【２００６米中間選挙】加州知事選が泥仕合 ヒスパニック系揶揄の音声ファイル流出

【２００６米中間選挙】加州知事選が泥仕合　ヒスパニック系揶揄の音声ファイル流出 (産経 2006/10/06)

　■シュワ氏「違法な入手」　対立候補「公開を」

　【ロサンゼルス＝松尾理也】１１月の知事選で再選を目指す米カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事（共和党）が非公開の場でヒスパニックの民族性を揶揄（やゆ）したとも受け取れる発言を行ったことを示す音声ファイルが流出した。一騎打ちを演じているアンジェリデス候補（民主党）は、ここぞとばかりテープの公開を要求。しかし、シュワルツェネッガー知事は「違法に入手されたものだ」と反撃するなど論争は泥仕合化している。

　この音声ファイルの内容は９月８日付のロサンゼルス・タイムズ紙でスクープされた。記事でやり玉に挙げられたのは、あるヒスパニック系女性州議会議員（共和）の性格や気性について「あいつらはみんな、とてもホット（熱い、激しいの意味）なんだ」と評した後、「あいつらは黒人の血とラティーノの血が混じっていて、それでそうなるんだ」と述べたくだり。

　このやりとりは、後に今年３月、シュワルツェネッガー知事と数人の側近が、演説の草稿を練るための会議を開いた際のものと判明した。

　選挙戦での劣勢が伝えられるアンジェリデス候補はこの音声ファイルに飛びつき、知事にやりとり全体の公表を要請した。しかし、ＡＰ通信によると、この音声ファイルは実は、もともとアンジェリデス候補のスタッフが入手したもので、その一部がロサンゼルス・タイムズ記者にリークされていたという。

　シュワルツェネッガー知事の事務所は４日、全容公開を拒否するとともに、「ファイルはウェブサイトの中のパスワード保護がかけられた部分から入手されたものだ」と、不法行為を強く示唆した。一方、アンジェリデス陣営はウェブサイトからダウンロードしたことは認めたものの、偶然の結果で、不法行為はしていないとしており、両者の主張は平行線をたどっている。
（産経新聞） - 10月6日8時0分更新

「温暖化対策世界一に」シュワ知事、着実に再選足固め

　１１月の米中間選挙で投票が行われるカリフォルニア州知事選で、アーノルド・シュワルツェネッガー知事（共和党）が再選に向け順調な選挙戦を展開している。２００３年に映画スターから“華麗なる転身”を遂げた同知事だが、議会軽視などで反発を招き支持率が急降下。一時は再選に赤信号との観測まで出たが、今年に入りリベラル寄りに軸足を移したのが奏功。環境保護政策で高得点を稼ぎ、支持率で民主党候補を１５ポイント以上引き離した。

　「私はカリフォルニアを温暖化対策で世界のナンバーワンにする。今日は歴史の転換点だ」。９月２７日、同知事は全米で初めて包括的な温暖化効果ガスの排出大幅削減を義務付ける法案に署名、“環境派知事”をアピールした。州はこのほか、排ガスを「公共悪」として、トヨタ自動車など大手自動車メーカーに賠償を求める訴訟も起こしたばかりだ。

　リベラル支持が多い同州有権者を引きつけているのがこうした環境政策だ。９月下旬のロサンゼルス・タイムズ紙の世論調査では同知事の支持率５０％に対し、民主党のフィル・アンジェリデス候補は３３％。知事は伝統的に民主党の強いサンフランシスコ地区でも同候補をリードしている。

　同知事は就任後、公約の州財政再建に着手したが、教育費削減や民主党多数派の議会を軽視する手法が反発を受け、支持率が４０％を下回り、昨年１１月には住民投票で知事提案がすべて否決されるなど苦境に立った。

　危機感を抱いた同知事が踏み切ったのが大胆な路線転換だ。リベラル寄りの強調で民主党支持層に加え、苦手の女性票も狙う。夫人のマリア・シュライバーさんとともに開いた大規模な女性の権利集会も成功。再選キャンペーン関係者は「選挙直前のイメージ戦略は万全」と強調する。

　一方の民主党陣営はイラク問題などで反撃。アンジェリデス候補は集会で「イラク戦争を引き起こしたブッシュ大統領支持のシュワルツェネッガーから政治を奪い返そう」と呼び掛ける。

　「悪の枢軸」をもじった「アーノルドの枢軸」と題した民主党のテレビ広告は、大統領を応援する知事の映像を流し「ブッシュのためのシュワルツェネッガー。彼はあなた方の知事なのか」と問い掛けるが、地元ラジオに「知事の印象が強まるだけ」と批判されるなど効果はいまひとつのようだ。（ロサンゼルス共同＝半沢隆実）

ZAKZAK 2006/10/05