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男子への性的虐待描いたNHK『中学生日記』 (東京/中日 2006/08/02)
NHK教育「中学生日記」(月曜午後7時)が、かつてなく熱い。男子生徒への性的虐待を前後編で描いた「誰にも言えない」(7月3、10日放送)に対し、視聴者から反響が殺到。前編の放送日にはホームページ(HP)に二十万件超のアクセスがあり、同局の番組では連続テレビ小説「純情きらり」と大河ドラマ「功名が辻」に次ぐ三位を記録した。感想も賛否両論が続々寄せられている。視聴率1、2%の地味な存在だが、制作した名古屋放送局は「あまり取り上げられなかったテーマだったからでは」と驚いている。 (千万勲) 野球部エースの拓人がコーチの男性から部室で肉体関係を強いられる物語。誰にも打ち明けられない拓人は「自分は変な人間」と悩み、学校に来なくなる。互いに好意を抱くマネジャーの千晶らが異変を察知、被害者の支援サイトやラジオの悩み相談番組の力を借り、彼の心を開いて救う。 過去にもネット自殺など問題作を放った若井俊一郎ディレクターが、実際に被害を受けた関西在住の男性から話を聞いて骨格を組み立てた。脚本は漫画「哲也」などで知られる、さいふうめい。 ◇ 反響は前編の放送時から爆発した。普段は一日一万-三万件台のHPへのアクセス数が十倍に。後編の放送後も続き、七月の累計は百万件を突破、感想も二百件を超えた。ネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」でも一分間平均の書き込みが三百八十件と、教育テレビへの反響では最高記録となった。 内容を見ると、同世代の中高校生からは共感が多いのに対し、大人からは「問題はもっと複雑」という指摘が目立つ。 肯定的な声では「信じてくれる人がいて性暴力を乗り越えられることに、感動した」(岐阜県・中学女子)、「大人は性の話をあまりせず、子どもは少ない知識しか得られない。ゴールデン帯によく放送してくれた」(愛知県・同)など。逆に「好きな人に言えるか。きれいにまとめることに終始した」(東京都・社会人男性)などの突っ込みに交じって「同性愛者への風当たりを強くする可能性がある」(同)と危惧(きぐ)する声もあった。 これだけではない。若井ディレクターは「被害を受けたという方が、たくさんいたのには驚いた」と明かす。「自分だけじゃないことが分かった」(東京都・中学男子)、「男にもあることを知ってもらえて、うれしくなった」(北海道・高校男子)など「よかった」という声と、「思い出してショック」という声がほぼ半々。「おれみたいな罪人は生きていけないと苦しんだ。若いころに放送されていたら、絶対しなかった」(山梨県・社会人男性)という加害者からの投稿もあった。 ◇ ある調査によると、十八歳までに何らかの性的虐待を受けた男性は、十人に一人に上る。番組制作の過程でも、現場の教師たちから被害の実例が聞かれた。半面、女性の性的被害に比べて、支援活動が極めて少ないのが現状だ。 ■再放送も検討 中尾益巳チーフプロデューサーは「被害者、加害者とも、どこにも相談する場所がない。支援活動のサイトはあるが、声高に言えない人もたくさんいることが分かった」という。 反響を受け、同局は再放送することも検討している。
by alfayoko2005
| 2006-08-02 09:42
| ジェンダー・セックス
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