新人離れした落ち着きで、おかしさとせつなさのブレンドを怠らない。 映画の推進力はなんといってもハフマンの演技だ。女になろうとしている男を女が演じるという困難に直面して、彼女はまったくひるまない。主人公のブリー同様、観察力と自制心を最大限に働かせ、ときおり訪れる「乱れ」も緻密に設計する。騒々しいゲイ芝居や不用意な感情的暴発は、当然回避されている。 この抑制が、ぶっきらぼうな荒野の風景と不思議にマッチする。重心の低い抒(じょ)情(じょう)が画面に沁(し)みていき、観客はブリーを信頼しはじめる。この監督は、ブリーをケース・スタディの対象と見ていない。彼女のパーソナリティを熟視し、観客の共感を獲得している。1時間43分。★★★★ (映画評論家 芝山 幹郎) 【図・写真】(C)2005 Transparent LLC
by alfayoko2005
| 2006-07-21 23:53
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