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記者の目:共和党自滅の米中間選挙=及川正也(北米総局)
毎日新聞 2006年11月14日 東京朝刊 ◇地殻変動に至らぬ「お灸」--民主も「自分探し」の途 米ハリウッド映画「フォレスト・ガンプ」をご存じだろうか。いじめられっ子のフォレスト少年がある日、猛然と走り出す。その俊足を買われてアメリカンフットボールの全米代表選手になり、やがてエビ漁で大金を手にするが、彼は自分に起きたことをよく理解できずにいる。ただ、何の戦略も利得も考えず、ひたすら走り続けた結果がドラマを生んだ。 7日の米中間選挙は、野党民主党が12年ぶりに上下両院で圧勝した。これを「フォレスト・ガンプ・ビクトリー(勝利)」と選挙アナリストたちは呼ぶ。名付け親は選挙情勢分析で定評のあるジョン・ゾグビー氏だ。 「道を変えよう」と唱え続け、行き詰まるイラク政策や相次ぐ不祥事など敵失で大勝利が転がり込んだ。映画にはエラーを連発する敵は出てこないが、民主党が特別変わったこともやらずに勝ってしまった、という雰囲気を言い当てている。 今回の選挙は、民主党が勝ったのではなく、共和党が自滅したのだと思う。共和党大敗の理由はいくつかあるが、最も大きいのはやはりイラク問題と相次ぐ共和党の不祥事だろう。 10月中旬、ブッシュ大統領側近で「選挙の天才」といわれるカール・ローブ次席補佐官を取材した。終盤の選挙戦略を問う私に「選挙戦はまだ『地質時代』。これから何が起こるかわからない。今は政策を訴える時期だ」と強調していた。 8月中旬、次期大統領選出馬が取りざたされる共和党のギングリッチ前下院議長は「英国の旅客機爆破テロ計画摘発は、世界が危険な状況にあるという共和党の主張の正しさを証明した」と力説し、共和党勝利に自信を見せた。 しかし、堅調な経済を強調することで有権者の支持を得られると踏んだローブ氏の戦略はあたらなかったし、他の政策で不手際があっても揺らがなかった共和党のテロ対策への信頼は、イラク問題や不祥事の波にかき消された。 ローブ氏やギングリッチ氏の誤算は「保守派は共和党の味方」という慣れがあったように思う。共和党敗北に導いたのは、94年中間選挙での共和党の歴史的勝利の原動力となった保守派の離反であり、これが致命傷になったのは間違いない。 12年前、ギングリッチ氏率いる共和党は「小さな政府」を目指す保守思想を満載した選挙綱領「米国民との契約」を発表、強い求心力を発揮して40年ぶりに上下両院を制した。「保守革命」と称される躍進だった。 保守革命の流れは04年大統領選でも脈打ったが、その後、保守派はブッシュ大統領に疑いの目を向けるようになった。 イラク駐留経費は増加の一途をたどり、大型ハリケーン「カトリーナ」の対応の不備と合わせ、膨大な国家予算が拠出され続けた。最高裁判事人事では身内から穏健派の大統領法律顧問を指名し、中絶反対に舵(かじ)を切りたい保守派は猛反発、指名撤回に追い込まれた。 大統領は不法移民に市民権付与の道を開く包括的改革案を支持し、共和党指導部と対立。一方、共和党の議会内は「政治とカネ」や性的スキャンダルが相次ぎ、道徳観を重視する宗教右派を失望させた。 こうした保守派の累積した不満が雪崩を打つように「反ブッシュ」「反共和党」へと動いたのが今回の結果だった。 では、米政界が「地殻変動」を起こして保守派が衰退し、民主党の時代へと移るのかと言われれば、私は懐疑的だ。 一時予想された民主党の地滑り的勝利には至らなかった。共和党を壊滅的状態には追い込まず「お灸(きゅう)を据える」という有権者の意思表示だったとは言えないか。スキャンダルが焦点となった選挙区で共和党は敗北したが、最も激戦が予想されたオハイオ州下院選では多くで競り勝った。「地表変動」にとどまったというのが実態だろう。 共和党は保守の再構築を迫られるが、民主党の課題も重い。今回の勝利は08年大統領選勝利を約束するものではない。ヒラリー・クリントン上院議員ら女性や黒人など話題豊富な候補者がいるだけでは選択肢を示したことにはならない。 民主党はブッシュ政権や共和党に代わる明確かつ具体的な政策を国民に示す必要がある。共和党地盤から当選した多くの中道派の新議員は従来のリベラル派と一線を画しており、民主党がどういう党なのかのイメージづくりも迫られる。 映画のガンプ青年がひたすら走りながら自分探しの旅を続ける場面がある。民主党も今、「自分探し」の途中にある。 ============== 「記者の目」へのご意見は〒100-8051 毎日新聞「記者の目」係へ。メールアドレスkishanome@mbx.mainichi.co.jp 毎日新聞 2006年11月14日 東京朝刊
by alfayoko2005
| 2006-11-14 23:37
| 米政治
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