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ニューヨーク・タイムズ選集
下北沢を敵と味方に分ける道路 2006.10.09 09:42 Splitting a Hip Neighborhood, in More Ways Than One New York Times Oct 1, 2006 By MARTIN FACKLER ビンテージ物の服が置いてある店、ライブ音楽のクラブ、安いラーメン店が並ぶ下北沢は、東京のグリニッチ・ビレッジだ。若者文化ではアジア最先端を行く流行の発信地となっている。 下北沢近辺は、くつろげる町並みで人気がある。多くの学生や若いサラリーマンを引きつけ、狭い路地はいつも若者たちで混雑している。 小さな店の多くは、住宅やアパートを改造したものだ。太平洋のこちら側のカウンターカルチャーを彷彿とさせる店名も多い。ビレッジ・バンガード、ヘイト・アシュベリー、モジョ・ライジングなどである。 だが、この脈動する街の真ん中に影が忍び寄っている。今後4年以内に、街を二分する幅25メートルの大通りを建設する計画があるからだ。 この道路計画は希なことに保全運動を引き起こした。これまで日本では大規模開発は進歩として受けとられ、政治の潤滑油とみなされてきた。 この運動で立ち上がったのがブティックやバーのオーナーたちで、中でも30年前に最初のヒッピー文化を担った人たちだ。彼らは世田谷区や新参者を嫌う昔ながらの住民を相手に活動している。 ニューヨークからブカレストに至るまで、街中を貫く大通りをつくることはひんしゅくを浴びてきた。だが東京ではようやく社会的コストに目を向け始めたばかりだ。日本では何十年もかけてお堀や川を高速道路に変え、瓦屋根の住居を味気ないコンクリート製の建物に変えてきた。 「今に至るまで、東京の文化と環境を壊してきたことを気にする人はだれもいなかったんです」。慶応大学の石川幹子教授(都市計画)は言う。「こういう計画も重要なことだと少しずつ知れ渡るようになってきました」 多くの都民にとって、下北沢の魅力は大規模開発を免れてきたことにある。中心部から広がるゆったりとした町並みは、戦時中の空爆を受けなかった。戦後、進駐軍の余剰品を売りさばく市場として活気づく。 街が大きく変わったのは70年代のことだ。木造家屋と入り組んだ狭い路地がミュージシャン、俳優、ベトナム反戦活動の学生たちを引きつけるようになった。 それゆえ3年前、世田谷区が地元住民ら1500人を集めて140億円の道路建設計画を持ちかけ、高さ制限の撤廃を説明したとき、住民たちは狼狽して反対の声を上げた。 「信じられません。区は地元住民の考えを聞くこともせず、ただ地域の死亡宣告をしたのですから」。地元の建築家、金子賢三さん(41)は話す。 金子さんと友人たちは「Save the 下北沢」を立ち上げて計画反対の意思を表明した。 最近の土曜の晩、反対を唱える300人以上の市民(白髪をポニーテールにした人からペーズリー織りのドレス、ハイトップのスニーカーを身につけた若者まで)が、ろうそくを手に街をデモ行進した。 人々はカトリック教会、小さな地下劇場、タンスサイズほどのバーに集合した。どれも道路が敷かれれば壊される場所だ。 「この街へやってきたのは、どことも違う雰囲気があるからです」。75年から地元でジャズクラブを経営宇するオキ・ユタカさん(61)は言う。「もし道路ができれば、街の雰囲気は完全に死んでしまう」 だが道路計画には支持者も大勢いる。戦後に創設された商店街組合だ。組合側は大通りが災害時の避難路を確保し、バスやタクシーが乗り入れしやすくなるよう希望している。 地主のヨシダ・クニヨシさん(71)は、地域の発展が遅れたため、地元は安全性と利便性に重点を置いていると話す。彼はまた、後から来た人たちは不平を言う権利がないとも言う。多くは組合に加入しようとせず、清掃ボランティアにも参加しないからだという。 彼らが引き起こしたトラブルは言うまでもないという。混雑、落書き、騒音、酔っぱらってのどんちゃん騒ぎ、立ち小便などだ。 「この道路計画が地域を駄目にすると言うが、元から住んでいる人間に言わせれば発展だ」 支持者も反対者も、計画はいわゆる道路族の仕事だということを認めている。道路族とは公共事業を使って選挙に勝とうとする政治家のことで、政治資金を建設関係の寄付金でまかなう。 政府は道路建設のために年150億円を投入すると法政大学の五十嵐敬喜教授(都市計画)は言う。「道路は依然として日本の政治を動かす王様なんです」 下北沢では、道路建設を取り仕切るのは世田谷区長の熊本哲之氏だ。熊本氏も下北沢に住んでいる。区長はインタビューの申し込みを断ったが、6月の記者会見で、新しい道路が下北沢に活気を呼び起こせばいいと発言した。 都市計画の専門家が指摘するには、そのような発言は、日本では新しい道路や高速道路だけが地域の利益になるという信念を映し出している。 「下北沢をばらばらにしようとしているんではないんです。良いものを加えようとしているんです」と区の建設課のトヤマ・マサヒコさんは言う。 道路反対派は計画をとめられないと悲観的になっている。最も大きな障害は、ほとんどの住民が黙ったままでいることだ。 地域の店舗1500のうち、約500店舗が道路建設に反対する新しい組合に加盟した。だが、ほかの多くのオーナーたちは、従来の組合からにらまれたくないために計画に反対できないとこっそり話す。 さらに、計画によって一部の人間が潤うことに矛盾を感じると言う人も多い。道路予定地の地主は、長年小さな店舗で食べてきたが、地上げのために区が見込んでいる買収金額をあてにしている。 「地域が死のうとしているのに、多くは黙って座ったままです」。明治大学の小林正美教授(都市工学)は話す。教授は区を説得してダメージの少ない代案を通そうとしているがうまくっていない。「10年もすれば、自分たちがやったことを後悔する日が来ますよ」(マーティン・ファクラー 10月2日付) A bad scene in a hip Tokyo neighborhood
by alfayoko2005
| 2006-10-09 12:51
| 国内政治
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