１０月９日付・編集手帳

１０月９日付・編集手帳（2006年10月9日1時44分 読売新聞）

　米国のトルーマン元大統領が初めて上院議員に選ばれた時、知人の元上院議員から、「劣等感を抱いてはいけない」と助言された

◆「半年ぐらいは、どうして自分がここにいられるのだろうと不思議に思うだろうけど、そのうちに、どうして他の連中がここにいるのかと不思議になるものだ」（ボラー著『ホワイトハウスストーリーズ』三省堂）

◆議会も人間の集まりだ。高潔、非凡の士ばかりであるはずがない。凡人であれ、変人であれ、熱意を持って仕事に取り組むことが大切だ、という励ましの意も込められていたのだろう

◆だが、議会へ注がれる国民の目は厳しい。米国の世論調査によると、「とくに信頼できる国の組織、機関」は、「軍隊」（７１％）、「連邦最高裁」（４３％）、「省庁公務員」（３１％）、「大統領・閣僚」（２５％）、「連邦議会」（１６％）の順である

◆その議員たちを選ぶ米国の中間選挙は、１１月７日の投票まであと１か月を切った。有権者の関心は「イラク情勢」「テロとの戦い」「経済」にあるが、共和党は、強い逆風にさらされている

◆一向に好転しないイラク情勢は、選挙戦の足をひっぱる。７選を狙った下院議員が、未成年者への性的な電子メール送信で先月末に辞職し、党指導部も大揺れだ。選挙結果は、ブッシュ政権の最後の２年を方向付ける。