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生誕250年 ザルツブルク音楽祭 楽才しのぶ、未完の「断片」 (読売 2006/08/17朝刊)
◇アート ◆全オペラ上演 新鮮な「フィガロ」 モーツァルトの生地で毎年夏に開かれる催し、ザルツブルク音楽祭が、今年もオーストリアで始まった。天才の生誕250周年を祝う今回(7月23日~8月31日)は、例年に増して充実した企画が目白押しだ。その前半の模様を現地からリポートする。(宮下博) 世界屈指のクラシック音楽祭として知られるこのイベントは、1920年にスタート。音楽と演劇を扱い、特にモーツァルトのオペラ上演を柱の一つに据えてきた。その時代を代表する音楽家や演出家が招かれることから、毎回、世界的な関心を集めている。 音楽祭事務局によると、今回はモーツァルトの記念年にぶつかったことで、約24万枚の切符が95%以上さばける記録的な売り上げを達成。観光客も例年より2割ほど増えたという。 それにふさわしく、公演内容にも力が入る。重点の一つが、モーツァルトの歌劇、劇音楽を、未完に終わった断片まで含めて22作品、すべて上演すること。同時に、現代音楽も重視し、15人もの作曲家への委嘱新作を初演する。任期最後の年を迎えたペーター・ルジツカ総監督は作曲家でもあり、有終の美を飾る入魂の構成となった。 音楽祭前半はモーツァルトの歌劇、劇作品の新演出上演に力点が置かれた。若書きの曲では、従来使わなかった会場まで利用され、密度の濃い日程となった。 最大の目玉は「フィガロの結婚」。祝祭小劇場を改装した「モーツァルト劇場」のオープンに合わせて、上演された。今や同音楽祭の首席指揮者格となったニコラウス・アーノンクールがウィーン・フィルを振り、ドイツ気鋭の演出家、クラウス・グートが手掛けた公演は、切符の入手困難でも話題を呼んだ。 アーノンクールの指揮は冒頭の序曲から遅いテンポで意表を突く。この流れは全編を貫き、歌詞や場面展開へ鋭く反応した彫りの深い解釈を聴かせた。グートの演出も、登場人物の性的関係を時に強調して複雑な人間相関図を描き、心理劇的な側面を引き出した。 その結果、「練りに練った深読みで、今までの舞台にない新鮮さを提示するのに成功した」(音楽学者の野村三郎氏)など、高い評価を得た。ソプラノのアンナ・ネトレプコ、クリスティーネ・シェーファーら出演歌手も高水準で、盛大な喝采(かっさい)を浴びていた。 初期作品や断片曲を3夜に分けた「さまよい」と題するシリーズも、記念の年らしい意欲作。演出を、舞踊の振付師で近年オペラでも才能を示すドイツの若手、ヨアヒム・シュレーマーが担当して注目された。演奏はミヒャエル・ホフシュテッター指揮のカメラータ・ザルツブルク。 第3夜では未完の歌劇「カイロの鵞鳥(がちょう)」と「だまされた花婿」を前半に置き、後半は断片で残された様々な短い音楽をダンスに合わせて披露する、凝った趣向が採られた。 スケッチしか残っていない重唱などでは、歌声部と低音楽器だけになるが、そうした“裸”の音楽であっても楽想は魅力的。完成していればどんな歌劇になったのだろう、と興味をかき立てた。遺作「レクイエム」で絶筆となった「ラクリモーサ」の途中で演奏が止まり、断ち切られた旋律が天才の悲劇的な最期を暗示した。 コンサートに出る豪華な面々もここの売り物だ。英国の鬼才ロジャー・ノリントンがウィーン・フィルを指揮した演奏会では、気鋭のメゾソプラノ、エリナ・ガランチャが著しい進境ぶりで聴衆を圧倒した。久しく来日のない名ピアニスト、アンドラーシュ・シフもモーツァルト作品のリサイタルを開き、楽器(ベーゼンドルファー製)の音色を生かした愉悦感と格調あふれる解釈が見事だった。 現代音楽の初演やオペラ公演は音楽祭後半に集中し、大きな見せ場を作る。 写真=登場人物の複雑な関係を心理劇風に描いたグート演出「フィガロの結婚」(第2幕のフィナーレ) (c)Monika Rittershaus
by alfayoko2005
| 2006-08-19 03:00
| Music
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